
端的に言えば合いの手を入れるの意味は「間に入れる掛け声」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
情報メディア編集経験もあり、ライターを10年経験したコトバアソビを呼んです。一緒に「合いの手を入れる」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/コトバアソビ
独身で猫3匹と暮らす孤高のライター。合いの手を入れるタイミングを間違えて、昔はよく先輩に怒られていたことを思い出す。基本KY(空気が読めない)なので、今の職が天職。
無料会員サービスに弱い。合いの手を入れる最適なタイミングについて調査しており、注目の最中だったので運命を感じて執筆。
「合いの手を入れる」の意味は?
「合いの手を入れる」には、次のような意味があります。国語辞典には「合いの手」しかありませんでした。
1. (邦楽)で唄と唄との間に入れる、三味線だけの短い演奏。
2. 間に入れる(入る)音や掛け声。
出典:新図解国語辞典(三省堂)「合いの手」
「合いの手を入れる」は、「合いの手」(間のて)と「入れる」をつなげた慣用句です。「合いの手」は辞書にもあるように、邦楽(演歌や民謡など)で三味線だけの間奏を意味します。調子(調べ)の良いことを指し、本来はタイミングが良いという意味ですね。
また「合いの手」は「間に入る掛け声や音」とも意味があり、「入れる」はこちらの掛け声や音を入れる意味で、当事者以外の人が入れるという意味です。「合いの手を打つ」と使用されますが、誤った日本語。同じように「相槌(あいづち)」は「相槌を打つ」とだけ使え、「相槌を入れる」は誤用です。混同しないように注意しましょう。
「合いの手を入れる」の語源は?
次に「合いの手を入れる」の語源を確認しておきましょう。
諸説はありますが、今ではアイドルに対しての間奏の間に入れる声で、歌舞伎での「大向う」なども有名な説です。ただ「合いの手」そのものの確かな語源は、雅楽の間に入れる太鼓のタイミングが元となりました。合いの手は間の手ともいえ、太鼓をたたく手のことを意味しています。
このことから「合いの手を入れる」とはタイミングよく、掛け声や音を入れるという意味で、広く一般に使われるようになりました。
「合いの手を入れる」の使い方・例文
「合いの手を入れる」の使い方を例文を用い見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用います。
1.歌舞伎の舞台で、花形が大見得をきり「○○屋」とタイミングがよく合いの手を入れる。
2.ランキング上位の人気のアイドルのステージにて、ファンは踊り狂ったように合いの手を入れた。
3.カラオケを熱唱していると、同僚から「はい。はい!」と合いの手が入った。
4. 会話と会話の間に、営業のA君は絶妙に合いの手を入れてくる。
5. 合いの手を入れるタイミングを間違え、会議の空気を凍り付かせた。
1の例文は通常の歌舞伎では、マナー違反でした。いつ頃からはやったのかは定かではないです。歌舞伎そのものは、庶民の劇のことを指していましたので、掛け声がなかったかというと、古くからはあったと考えるのが自然ですね。
2や3の例文は、国語辞典の「(邦楽)で唄と唄との間に入れる」に近いイメージです。今ではむしろない場合(手拍子)が多いでしょう。秋葉原や地下アイドルなどの世界では「愛の手」と呼ぶ、推し(熱烈なファン)からの掛け声です。
4は実体験。合いの手がうまい人は、優秀な営業には多かったです。今ではほぼWEB会議に変わり、より合いの手スキルが求められていると、実感しています。5はよく筆者が、会社の業務会議でやらかすことです。大抵はこの後に社長から直々ではなく、間接的に同僚から「○○君あれは…」といわれました。
「合いの手を入れる」の類義語は?違いは?

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それでは「合いの手を入れる」の類義語をピックアップします。関連するワードとして、どのような言葉があるのかみてみましょう。
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