この記事では「懸念」について解説する。

端的に言えば「懸念」の意味は「不安になること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役学生ライターのタビビトを呼んです。一緒に「懸念」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タビビト

文学部現役学生ライター。学生生活の中で数多くの芸術関係の執筆を行い、小学生の頃から多種多様な書籍を読破してきた生粋の文科系。読書量に比例する文章力で日本語を分かりやすく背解説していく。

「懸念」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「懸念」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「懸念」の意味は?

「懸念」には、次のような意味があります。

1.気にかかって不安に思うこと。「安全性に懸念を抱く」「先行きを懸念する」
2.仏語。一つのことに心を集中すること。
3.執着すること。執念。「かようの者までも皇居に―をなしけるにや」<盛衰記・ー>

出典:デジタル大辞泉(小学館)「懸念」

「懸念」には三つの意味があり、それぞれ「不安に思うこと」も「執着すること」も「一つのことに集中すること」も、一つのことに心を捕らわれるということが共通しています。

よって「懸念」とは、何か一つのことに心が捕らわれて「不安」になったり「執着」したり「集中」するようになることを表現する言葉ということですね。意味の一つである「不安」に関しては、現状に対してではなくまだ起きていない未来の事柄に対して不安な気持ちになったり心配するという意味で使います。将来のことが不意に不安になったり、いずれ起こるかもしれない危機に関して心配したりすることは誰にでもあり得ることですよね。

「懸念」はそんな未来に対する不安な気持ちや、何か気にかかることに執着したり集中するということを表すことが出来ます。

「懸念」の語源は?

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次に「懸念」の語源を確認しておきましょう。

「懸念」とは、「懸」と「念」という二つの漢字から成り立っていることが分かりますね。今回はこの一つ一つの漢字の意味から分かる語源を見ていきましょう。まず「懸」には、「吊り下げる」「ひっかける」という意味があります。鉄棒に腕を伸ばして自分が吊り下がる運動のことを「懸垂(けんすい)」と言ったり、川にひっかかっている橋のことを「懸け橋」と言いますよね。次に「念」は、「念じる」や「信念」というように心に秘めた思いや思い詰めた気持ちなどを表現します。

「懸」と「念」という二つの漢字の意味から分かる様に、「懸念」は「心に思いつめた気持ちをいつまでもひっかけている」という意味になりました。「懸念」の語源は、それぞれの漢字の意味を紐解いていくと分かるということですね。

\次のページで「「懸念」の使い方・例文」を解説!/

「懸念」の使い方・例文

「懸念」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.どんな状況に陥っても問題点を直ぐ見つけ出せるように様々な可能性を懸念して備えたが、通常通り無事に終了したので結果的には取り越し苦労だった。
2.独立してビジネスを行おうとしているが、資産運用から営業まで全て一人で行うので相応の覚悟をしなければ神経が過敏になったり精神障害を伴うことばかりを懸念していまだ動けずにいる。
3.平成に入ってから急激に数が減少したあの生物は、このままだと絶滅が懸念されるため絶滅危惧種に登録された。

一つ目と三つ目の例文は、もっとも用いられることが多い「未来への不安」を意味する「懸念」です。経験したことのない事柄や、予測できない状況は常に不安が伴いますよね。そんな心情を表現するのが「懸念」です。未来への不安を表す「懸念」には、「備える」などの不安に対して対策するという言葉が併用されることが多いのも特徴と言えますね。

二番目の例文は、「一つのことに執着する」という意味での「懸念」です。一つのことに執着するということも、心配で何かが心に引っかかっているということと同意語ですが、未来に対する漠然とした不安ではなく視野を狭めることで不安になるという意味合いで用いられます。

この様に「懸念」は、未来に対する漠然とした不安と逆に焦点を絞りすぎて視野が狭くなることで不安になるという二つの不安を使い分けることが大切です。

「懸念」の類義語は?違いは?

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「懸念」とは、起こるかわからないことを心配して漠然とした不安を抱くということを表現する言葉でした。では「懸念」の類義語とその使い分けを見ていきましょう。

「憂慮」

「憂慮(ゆうりょ)」とは、心配したり悩んで不安になることを表現する言葉です。

これから起こることに対して不安を抱くという大まかな意味では「懸念」と同じですが、実際にはまだ起こっていない事柄に対して不安を抱く「懸念」に対して、「憂慮」は今起きている事態が更に悪化することを予測して不安になることを表現します。

よって漠然としたことに不安になる「懸念」に比べ、より現実的で重い悩みを抱えたときに「憂慮」を用いるというように使い分けましょう。

\次のページで「「懸念」の対義語は?」を解説!/

「懸念」の対義語は?

次に、「懸念」の対義語も確認しておきましょう。

「放念」

起こるかわからないことに不安を募らせていく「懸念」の対義語は、「放念」です。

「放念」は日常的にあまり馴染みのない言葉ですが、気がかりなことや心配事を心に留めずに解き放っていくということを表現します。些細なことを気にしたり心配するのと対照的に気にかかることを無くすために忘れたり気にしないようにするということを指す言葉で、ビジネスシーンで用いられることも多いです。ビジネスシーンで用いる場合は、相手に対して気にしないでほしいという意味で「ご放念ください」と用います。

「懸念」を使いこなそう

この記事では「懸念」の意味・使い方・類語などを説明しました。

人生に自然とついて回る「不安」や「心配事」というのは、漠然としたものから具体的な物まで様々ですね。今回紹介した「懸念」は、そんな不安の中でも特に未来のまだ起こっていない不安に対して用いるということが分かりました。漠然とした不安は実態が分かっていないだけに、必要以上に自分で考えを膨らませて知らない間に大きくしてしまうものです。思考だけが先走りして「懸念」ばかりで行動が出来なくなる前に、「放念」して喜怒哀楽のある人生を送りたいものですね。

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国語言葉の意味

「懸念」の意味や使い方は?例文や類語を現役学生ライターがわかりやすく解説!

この記事では「懸念」について解説する。

端的に言えば「懸念」の意味は「不安になること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役学生ライターのタビビトを呼んです。一緒に「懸念」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タビビト

文学部現役学生ライター。学生生活の中で数多くの芸術関係の執筆を行い、小学生の頃から多種多様な書籍を読破してきた生粋の文科系。読書量に比例する文章力で日本語を分かりやすく背解説していく。

「懸念」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「懸念」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「懸念」の意味は?

「懸念」には、次のような意味があります。

1.気にかかって不安に思うこと。「安全性に懸念を抱く」「先行きを懸念する」
2.仏語。一つのことに心を集中すること。
3.執着すること。執念。「かようの者までも皇居に―をなしけるにや」<盛衰記・ー>

出典:デジタル大辞泉(小学館)「懸念」

「懸念」には三つの意味があり、それぞれ「不安に思うこと」も「執着すること」も「一つのことに集中すること」も、一つのことに心を捕らわれるということが共通しています。

よって「懸念」とは、何か一つのことに心が捕らわれて「不安」になったり「執着」したり「集中」するようになることを表現する言葉ということですね。意味の一つである「不安」に関しては、現状に対してではなくまだ起きていない未来の事柄に対して不安な気持ちになったり心配するという意味で使います。将来のことが不意に不安になったり、いずれ起こるかもしれない危機に関して心配したりすることは誰にでもあり得ることですよね。

「懸念」はそんな未来に対する不安な気持ちや、何か気にかかることに執着したり集中するということを表すことが出来ます。

「懸念」の語源は?

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次に「懸念」の語源を確認しておきましょう。

「懸念」とは、「懸」と「念」という二つの漢字から成り立っていることが分かりますね。今回はこの一つ一つの漢字の意味から分かる語源を見ていきましょう。まず「懸」には、「吊り下げる」「ひっかける」という意味があります。鉄棒に腕を伸ばして自分が吊り下がる運動のことを「懸垂(けんすい)」と言ったり、川にひっかかっている橋のことを「懸け橋」と言いますよね。次に「念」は、「念じる」や「信念」というように心に秘めた思いや思い詰めた気持ちなどを表現します。

「懸」と「念」という二つの漢字の意味から分かる様に、「懸念」は「心に思いつめた気持ちをいつまでもひっかけている」という意味になりました。「懸念」の語源は、それぞれの漢字の意味を紐解いていくと分かるということですね。

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