アサリとハマグリ
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アサリは汽水域を好み、浅くて温かい海に生息しています。つまり、アサリの化石からはその場所が暖かくて浅い海であったということです。ハマグリもアサリとほぼ同じ環境に生息していることから、ハマグリの化石が産出された場所も浅くて温かい海であったことが推測できます。
ホタテ
現代のホタテは海水温が-4度から22度くらいの冷たい海に生息しています。よって、ホタテは冷たくて中浅の海であったことを示す示相化石です。ホタテの化石の分布を調べるとその地域がどのような気候変動を受けてきたのかも推測することができます。
ブナ
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葉の縁がのこぎりの刃のようにギザギザしており、葉脈の主脈から出ている側脈が並行に並んでいることが特徴のブナ。ブナはヨーロッパや北アメリカなどのやや寒冷な地域に生息していることから、ブナの化石が産出した場所は以前寒い地域であったことが分かります。
花粉
花粉は生き物ではありませんが、示相化石として使用することも可能です。花粉にはDNAが含まれているため周囲を硬い殻で覆われています。そのため、湖沼に堆積すると分解されずに化石として残ることができるのです。花粉は植物細胞なので細胞壁があります。実は細胞壁は植物の系統と密接に関連しているため、細胞壁を調べるとその花粉がどんな植物のものだったのか推定できるのです。暖かい地域と寒い地域では植生が異なっているため、花粉からある程度の環境が推測できるんですよ。また、イネなどの農作物の花粉であればいつ頃から農耕が始まったかも分析することができます。
示相化石の覚え方
示相化石と示準化石を混同する人が多いようですので、かんたんな覚え方を紹介します。
環境に優しそう(示相)と覚えると環境と示相化石をすぐ連想できるため、残りの示準化石は年代を表す化石であることが分かりますね。この覚え方をぜひ使ってみてくださいね。
化石を見つけたら示相化石かどうか見ることも大切
示相化石とはその生物が暮らしていた環境を推定することのできる化石です。示相化石としてふさわしい生物は太古から現代まで生息していること、化石ができてから地殻変動によってその場所から移動していないことが挙げられます。示相化石の代表はアサリやハマグリ、サンゴ、ブナです。これらの生物は中学校理科では常連の生物で、頻繁に試験にも登場します。
筆者も化石採集が趣味ですが、化石を採取したら必ず何の化石なのかと産地は記録するんですよ。そうすることでその場所が昔どのような環境であったかをいつでも見返せるからです。皆さんも化石を採取したらその化石からどのようなことがわかるのか調べてみましょう。
イラスト使用元:いらすとや







