今回のテーマは「有色鉱物(ユウショクコウブツ)」です。

そもそも鉱物が何か知っているか?鉱物とは天然でできた無機質結晶物質のことです。化学組成によってその特徴が決められている一方、同じ化学組成でも構造によっては全く違う鉱物となることもある。鉱物にはいろいろな種類があり、その色も様々です。

そこで今回は鉱物は何かを確認しつつ、鉱物の色を決める要因である有色鉱物の仲間を紹介する。解説は日々勉強中の科学館職員、たかはしふみかです。

ライター/たかはし ふみか

中学生対象の家庭教師や学習塾講師のバイトをして、たくさんの問題を作成し試験対策をしてきたたリケジョ。知らないことを学べる理科が好きな科学館職員。

鉱物とは

鉱物とは

image by Study-Z編集部

そもそも鉱物とはどんなものでしょうか。鉱物とはコトバンクによると「天然に産する結晶質の物質。鉱物の結晶は分子またはイオンが規則正しく配列した結晶構造をもち、外形は鉱物によって特定の結晶形を示す」とされています。「自然で作られる」、「結晶構造を持つ」というのが鉱物のポイントなのですね。

そして鉱物には色がついているものと無色のものがあり、色がついているものを「有色鉱物」といいます。有色鉱物として知られているのが、黒雲母(クロウンモ)角閃石(カクセンセキ)輝石(キセキ)橄欖石(カンランセキ)磁鉄鉱(ジテッコウ)などです。

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対する無色鉱物は透明な鉱物のこと。基本的に無色鉱物は透明なのですが、白色ものもあるので注意してください。二酸化ケイ素の結晶である石英(セキエイ)、最も豊富な鉱物である長石(チョウセキ)などが無色鉱物として知られています。ちなみにこの石英のうち無色透明なものが集まってできた結晶が水晶です。

有色鉱物は鉄やマグネシウムを多く含んでいます。それに対して無色鉱物はシリカゲルやアルミニウム、ナトリウムを多く含んだシリカ鉱物や長石類のことを指すのです。

代表的な有色鉱物

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鉱物についてわかったところで、覚えておきたい大切な有色鉱物を確認していきましょう。

黒雲母(クロウンモ)

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黒雲母は褐色や黒色をした鉱物です。その組成式はK(Mg, Fe)3AlSi3O10(OH, F, Cl)2となっています。「雲母」とは六角板状の結晶で、上の写真のような花崗岩などに含まれているのです。雲母には黒雲母の他に白雲母、というのもあります。ちなみに雲母にはマイカ、きららという呼びかたもあるので覚えておいてくださいね。

黒雲母は薄い板が重なったような構造をしていて、1枚ずつ剥がすことができます。

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角閃石(カクセンセキ)

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角閃石とは、それ自体が鉱物の名前ではありません。ケイ酸塩鉱物のグループのことを指す名前なのです。この角閃石は安山岩に含まれていることで知られています。角閃石には緑色や褐色、青色、さらに無色のものもあり、結構カラフルです。

角閃石は組成式もいろいろあります。普通角閃石のなかではCa2(Mg, Fe)4Al(AlSi7O22)(OH)2というのが一般的です。

輝石(キセキ)

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輝石は多くの火成岩や変成岩に含まれていて、緑色や褐色、黒色をした鉱物です。有色鉱物として紹介していますが、実は無色のものもあります。その組成式は XY(Si,Al)2O6 と表し、XにはCa、Na、Fe2+、Zn、Mn、Mg、Liなどが、Y にはCr、Al、Fe3+、Mg、Mn、Sc、Ti、V、Fe2+などが入るのです。ちょっと難しいですね。このXにNa、YにAlが入ったNaAl(Si)2O6 はヒスイ輝石と呼ばれる宝石です。

角閃石と似ているところも多い輝石。角閃石が長柱状に割れるのに対し、こちらは短柱状に割れます。

橄欖石(カンランセキ)

橄欖石はマグネシウムや鉄のケイ酸塩鉱物のグループの呼び方で、その化学式は(Mg,Fe)2SiO4です。橄欖石は玄武岩などに多く含まれています。不規則に割れてしまう、というのも橄欖石の特徴です。

ちなみに橄欖石は英語でolivine、オリビンといいます。これはオリーブのような濃緑色をしていることが由来です。苦土橄欖石(Mg2SiO4)のなかでも特に緑色が美しい物はペリドットと呼ばれ、8月の誕生石となっています。

磁鉄鉱(ジテッコウ)

化学式で表すとFe3O4 となる磁鉄鉱。この3つのFe、鉄は1つは2価で2つは3価のイオンとなっています。

磁鉄鉱は火成岩に含まれる鉱物の一種です。マグネタイトとも呼ばれ、鉄分が含まれているために黒色をしています。光沢があり、強い磁性を持っているのが特徴です。

これだけ覚えて、無色鉱物

無色鉱物で覚えたいのが石英と長石です。石英は無色または白色で不規則な形をしています。一方の長石は白色や灰色で、柱状で決まった方向に割れるのが特徴です。

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火山岩、深成岩と有色鉱物

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噴火したマグマが冷えてできたものを火成岩と言います。火山岩はその冷え固まり方によって火山岩、深成岩に分けられるのです。無色鉱物が多いほど白っぽく、有色鉱物が多いほど色は黒っぽくなります。

火山岩 白 流紋岩<安山岩<玄武岩   黒

深成岩 白 花崗岩<閃緑岩<はんれい岩 黒

それでは火山岩、深成岩に含まれる有色鉱物について確認していきましょう。

火山岩

急激に冷えて固まった火山岩。火山岩で覚えておきたいのが色が薄いものから順に流紋岩、安山岩、玄武岩です。流紋岩は石英や長石が多いために白っぽく、玄武岩には輝石や橄欖石が多く含まれて黒っぽい色となっています。 

深成岩

火山岩に対し、深いところでゆっくりと冷えて固まったのが深成岩です。ちなみに深成岩として覚えたのが「等粒組織」。粒の大きさがそろったサイズの岩石という事です。

さて深成岩には先程紹介した花崗岩、閃緑岩、はんれい岩などがあります。花崗岩は色が薄く、はんれい岩は濃い色をしているので覚えてくださいね。

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岩石の色に関わる有色鉱物

有色鉱物は、その名の通り色がついた鉱物のこと。有色鉱物でまず覚えておきたいのが黒雲母、角閃石、 輝石、橄欖石、 磁鉄鉱です。有色鉱物の含有量が多いほど鉱物の色も濃くなります。化学式まで覚える必要はありませんがどんな元素が含まれているかくらいは覚えておくといいでしょう。

岩石にもいろいろな種類があり、有色鉱物の含有量は岩石を知るうえで重要な手がかりです。ぜひ、どの岩石にどの鉱物が含まれているのかどんな色をしているのか確認してみてくださいね。

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地学地質・歴史岩石・鉱物理科

「有色鉱物」って何?色や形などの特徴を科学館職員がわかりやすく解説!

今回のテーマは「有色鉱物(ユウショクコウブツ)」です。

そもそも鉱物が何か知っているか?鉱物とは天然でできた無機質結晶物質のことです。化学組成によってその特徴が決められている一方、同じ化学組成でも構造によっては全く違う鉱物となることもある。鉱物にはいろいろな種類があり、その色も様々です。

そこで今回は鉱物は何かを確認しつつ、鉱物の色を決める要因である有色鉱物の仲間を紹介する。解説は日々勉強中の科学館職員、たかはしふみかです。

ライター/たかはし ふみか

中学生対象の家庭教師や学習塾講師のバイトをして、たくさんの問題を作成し試験対策をしてきたたリケジョ。知らないことを学べる理科が好きな科学館職員。

鉱物とは

鉱物とは

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そもそも鉱物とはどんなものでしょうか。鉱物とはコトバンクによると「天然に産する結晶質の物質。鉱物の結晶は分子またはイオンが規則正しく配列した結晶構造をもち、外形は鉱物によって特定の結晶形を示す」とされています。「自然で作られる」、「結晶構造を持つ」というのが鉱物のポイントなのですね。

そして鉱物には色がついているものと無色のものがあり、色がついているものを「有色鉱物」といいます。有色鉱物として知られているのが、黒雲母(クロウンモ)角閃石(カクセンセキ)輝石(キセキ)橄欖石(カンランセキ)磁鉄鉱(ジテッコウ)などです。

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対する無色鉱物は透明な鉱物のこと。基本的に無色鉱物は透明なのですが、白色ものもあるので注意してください。二酸化ケイ素の結晶である石英(セキエイ)、最も豊富な鉱物である長石(チョウセキ)などが無色鉱物として知られています。ちなみにこの石英のうち無色透明なものが集まってできた結晶が水晶です。

有色鉱物は鉄やマグネシウムを多く含んでいます。それに対して無色鉱物はシリカゲルやアルミニウム、ナトリウムを多く含んだシリカ鉱物や長石類のことを指すのです。

代表的な有色鉱物

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鉱物についてわかったところで、覚えておきたい大切な有色鉱物を確認していきましょう。

黒雲母(クロウンモ)

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黒雲母は褐色や黒色をした鉱物です。その組成式はK(Mg, Fe)3AlSi3O10(OH, F, Cl)2となっています。「雲母」とは六角板状の結晶で、上の写真のような花崗岩などに含まれているのです。雲母には黒雲母の他に白雲母、というのもあります。ちなみに雲母にはマイカ、きららという呼びかたもあるので覚えておいてくださいね。

黒雲母は薄い板が重なったような構造をしていて、1枚ずつ剥がすことができます。

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