3分で簡単「初回通過効果」薬が効かなくなる!?現役講師がわかりやすく解説します!
この言葉を初めて聞くというやつも少なくないと思うが、「初回通過効果」は我々が普段、もしくは病気にかかったときにつかう”薬”の効果やはたらきを考えるのに重要なキーワードです。
大学で生物学を学び、現在は講師としても活動しているオノヅカユウに解説してもらおう。
ライター/小野塚ユウ
生物学を中心に幅広く講義をする理系現役講師。大学時代の長い研究生活で得た知識をもとに日々奮闘中。「楽しくわかりやすい科学の授業」が目標。
初回通過効果
初回通過効果(しょかいつうかこうか)…これは、薬学の世界で使われるのことの多い用語です。
私たちは病気や体の不調を感じるときに、薬のお世話になります。ところが薬は、からだのためになる成分が含まれているとはいえ、食べ物や病原体のように、体外から取り入れられた物質にほかなりません。食べ物などが消化・分解されて体内をめぐる(代謝する)ように、薬もからだから分解や代謝を受け、その後血液に乗って全身をめぐっていきます。
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このように、からだに取り入れた薬物がからだ全体をめぐる前に受ける分解や代謝のことを「初回通過効果」というのです。ちなみに英語では、”first pass effect”といいます。
初回通過効果は基本的に、摂取した薬物が肝臓を通過するときに受けます。ここで復習・確認をしておきたいのが、肝臓のはたらきです。簡単にご紹介しましょう。
肝臓のはたらきを復習しよう
肝臓は、私たちの体内にある臓器の中でも特に大きなものです。重さは成人で1~1.5kgほど、体重の1/50ほどもあります。大きく存在感もある肝臓ですが、その機能も膨大です。
肝臓には、動脈と静脈に加え、肝門脈(かんもんみゃく)という特別な血管がつながっています。これは、消化管から続く血管で、吸収された栄養などがたっぷり含まれた血液を肝臓に送っているのです。
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食べ物から吸収した栄養、時には毒物も含んだ血液が肝臓に到着すると、さまざまな処理が行われます。過剰なグルコース(糖)はグリコーゲンとなって肝臓に蓄えられ、アミノ酸からはフィブリノーゲンやアルブミンなどのタンパク質を生成。一方で、有害な物質の分解も行い、体に害の少ない物質に代謝してしまいます。
ほかにも様々な化学反応が起きており、肝臓は「体内の化学工場」といわれることもあるんです。
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