この記事では「一堂に会する」について解説する。「一堂に会する」は、意味合いはシンプルですがやや硬い言い回しになる。日常生活で砕けた時に言う言葉というよりは、改まったフォーマルな場で使う時に相応しい言葉です。覚えておいて損はないぞ。元建築系企業社員、現言葉大好きライターのsasaiを呼んです。一緒に「一堂に会する」の意味や使い方、類義語などを見ていきます。

ライター/sasai

元会社員の現役フリーライター。言葉が好きで文章が好き。読むのも書くのも大好きで、海外小説からビジネス書まで何でも読む本の虫。こだわりをもって言葉の解説をしていく。

「一堂に会する」ってどういう意味?

image by iStockphoto

「一堂に会する」の意味は以下の通りです。

大勢の人が、一つの場所に集まること。

出典:Weblio辞書「一堂に会する 意味」

「一堂に会する」の意味は大勢の人が一つの場所に集まることです。意味合いとしてはシンプルであり、特に変わったニュアンスもないため覚えるのは難しくないでしょう。

また、辞書上の意味として集まるのは「大勢の人が」ということになっています。しかし実際に使用される際は、しばしば人数のニュアンスが無視され、数人であっても「一堂に会する」が使用されることも。人数規模の把握が重要な状況の場合は、使用した人に確認を取った方がより安全です。

「一堂に会する」の読み方は?

「一堂に会する」の読み方は「いちどうにかいする」です。特に難読というわけではなく、予備知識なしでも推測で十分読める言葉と言えるでしょう。言葉の分類としては慣用句です。ことわざや故事成語ではないため、「一堂に会した」「一堂に会さない」など語尾は通常の動詞と同様変化させられます。これといって語源があるわけでもありません。

\次のページで「「一堂に会する」はどう使う?」を解説!/

「一堂に会する」はどう使う?

「一堂に会する」は以下のように使用します。

1.今度の会議ではさまざまなジャンルの専門家が「一堂に会する」こととなる。
2.これだけの有名人が「一堂に会する」と、壮観という他はない。
3.このお祭りは、町内の人間が「一堂に会する」良い機会だ。

使い方は「集まる」などとまったく同様であるため、難しいことはありません。ただ、単に「大勢で集まる」と表現するよりも、やや硬い印象になります。「集まる」と表現したいけれど、何か子供っぽい気がする…という際には、「一堂に会する」はとても便利です。一方で砕けた感じや気さくな感じとは遠くなってしまうため、状況に応じて使い分けると良いでしょう。

また、知名度としてはそこそこ高い方ではあるものの、誰もが知っているほどとは言えません。伝わらない可能性も考えておいた方が無難です。

誤解されがち?「一堂に会する」の間違いパターン

image by iStockphoto

「一堂に会する」は非常に誤解されがちな言葉です。きちんと覚えている人でも誤字を見逃しやすく、人によっては間違った表記を正しいと思い込んで覚えている人もいます。

人間だれしもミスはするものであるため、「知っていたけど間違ってしまった」ということは防ぎようがありません。しかし正しい知識をつけておけば、「どれが正しいのかわからなくなってしまった」という事態は防げます。覚えるポイントを押さえて、きっちり記憶しておきましょう。

間違いポイントその1:「一堂」と「一同」の違いは?

「一堂に会する」の「一堂」の部分に対し、まれに「一同」と思い込んでいる人がいますが、これは間違いです。正しい「一堂」の「堂」の字は、「お堂」「講堂」などの単語からも推測できるとおり、建物を表す漢字。みんなが集まる場所という意味を持っているのです。したがって、大勢が集まるという意味から考えると、「一堂」という漢字が正しいことがわかります。

一方、「一同」とは組織全体を指す言葉です。「社員一同」「スタッフ一同」などという言葉から分かるとおり、グループの人間複数を指しています。ところが「一同に会する」と表記してしまうと、「一同が」集まるのでなく、集まる目的地が「一同」となってしまうので、間違いと判断できるでしょう。

間違いポイントその2:「会する」と「介する」ってどう違う?

「一堂に会する」の「会する」という部分を「介する」と表記する人もいますが、これも間違いです。本来の「会する」は「会う」という文字であり、「会議」などの言葉から分かる通り人と会う、集まるという意味を持ちます。「一堂に会する」の意味はひとつの場所に集まるということであるため、「会う」というニュアンスを持っている「会する」が正解です。

一方で「介する」という漢字は、「媒介」「仲介」と言葉からも分かる通り、何かと何かの仲立ちをするという意味を持ちます。したがって「一堂に介する」と表記してしまうと、1つの場所に仲立ちするという意味になってしまうのです。

\次のページで「「一堂に会する」の類義語は?」を解説!/

「一堂に会する」の類義語は?

image by iStockphoto

「一堂に会する」の類義語はさまざまですが、一般的には慣用句よりも文章の方が多いです。「一か所に集まる/大勢が集まる/勢ぞろいする/結集する/全員出そろう」などの言い回しが類義語と言えるでしょう。何人も人数が居るというニュアンスと、同じ場所に集まるというニュアンスが揃っていれば類義語としては申し分ありません。

その点、「出そろう/勢ぞろいする」などの言葉は、状況によっては同じ場所には居ないというケースがあるため、やや適切でない場合もあります。

「一同に集まる」って何?

「一同に集まる」という言葉も検索などで出てきやすいですが、これも多くの人が陥る誤字です。正しくは「一堂に集まる」であり、「一同」という表記は間違い。繰り返しになりますが、「一同に」というと集合場所が「一同」ということになってしまいますので、注意してください。

また、検索エンジンでは「一同」と打っただけで「一同に集まる」とでてきてしまいますが、これは誤字です。検索結果に出てくるから正解という判断はやめましょう。

「一堂に会する」の対義語は?

れっきとした対義語はありませんが、「解散する/散会する」などの言葉はグループがばらばらになる様子を表すため、対義語と言えます。「解散」と「散会」もしばしば言葉の上で混同されますが、「解散」は「解けて(ほどけて)散らばる」と書いて「解散」です。「散会」は「会合が散る」と書いて「散会」になります。

「解散」は各々好きな方向へ散り散りになるニュアンスですが、「散会」は各々の行く先をそれぞれ理解しており、一時的に離れるというニュアンスが強めです。

「一堂に会する」ことの意味が問われる

近年世界中で騒動を起こしたCOVID-19の影響により、年単位で時間が経過した今も、完全に日常が戻ったとは言えない状況が続いています。そんな中、人と人との直接の接触を避けようとさまざまな工夫が凝らされ、在宅ワークやリモート会議など、顔を会わせないで用を足すという方法が珍しくなくなってきました。

このような状況で、人と人が直接会うことの意義は何か?ということが改めて考えられたと思います。中には、人と人が顔を会わせる必要などないと思う人もいるかもしれません。しかし私達は人間である以上、人間との関りからは逃れられないのも事実です。今一度、「一堂に会する」ことの価値について考えてみるのも良いでしょう。

" /> 分かりやすいけど間違えやすい!「一堂に会する」の意味や使い方・類義語などを言葉大好きライターがわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

分かりやすいけど間違えやすい!「一堂に会する」の意味や使い方・類義語などを言葉大好きライターがわかりやすく解説!

この記事では「一堂に会する」について解説する。「一堂に会する」は、意味合いはシンプルですがやや硬い言い回しになる。日常生活で砕けた時に言う言葉というよりは、改まったフォーマルな場で使う時に相応しい言葉です。覚えておいて損はないぞ。元建築系企業社員、現言葉大好きライターのsasaiを呼んです。一緒に「一堂に会する」の意味や使い方、類義語などを見ていきます。

ライター/sasai

元会社員の現役フリーライター。言葉が好きで文章が好き。読むのも書くのも大好きで、海外小説からビジネス書まで何でも読む本の虫。こだわりをもって言葉の解説をしていく。

「一堂に会する」ってどういう意味?

image by iStockphoto

「一堂に会する」の意味は以下の通りです。

大勢の人が、一つの場所に集まること。

出典:Weblio辞書「一堂に会する 意味」

「一堂に会する」の意味は大勢の人が一つの場所に集まることです。意味合いとしてはシンプルであり、特に変わったニュアンスもないため覚えるのは難しくないでしょう。

また、辞書上の意味として集まるのは「大勢の人が」ということになっています。しかし実際に使用される際は、しばしば人数のニュアンスが無視され、数人であっても「一堂に会する」が使用されることも。人数規模の把握が重要な状況の場合は、使用した人に確認を取った方がより安全です。

「一堂に会する」の読み方は?

「一堂に会する」の読み方は「いちどうにかいする」です。特に難読というわけではなく、予備知識なしでも推測で十分読める言葉と言えるでしょう。言葉の分類としては慣用句です。ことわざや故事成語ではないため、「一堂に会した」「一堂に会さない」など語尾は通常の動詞と同様変化させられます。これといって語源があるわけでもありません。

\次のページで「「一堂に会する」はどう使う?」を解説!/

次のページを読む
1 2 3
Share: