理科生物細胞・生殖・遺伝

3分で簡単「分化」ひとつの受精卵からヒトが出来る理由を現役理系大学院生がわかりやすく解説!

よぉ、桜木建二だ。今日のテーマは「分化」だ。
生物はたった一つの受精卵と呼ばれる単細胞から始まる。受精卵は分裂を繰り返して複数の細胞群となり、各々の細胞が生存に必須な組織に変化して多様な組織が形成され、最終的に個体となるんだ。この細胞が変化することを細胞の「分化」と呼ぶ。
受精卵から生物の誕生まで、さらに誕生後も身体を維持するために非常に重要な現象である「分化」を現役理系大学院生で生物に詳しいライターcaoriと一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/Caori

国立理系大学院の博士課程に在籍している現役の大学院生。とっても身近な現象である生命現象をわかりやすく解説する「楽しくわかりやすい生物の授業」が目標。

細胞の分化とは

image by iStockphoto

発生物学では特殊化していない細胞がより特殊化したタイプの細胞に変化するプロセスのことを「分化」と呼びます。簡単に言えば、それぞれの細胞が何らかの役割を持つことです。

私達は最初はたった一つの受精卵から始まります。受精卵から個体になるには、それぞれの組織でそれぞれの役割を果たすために、その組織に見合った場所で見合った機能を持たなくてはなりません。そのために受精卵が卵割、分裂してできた胚細胞は、ある細胞は筋肉へ、ある細胞は神経へ、ある細胞は皮膚へ…と異なる細胞へと変わっていくことが必要です。このように異なった機能を持つ細胞に変化する現象を「細胞分化」と言います。

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細胞増殖と細胞分化はまったく違う現象だ。 細胞増殖は「細胞数を増加させるプロセス」で、細胞分化は「細胞の形態および機能を変化させるプロセス」。 細胞増殖は細胞分裂の結果で同じ細胞が増える現象だが、細胞分化は遺伝子発現の調節の結果で性質の違う細胞になることだ。間違えやすいポイントだからしっかり抑えよう。

分化する能力を持つ細胞

分化する能力を持つ細胞

image by Study-Z編集部

今回は哺乳類細胞の分化に焦点を当てて解説をします。哺乳類の体を構成している細胞は、「生殖細胞」「幹細胞」「体細胞」の3種類です。この3種類のうち「分化」する能力を持っているのは「生殖細胞」と「幹細胞」で、「幹細胞」は「全能性幹細胞」「多能性幹細胞」「成体幹細胞」に大別されています。

ヒトの発生の始まりは、生殖細胞である精子と卵子が受精して出来た受精卵と呼ばれる1つの細胞です。受精卵は胎盤などの胚体外組織を含む、どの細胞にもなれる万能な細胞なので「全能性幹細胞」。その後、細胞分裂を続け、「全能性幹細胞」は特殊化して「多能性(万能性)幹細胞」と呼ばれる細胞に分化します。多様性幹細胞はあらゆる細胞になる能力を持ちますが、それだけでは胎盤や胎児(立体構造)を作ることはできません。「多能性幹細胞」はさらに分化を重ね、生体内のそれぞれの組織を作るための「成体幹細胞」と呼ばれる種々の幹細胞になります。

多能性幹細胞と成体幹細胞

image by iStockphoto

多能性幹細胞とは具体的に言うと内胚葉、中胚葉、外胚葉の全てに分化可能である細胞のことです。この頃から細胞が将来どの臓器を構成することになるのか、少しずつ決められていきます。たとえば、外胚葉が分化するのは皮膚や感覚器、神経系です。さらに中胚葉は骨格や筋、循環器系、泌尿器生殖系へ。内胚葉は消化器系、呼吸器系、尿路系へと分化していきます。

三胚葉から分化して出来たそれぞれの組織には「成体幹細胞」と呼ばれる特定の複数の細胞にだけ分化する細胞が存在し、その役割は新しい細胞を補充したり、損傷した場合に組織を再生することです。それぞれの細胞には寿命があるため、成体幹細胞は必要に応じて新しい細胞を作りだして必要な細胞を維持しています。「成体幹細胞」は細胞分裂の周期を多数経ても、細胞の性質を維持する能力(未分化能)を持つことが特徴です。成体幹細胞は絶える事なく生体内の状況に応じて分化、自己複製を調整し、その組織に必要な細胞を供給しています。

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ニュースなどでES細胞やiPS細胞という言葉を聞いたことがあると思う。特にiPS細胞は京都大学の山中伸弥教授がノーベル賞を受賞したことで有名で、この2つの細胞は再生医療や創薬、基礎医学研究の分野でとても期待されている。

実はこの2つの細胞も「分化」という現象を応用してつくられた細胞なんだ。ここからはES細胞とiPS細胞の特徴や問題点を含めて解説していくぞ。

\次のページで「ES細胞とは」を解説!/

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