この記事では「口を割る」について解説する。

端的に言えば口を割るの意味は「白状すること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本語学を中心とし、文学・語学を専門的に学んでいるライターのイオリを呼んです。一緒に「口を割る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/イオリ

日本語学を専門に学び、趣味は読書と小説執筆という日本語漬けの毎日を送るライター。日本語オタクとして言葉の意味や内容、その面白さを丁寧に解説していく。

「口を割る」の意味や語源・使い方まとめ

image by PIXTA / 47556892

それでは早速「口を割る」の意味や使い方を見ていきましょう。

「口を割る」の意味は?

「口を割る」には、次のような意味があります。

白状する。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「口を割る」

「口を割る」と聞くと、何となく堅苦しいようなイメージが湧いてきますよね。「犯人が口を割る」などという文脈で、耳にしたことのある人もいるのではないでしょうか。

この「口を割る」の意味は「白状すること」です。そして「白状」には、隠していた事実や罪を述べることという意味があります。ただ単に告白するというようなニュアンスではなく、やはり言いづらいことを口にするような堅苦しさ、重さがありますね。

また「口を割る」というような表現方法は、「口を閉ざす」や「口を噤む」という慣用句の反対であると想像するとイメージしやすいかもしれません。「閉ざした口を割る」というような感じですね。「腹を割って話す」などという言葉もあるように、「割る」という単語を体の一部分を表す単語と繋げて意味を表現するというのはしばしば見られる方法です。

「口を割る」の使い方・例文

それでは「口を割る」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「口を割る」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.いろいろな情報が錯綜し捜査に支障が出て、いよいよ収拾がつかなくなったころに容疑者が口を割った。
2.テストの実施中にこっそり正解を確認したのではないかということについて、口を割るつもりはないようだ。
3.検索と閲覧の履歴を保存し損ねて問題が発生したが、自白する者も口を割る者もいなかった。

1の例文は「容疑者が自身の罪を白状した」という意味を表すことのできる文章です。「口を割る」はこういった文脈で使われることが非常に多い慣用句ですが、「割る」という行為から連想して「自白し始める」というように白状という行為の始めの部分を指すようなニュアンスがあります。ようやく口をひらき始めた、といった感じですね。

2の例文は「自白するつもりはないようだ」と言い換えることもできます。基本的には1と同じ使い方であるということがわかりますね。このようにほぼ犯人がわかっていたり罪の内容がわかっている際にも、「自白がない」という点で「口を割らない」「口を割るつもりはない」という表現をすることができるため、押さえておきましょう。

3の例文は「自分から罪を白状する者はいなかった」という形の文章ですね。何か問題が起こったときに、その犯人の言葉・犯人の自白ではないとしても、何かを隠している関係者などに対して「口を割る」という言葉をあてがうこともできるのです。

3つの例文を見ると、どれも相手や他人、第三者に対して「口を割る」という言葉を使用していることがわかりますね。このように、「口を割る」が使われるのは特に第三者が多く、自分について「口を割った」「口を割らない」などという表現を使うことはあまり見られないため、注意しておきましょう。

「口を割る」の類義語は?違いは?

image by PIXTA / 30712265

それでは次に「口を割る」の類義語を確認していきましょう。意味は「白状すること」でしたね。

「泥を吐く」

これは「問い詰められて隠していた罪状を白状する」という意味の慣用句です。「口を割る」と同じように「犯人がついに泥を吐いた」などという使い方をされることが多い言葉であり、非常によく似た類義語であると言えるでしょう。この「泥を吐く」は元々「腹の中に合った汚い泥を吐きだす」という行為から比喩的に「罪を白状する」という意味に繋がった慣用句です。そのため「汚い泥」が「罪」であるというふうに連想できて、わかりやすい言葉ではありますね。

一方で、「口を割る」は文字通りその閉ざされていた口をひらくことに慣用句として重きが置かれています。「泥を吐く」の場合は前述の通り、泥である自分の罪というものに重きが置かれているということが言えそうですね。

「口を割る」の対義語は?

類義語を確認したところで、次は「口を割る」の対義語を確認していきましょう。

\次のページで「「口を閉ざす」」を解説!/

「口を閉ざす」

これは「何も言うまいとして沈黙すること」を指す慣用句です。冒頭にも「口を割る」の反対として連想しやすい言葉であると説明しましたが、意味的にもちょうど対義語としてぴったり当てはまる言葉ですね。単に「何も言わない」という意味ではなく、「何かがあるにもかかわらず、それを隠して言わずに黙っている」という様子を指します。

ちなみに「口を閉じる」「閉口する」だと、漢字は全く同じでもそれぞれ意味が異なってくるため注意が必要です。「口を閉じる」だと「話すのをやめること」が主な意味になりますし、「閉口する」だと「手に負えなくて困ること」を指す慣用句になります。これらを見ると、「口を割る」の対義語としてはやはり「口を閉ざす」が一致していると言えそうですね。間違えないように気を付けながら、セットで覚えておくと便利ですよ。

「口を割る」の英訳は?

image by PIXTA / 53847195

では最後に「口を割る」の英訳を見ていきましょう。

「to confess」

「confess」は「告白する、白状する」という意味の英単語です。この英語表現も、愛の告白などではなく「自分の罪を告白する」というニュアンスを持ったものであるため、「口を割る」ともちょうど同じ意味で使うことができそうですね。

その他にも「to speak out」「unseal one's lips」など、「白状する」の意味を表すことのできる英語表現はいくつかあります。「口」という日本語の意味にこだわらず、前後の文脈に合わせて使いわけられるようにしておきましょう。

「口を割る」を使いこなそう

この記事では「口を割る」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「白状する」という意味を持ち、少し硬めのニュアンスで文章に使用されることが多い慣用句です。また、「白状し始める」といったような「話し始め」のイメージがあることもポイントでしたね。

言いかえ表現も豊富にあり自由に使える便利な言葉ですが、他の語同様誤字脱字には注意しましょう。関連語句もしっかり押さえて、語彙力を鍛えていきたいですね。

" /> 【慣用句】「口を割る」の意味や使い方は?例文や類語を日本語オタクライターがわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

【慣用句】「口を割る」の意味や使い方は?例文や類語を日本語オタクライターがわかりやすく解説!

この記事では「口を割る」について解説する。

端的に言えば口を割るの意味は「白状すること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本語学を中心とし、文学・語学を専門的に学んでいるライターのイオリを呼んです。一緒に「口を割る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/イオリ

日本語学を専門に学び、趣味は読書と小説執筆という日本語漬けの毎日を送るライター。日本語オタクとして言葉の意味や内容、その面白さを丁寧に解説していく。

「口を割る」の意味や語源・使い方まとめ

image by PIXTA / 47556892

それでは早速「口を割る」の意味や使い方を見ていきましょう。

「口を割る」の意味は?

「口を割る」には、次のような意味があります。

白状する。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「口を割る」

「口を割る」と聞くと、何となく堅苦しいようなイメージが湧いてきますよね。「犯人が口を割る」などという文脈で、耳にしたことのある人もいるのではないでしょうか。

この「口を割る」の意味は「白状すること」です。そして「白状」には、隠していた事実や罪を述べることという意味があります。ただ単に告白するというようなニュアンスではなく、やはり言いづらいことを口にするような堅苦しさ、重さがありますね。

また「口を割る」というような表現方法は、「口を閉ざす」や「口を噤む」という慣用句の反対であると想像するとイメージしやすいかもしれません。「閉ざした口を割る」というような感じですね。「腹を割って話す」などという言葉もあるように、「割る」という単語を体の一部分を表す単語と繋げて意味を表現するというのはしばしば見られる方法です。

「口を割る」の使い方・例文

それでは「口を割る」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「口を割る」の類義語は?違いは?」を解説!/

次のページを読む
1 2 3
Share: