
端的に言えば問答無用の意味は「話し合いを断る」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
言葉系の研究のライターを10年経験したコトバアソビを呼んです。一緒に「問答無用」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/コトバアソビ
言葉を創ることを実践しているライター。電子書籍発行元や週刊誌の編集者から「問答無用で明日までに記事を10本作ってね」と言われることは日常茶飯事。
豊富な取材も行った経験から、実践で使える生きた日本語を勉強。言葉の響きをSNSで試し「いいね」をもらい、ニヤリとしている一面を持つ
「問答無用」の意味は?
「問答無用」(もんどうむよう)には、次のような意味があります。
1.あれこれ議論してもなんの利益もないこと。
2.もはや議論する必要のないこと。
3.問答無益(むやく)。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「問答無用」
「問答無用」の「問答」とは、話し合いや議論のことを指します。「無用」とは直訳すると用はないことから「意味はないこと」です。したがって「問答無用」とは、話し合う余地がないことを指します。「問答無用」はビジネス用語で断り文句の1つです。
また命令指示系統にてごくまれに使われる言葉。しかし最近では「意味もなく」から「絶対的に~」と言う意味でも使う若者が増えています。
注意点として目上の人には使えないこと。また相手との関係性を一度断ち切ってしまうため、ビジネスシーンでは使用は控えるのがベターです。また強引に自分の意見を通すことから、上司が部下に頻繁に使うと、パワハラと受けとられるケースもあります。
そういえば筆者、昔は人事採用をやっていたときに、上司から「問答無用で来月までに100人採用しろ!」などと言われ、寝ずに働いていたこともありました。(今となってはパワハラですね。)
「問答無用」の語源は?
次に「問答無用」の語源を確認しておきましょう。
「問答無用」の語源はさまざまな説があります。「問答」とは仏教において悟りを開くための修行のことを指し、自分自身に生きる意味を問いかけること。したがって語源から推測する意味とは、修業を必要としない人(悟りを開いた人)のことを表す言葉です。
問答とは迷いとも捉えることができ、迷いなしに自分の意思決定に従わせるとの意味を持ちます。
この「問答無用」が有名になったきっかけは、1932年に犬養毅首相が暗殺された「五・一五事件」。暗殺する海軍中尉との会話で、犬養首相が「話せばわかる」と諭したところ、「問答無用!撃て」と言われ射殺されたことがニュースとなったからです。
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