この記事では、「怠惰」について解説する。

「怠惰」が「なまける」って意味なのは、知っている人も多いでしょう。漫画なんかでもたまに見かける言葉だしな。しかしキリスト教では「怠惰」が罪だとされているってのは知っていたか?しかもキリスト教の「怠惰」は単に「仕事をしない」ってことではないらしいのです。

今回はそんな「怠惰」の意味をいろんな角度から解説してもらう。講師は尻に火が付くまで「怠惰」を貫くライターである、ぷーやんです。それじゃあ、順にみていこうか。

ライター/ぷーやん

webライター歴6年。鍛えられた語彙と文章力は本業でも発揮され、社内ルールの書き換え担当に。夏休みの宿題も大学受験もぎりぎりまで対策をしなかった、「怠惰」のスペシャリスト。

「怠惰」の意味とは?

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「怠惰」の意味は漫画やアニメも一役買って、多くの方が知るところでしょう。しかし言葉を意のままに使うためには、理解を深めることも大切です。この記事では少し多角的に「怠惰」を解説します。

「怠惰」の読み方は?

いまさらですが、「怠惰」の読みは「たいだ」です。「怠」も「惰」もどちらも訓読みでは「おこた-る」であり、同じ意味の言葉をならべてより強調させたもの。これにより“たまたまできなかった”程度ではなく、“習慣的にやらない”という意味合いになっていますね。

辞書にみる「怠惰」

そんな「怠惰」は、辞書ではつぎのように示されています。

[名・形動]なまけてだらしないこと。また、そのさま。「―な人」

出典:デジタル大辞泉(小学館) 「怠惰」

ご存知の方には釈迦に説法かもしれませんね。次に、「怠惰」を使った例文を示します。

1.学生時代はアルバイトも部活もしない、怠惰な生活を送っていた。
2.彼には多くの仕事を振らないほうがいい。いつも納期ギリギリまで仕事を進めない怠惰な男だからな。

例文1はよく聞くもったいない話しです。私も耳が痛いばかりですが。自由な時間を有意義に使える人は、数年もすれば見違えるように変わるものです。みなさんは後悔のないようにお過ごしください。

例文2のように「怠惰」がほかの人の迷惑になることもしばしば。他人からの信頼を失わないためにも、仕事は早めにこなしていきたいものですね。

\次のページで「「怠惰」の英語訳は?」を解説!/

「怠惰」の英語訳は?

「怠惰」の英語訳は「laziness」「idleness」「accidia」などいろいろありますが、それぞれニュアンスが微妙に異なります。「laziness」は「勤勉に仕事をしない」こと。のんびり仕事をしていることも含意します。「idleness」の「idle」は車の「アイドリング」の「アイドル」で、「活動していない」こと。「accidia」は「無関心・無感動」といった、心の動きも守備範囲に。

キリスト教「7つの大罪」での意味は?

キリスト教のカトリック教会では、人を罪に導きかねない欲望として『7つの大罪』を設定しています。同じ名前の漫画でご存知かもしれませんね。個別の詳細は省きますが、この『7つの大罪』の1つに「怠惰」があります。

ここでいう罪とは誰かに危害を加えるということではなく、神への信仰に逸れる行いのこと。旧約聖書では、仕事を休んで神の礼拝に集中するための「安息日(≒日曜日)」に休まないことを、「怠惰」としているそうです。

「怠惰」の類義語3選

今回は、「怠惰」の類義語を3つご紹介します。

「無精・不精(ぶしょう)」:物事をするのを面倒がること

「無精者」や「筆不精」などといった使い方でよく見かける言葉です。剃らずに伸びたひげを「無精ひげ」などとも言いますね。

「物臭(ものぐさ)」:面倒がること

御伽草子のひとつ『物くさ太郎』にも使われる、古い言葉です。『物くさ太郎』のあらすじは、怠け者が実は才気あふれる血筋の人で、その才能が開花していくというサクセスストーリー。いわゆる「なろう系小説」にありがちなパターンですが、昔の日本でもそういった着想はあったようです。

「横着(おうちゃく)」:するべきことを故意になまけること

「横」は横暴や横柄などと同じ使われ方で、自分勝手という意味。「着」はおさまるという意味で、これらを足すと「自分勝手な状態におさまっている」となります。もともと「横着」は仏教でお勤めを怠ける者に使われていた言葉です。

「怠惰」の対義語3選

次に、「怠惰」と反対の意味の言葉を3つ紹介します。

\次のページで「「勤勉」:仕事や勉強などに一生懸命励むこと」を解説!/

「勤勉」:仕事や勉強などに一生懸命励むこと

どなたも1度は見聞きして使ったことのある言葉でしょう。「怠惰」がマイナスイメージの強い言葉であるのに対し、「勤勉」は悪い意味で使われることがありませんね。

「努力」:目的のために力を尽くすこと

「努力」は目的や目標のために頑張ることですので、「怠惰」とは反対と言えるでしょう。目的をもって怠けているなら、話しは別かもしれませんが。

「精励」:精を出して励むこと

「精励」は聞きなじみのない言葉かもしれませんね。「精励恪勤(せいれいかっきん)」という四字熟語になると、「全力で仕事や勉強を頑張る」という意味に。

「怠惰」の弊害

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人間はとても強い意思がなければ、楽な方へと流されていくもの。それが慢性化すると「怠惰」になっていくのでしょう。ついつい陥りがちな「怠惰」には、どういう弊害があるのでしょうか。

「怠惰」は大罪?

「怠惰」がキリスト教で大罪とされている理由は、神への信仰を妨げるためでしたね。神への信仰のために自分の行動を律する宗教においては、誰に迷惑をかけるわけでなくても、「怠惰」が大罪とされます。しかし社会ではさまざまな宗教信者も無宗教者も一緒に暮らしているので、他人に危害や迷惑をかけないことまでを『大罪』というのは言い過ぎでしょう。

「怠惰」はなぜ悪い?

他人に迷惑をかけない「怠惰」について『大罪』は言い過ぎとしても、「怠惰」がよくないことは万人の知るところ。とはいえ、なぜ「怠惰」が悪いことなのか説明できるでしょうか?

それは「怠惰」による歩みの停滞が学びを阻害して、ものごとを熟考しない癖がつくことにつながるから。その果てには自分の存在価値があやふやになってしまい、ほかの人への偏見・差別にもつながりかねません。「怠惰」が他人に迷惑をかけるかどうかはケースバイケースですが、自分に対してはいつもマイナスの影響があります。

脱「怠惰」への道

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私と同じように、「『怠惰』がよくないなんてわかってるよ。わかってるんだけどさ…」という方も多いはず。最後に「怠惰」を乗り越える方法をご紹介しましょう。

\次のページで「環境を整える」を解説!/

環境を整える

環境を変えることで、「怠惰」が影を潜めることがあります。例えば勉強をする習慣を身に付けられず、どうしてもやる気が起きないケースを考えてみましょう。この場合、塾など勉強が習慣化される環境に飛び込んでみたり、毎日勉強している人と仲良くなったりすることで「怠惰」を克服できるかもしれません。

ふだん気にするのは大きな目標より小さな1歩!

大きな目標を立てることは大切ですが、毎日その目標を思い出していると、あまり変化しない自分に嫌気がさしてやる気がなくなることも。そうならないためには、目標へのステップを小分けすることです。先の勉強の例で言えば、1日に1つだけ問題を解くなどはどうでしょうか。その小さな1歩が習慣化したら、しめたもの。次々と1歩を進めていけば、いつか大きな目標に近づいていることを実感できるはずです。

「めんどくさいバリア」をみつける!

小さな1歩も、習慣化するには「めんどくさい」が大敵です。1日1問に挑戦するにも、毎日問題集を取り出すところからやるより、思い切って問題集を目につくところに置いておいたほうが続きやすいでしょう。

あえて制約を設ける!

人は「いつになったら終わるのか」がわからないと、ストレスを感じやすいものです。大きな目標にあえて期限をつけることで、そこに向かうためのステップを逆算しやすくなります。重要なのは、タイトさのバランス。理想的なスケジュールを固定して、本当に重大なもの以外は切り捨てていく厳しさも必要です。

「休息」は「怠惰」ではない!

まじめな人ほど、休むことに抵抗を持ってしまいがち。しかし「休息」は肉体的にも精神的にも、なにかをやり続けるためには欠かせません。やるべきことから逃げる「怠惰」と、疲労をとるための「休息」を混同しないように意識したいですね。

「怠惰」はダメでもゆとりは必要

この記事では「怠惰」について、悪いとされる理由や克服方法のご紹介もまじえて解説しました。

すべきことから逃げる「怠惰」は自分にとってよくないことです。しかしいつも緊張感をもって前向きで居続けようとしていると、大地震のようにいつか溜まったひずみが爆発しかねません。あまり固く考えすぎずにある程度の余裕を持つようにすることは、とても大切なことです。

今回ご紹介したように大きな目標ばかり気にして変化のないことを嘆くより、小さな1歩を喜べるようなゆとりをもって生きたいものですね。

英語の勉強には洋楽の和訳サイトもおすすめです。
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国語言葉の意味

怠惰は7つの大罪の1つ?言葉の真意を類義語・対義語・英語訳とともにwebライターがわかりやすく解説!

この記事では、「怠惰」について解説する。

「怠惰」が「なまける」って意味なのは、知っている人も多いでしょう。漫画なんかでもたまに見かける言葉だしな。しかしキリスト教では「怠惰」が罪だとされているってのは知っていたか?しかもキリスト教の「怠惰」は単に「仕事をしない」ってことではないらしいのです。

今回はそんな「怠惰」の意味をいろんな角度から解説してもらう。講師は尻に火が付くまで「怠惰」を貫くライターである、ぷーやんです。それじゃあ、順にみていこうか。

ライター/ぷーやん

webライター歴6年。鍛えられた語彙と文章力は本業でも発揮され、社内ルールの書き換え担当に。夏休みの宿題も大学受験もぎりぎりまで対策をしなかった、「怠惰」のスペシャリスト。

「怠惰」の意味とは?

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「怠惰」の意味は漫画やアニメも一役買って、多くの方が知るところでしょう。しかし言葉を意のままに使うためには、理解を深めることも大切です。この記事では少し多角的に「怠惰」を解説します。

「怠惰」の読み方は?

いまさらですが、「怠惰」の読みは「たいだ」です。「怠」も「惰」もどちらも訓読みでは「おこた-る」であり、同じ意味の言葉をならべてより強調させたもの。これにより“たまたまできなかった”程度ではなく、“習慣的にやらない”という意味合いになっていますね。

辞書にみる「怠惰」

そんな「怠惰」は、辞書ではつぎのように示されています。

[名・形動]なまけてだらしないこと。また、そのさま。「―な人」

出典:デジタル大辞泉(小学館) 「怠惰」

ご存知の方には釈迦に説法かもしれませんね。次に、「怠惰」を使った例文を示します。

1.学生時代はアルバイトも部活もしない、怠惰な生活を送っていた。
2.彼には多くの仕事を振らないほうがいい。いつも納期ギリギリまで仕事を進めない怠惰な男だからな。

例文1はよく聞くもったいない話しです。私も耳が痛いばかりですが。自由な時間を有意義に使える人は、数年もすれば見違えるように変わるものです。みなさんは後悔のないようにお過ごしください。

例文2のように「怠惰」がほかの人の迷惑になることもしばしば。他人からの信頼を失わないためにも、仕事は早めにこなしていきたいものですね。

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