この記事では「毛が生えた」について解説する。
端的に言えば「毛が生えた」の意味は「ほぼ同程度」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
学習塾で国語を4年間担当し、契約書校正業務を3年以上経験している、ミリーを呼んです。一緒に「毛が生えた」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/持木ミリー

今回の記事を担当するのは、塾講師として国語などを4年間担当し、その後契約書作成や校正に3年以上携わっている、Webライターのミリー。間違った日本語に目ざといミリーが、慣用句の意味について、分かりやすく解説していく。

「毛が生えた」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

それでは早速、「毛が生えた」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「毛が生えた」の意味は?

「毛が生えた」には、次のような意味があります。

少しは良いのかもしれないが、実質的にぜんぜん変わっていない様子、ほぼ同程度である様子などを意味する表現。

出典:実用日本語表現辞典

この言葉は「少しは良いのかもしれないが、実質的にぜんぜん変わっていない様子、ほぼ同程度である様子」を意味する慣用句です。「少しは良い」かもしれないものの、「ほぼ変化なし」という状態なので、程度を軽く見るような場面でよく使われます。

また、自身を謙遜するような場面でも使われることが多い言葉ですね。詳しくは、この後の例文で確認してみましょう!

「毛が生えた」の語源は?

次に「毛が生えた」の語源を確認しておきましょう。「毛が生えた」という言葉を、そのまま言葉通り受け取ってしまうと、何のことだか想像しにくいですよね。実は、具体的に何の毛を表しているのかということについては、明確な答えがないそうです。

ですが、毛と言っても、ふさふさ大量の毛が生えている様子ではありません。体のどこでもいいですが、数本だけちょろっと毛が生えていたところで、傍目にはあまり気づかれないものですよね。また、数本だけ毛が増えたところで、重さが変わるわけでもありません。

こういった様子から、「実質的にぜんぜん変わっていない」「ほぼ同程度」という意味を表す慣用句となりました。

\次のページで「「毛が生えた」の使い方・例文」を解説!/

「毛が生えた」の使い方・例文

「毛が生えた」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

・「へえ、君は絵が上手いんだね!」「ありがとうございます、趣味に毛が生えたようなものですが…。」

・最近うちに弟子入りしたやつがおるんだが、昔自分の家で少しだけ修行をしていただけのようで、あれではただの素人に毛が生えたようなものだ。

・美しい湖を拝めると言われ、彼の別荘まで行くことにしたが、水たまりに毛が生えたレベルの大きさだったので、わざわざ貴重な休日を使ってまで、見に来るようなものではなかった。

・何度も何度も言った末、夫はやっと家事を手伝ってくれるようになったが、その成果といえば、子供のお手伝いに毛が生えたようなものだ。

元々は単に、「少しは良いかもしれないものの、ほぼ変化なし。」という意味ですが、実際に使うとなると、あまりいい意味では使われませんね。

「そんなものに毛が生えたところで、大したものにはならない。」と、「そんなもの」の地位を落として表現する時に、「毛が生えた」という言葉を使います。

「毛が生えた」の類義語は?違いは?

image by iStockphoto

さて、ここからは「毛が生えた」の類義語や、類義語どうしの微妙な違いについて見ていきましょう。

「どんぐりの背比べ」

「毛が生えた」の類義語には、「どんぐりの背比べ」という言葉が挙げられます。「どんぐりの背比べ」という言葉も、「何かを比較しても大差がない」という意味です。どんぐりを並べたところで、どれも同じような長さですから、その様子から来た言葉だと考えられますね。

「大差がない」という点では共通していますが、異なる点もあります。「どんぐりの背比べ」では、比較対象の中で優劣を付けているわけではありません。「どれも大差ないけど、強いて言うならこのどんぐりが少し長い。」という優劣は付けていませんよね。

一方、「毛が生えた」では、「毛が生えている方が少しはマシ(だけど大差がない)」というニュアンスを含んでいます。少しの差ですが、優劣を付けているかどうかという点で、この2つの言葉に違いが見られますね。

他にも、「五十歩百歩」「五分五分」という言葉も、「毛が生えた」の類義語として挙げられますが、これらの言葉も、比較対象の中で優劣を付けているわけではありません。

\次のページで「「毛が生えた」の対義語は?」を解説!/

「毛が生えた」の対義語は?

image by iStockphoto

次に、「毛が生えた」の対義語を見ていきましょう。

「雲泥の差」

「毛が生えた」の対義語には、「雲泥の差」が挙げられます。

雲は天にあり、泥は地にあることから、「正反対」「大きな隔たりや差がある」という意味です。また、レベルが高すぎて手が届かないという意味の、「雲の上の存在」という言葉からも分かるように、「雲」には「高い」「優れた」という意味合いがあります。

毛が生えた:「毛が生えた」方が少しはいいのかもしれないが、ほぼ変化なし。

雲泥の差:雲の方が圧倒的に優れている。

「毛が生えた」と「雲泥の差」の意味はまさに、「雲泥の差」ですね。

「毛が生えた」の英訳は?

image by iStockphoto

最後に、「毛が生えた」の英訳についても、チェックしてみましょう。

″Hairy″

「毛が生えた」をそのまま英訳すると、本当に毛が生えている様子を意味する、″Hairy″ となります。これでは、慣用句としての「毛が生えた」という言葉の英訳にはなりませんね。

\次のページで「″It may be a little good, but there is almost no change″」を解説!/

″It may be a little good, but there is almost no change″

「毛が生えた」の本来の意味である、「少しはいいのかもしれないが、ほぼ変化なし。」を英訳すると、″It may be a little good, but there is almost no change″ となります。英訳すると、どうしても「文」になってしまいますが、この意味を一言で表すことができる、「毛が生えた」という日本語は便利ですね。

「毛が生えた」を使いこなそう

この記事では「毛が生えた」の意味・使い方・類語などを説明しました。「少しは良いのかもしれないが、ほぼ変化なし。」という意味ですので、「毛が生えたもの」の地位を落とすような表現になってしまいますね。

このニュアンスを、たった5文字で簡潔に表現できるという点では面白く、便利な言葉です。しかし、ネガティブな表現も含まれていますので、何かにつけて多用するのは、控えた方がいいかもしれません。

「少しは良いのかもしれない」なら、「良い」というところに目を向けて、ポジティブに生きられると楽しいですよね!

" /> 【慣用句】「毛が生えた」の意味や使い方は?例文や類語を元塾講師Webライターがわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

【慣用句】「毛が生えた」の意味や使い方は?例文や類語を元塾講師Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「毛が生えた」について解説する。
端的に言えば「毛が生えた」の意味は「ほぼ同程度」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
学習塾で国語を4年間担当し、契約書校正業務を3年以上経験している、ミリーを呼んです。一緒に「毛が生えた」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/持木ミリー

今回の記事を担当するのは、塾講師として国語などを4年間担当し、その後契約書作成や校正に3年以上携わっている、Webライターのミリー。間違った日本語に目ざといミリーが、慣用句の意味について、分かりやすく解説していく。

「毛が生えた」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

それでは早速、「毛が生えた」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「毛が生えた」の意味は?

「毛が生えた」には、次のような意味があります。

少しは良いのかもしれないが、実質的にぜんぜん変わっていない様子、ほぼ同程度である様子などを意味する表現。

出典:実用日本語表現辞典

この言葉は「少しは良いのかもしれないが、実質的にぜんぜん変わっていない様子、ほぼ同程度である様子」を意味する慣用句です。「少しは良い」かもしれないものの、「ほぼ変化なし」という状態なので、程度を軽く見るような場面でよく使われます。

また、自身を謙遜するような場面でも使われることが多い言葉ですね。詳しくは、この後の例文で確認してみましょう!

「毛が生えた」の語源は?

次に「毛が生えた」の語源を確認しておきましょう。「毛が生えた」という言葉を、そのまま言葉通り受け取ってしまうと、何のことだか想像しにくいですよね。実は、具体的に何の毛を表しているのかということについては、明確な答えがないそうです。

ですが、毛と言っても、ふさふさ大量の毛が生えている様子ではありません。体のどこでもいいですが、数本だけちょろっと毛が生えていたところで、傍目にはあまり気づかれないものですよね。また、数本だけ毛が増えたところで、重さが変わるわけでもありません。

こういった様子から、「実質的にぜんぜん変わっていない」「ほぼ同程度」という意味を表す慣用句となりました。

\次のページで「「毛が生えた」の使い方・例文」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: