
「加水分解酵素」にはどんなものがある?現役講師が5分でザックリわかりやすく解説します!
生物の体内では、さまざまな酵素が使われている。中でも加水分解酵素は、食事の消化などにかかわるものが多く、身近な酵素だといえる。具体例とともに学んでいこうじゃないか。
大学で生物学を学び、現在は講師としても活動しているオノヅカユウに解説してもらおう。

ライター/小野塚ユウ
生物学を中心に幅広く講義をする理系現役講師。大学時代の長い研究生活で得た知識をもとに日々奮闘中。「楽しくわかりやすい科学の授業」が目標。
加水分解酵素
加水分解酵素(かすいぶんかいこうそ)とは、名前の通り加水分解反応を促進するタイプの酵素です。加水分解とは、ある分子に水を反応させることで、それまであった分子をばらばらに分解してしまう化学反応のことをさします。
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image by Study-Z編集部
分子の結合が切れるところに、水分子由来のHとOHがそれぞれ入り込むのです。
酵素は、化学反応を引き起こしやすくする”触媒”の機能をもったタンパク質。基本的に、加水分解反応が起きても、酵素自身は変化しません。
私たちの体内ではたくさんの酵素がつくられ、機能していますが、その中でも加水分解酵素は少なくありません。とくに、食べ物の消化に役立つ酵素として、名前がよく知られているものもあるんです。
人間のからだではたらく代表的な加水分解酵素は、おおきく4つのグループにわけて紹介されることがあります。以下をご覧ください。
・炭水化物加水分解酵素
・タンパク質加水分解酵素
・脂肪加水分解酵素
・ATP分解酵素
それぞれの酵素のグループについて、詳しく見ていきましょう。
炭水化物加水分解酵素
糖分などの炭水化物を加水分解する酵素の総称が、炭水化物加水分解酵素です。デンプンの分解を助けるアミラーゼなどは、中学校の理科でも名前がでてきます。
アミラーゼ(amylase)…デンプンをデキストリンとマルトースに分解する。ジアスターゼとも。
マルターゼ(maltase)…マルトースをグルコースに分解する。
スクラーゼ(sucrase)…スクロースをグルコースとフルクトースに分解する。
ラクターゼ(lactase)…ラクトースをグルコースとガラクトースに分解する。
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