この記事では「シビア」について解説する。

端的に言えば「シビア」の意味は「非常に厳しいさま」です。日常生活やビジネスシーンでもよく使われているカタカナ語ですが、語源はラテン語にある。

小学校教諭として言葉の授業を何度もしてきた「こと」と一緒に、「シビア」の意味や使い方・類語・対義語などを見ていこう。

ライター/こと

元小学校教諭のwebライター。先生や子どもたちから「授業が分かりやすい!」との定評があった教育のプロだ。豊富な経験を活かし、どんな言葉も分かりやすく解説していく。

「シビア」の意味と使い方

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では早速「シビア」の意味と使い方を見ていきましょう。

「シビア」の意味は「非常に厳しいさま」

「シビア」の意味を辞書で確認します。

[形動]非常に厳しいさま。過酷なさま。「―な批評」「―な条件」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「シビア」

「シビア」は、容赦のない非常に厳しい状態を表した言葉です。「シビアな批評」や「シビアな条件」というように、非常に厳しい何かを形容する時に使います。「シビアな+名詞」という形で使われることが多いでしょう。日常会話やビジネスシーンなど、幅広い場面で用いられる言葉です。

「シビア」の使い方を例文で紹介

「シビア」の使い方を例文で紹介します。

1.プロバスケットボール界はシビアな世界と言われる。よい結果を残さないと、試合に出続けるのは難しい。
2.新しい経理部長はシビアな人だ。この経費は承認してもらえないかもしれない。
3.化粧品サンプルを配ってアンケート調査を実施したが、シビアな意見がたくさん寄せられた。

このように「シビア」は幅広い場面で使われる言葉です。すべて「厳しい」という言葉に置き換えられますね。より詳しく意図をつかむなら、例文1は「過酷な」、例文2は「容赦ない」、例文3は「厳しい」という意味でしょうか。それぞれのニュアンスを感じ取ることができると思います。

「シビア」の語源は?

「シビア」の語源を探っていきましょう。

「シビア」の語源はラテン語

「シビア」の語源はラテン語の「severe」と言われています。ラテン語の「severe」とは「容赦ない」や「深刻な」という意味。

では、「severe」を「se」と「vere」に分けて見てみましょう。「severe」の「se」は「離れているさま」の意。「vere」は「容赦・親切心」を示しています。「se」+「vere」=「親切心が離れているさま」。ここから派生して「容赦がないこと・厳しいさま」という意味を表すようになったと言われています。

若者言葉の「シビア」の由来

最近の若者の間で日常的に使われる「シビア」は、少し意味が異なるようです。「厳しい」ではなく、「気まずい雰囲気」という意味で使われているとか。ラテン語を語源とする本来のシビアよりも、カジュアルな印象を受けますね。「最近、友だちとシビアで…」というように使います。

「厳しい」を元にして、さらに派生された意味なのでしょう。言葉の持つ意味は時代とともに変わっていくので、看過できない流れだと思います。

「シビア」を使った言葉

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「シビア」を使った言葉にはいろいろなものがあります。見ていきましょう。

「シビアコンディション」:車にとって厳しい状況

まずは「シビアコンディション」です。これは「車にとって厳しい状況」という意味。「発進・停止を頻繁にくり返すこと」や「頻繁に低速で走行していること」などが当てはまります。「シビアコンディション」のまま運転することで、車に負荷がかかりトラブルの原因になってしまうのです。

\次のページで「「シビアアクシデント」:設計時の想定を大幅に超える事象」を解説!/

「シビアアクシデント」:設計時の想定を大幅に超える事象

次は「シビアアクシデント」です。「設計時の想定を大幅に超える事象」を表し、事故の被害程度を表す用語の1つになっています。

日本では一般に、原子力関連施設に関する大規模事故を指す言葉。安全設計の評価上想定された手段では適切な炉心の冷却または反応度の制御ができなくなり、その結果、炉心の重大な損傷に至る事象なのです。 原子炉の場合は特に炉心損傷事故とも言います。

「シビアアレルギー」:重度なアレルギー

また「シビアアレルギー」や「シビアなアレルギー」という言葉を使って、「重度なアレルギー」を指す場合もあるようです。さまざまな場面で「シビア」が使われていることが分かりますね。

「シビア」の類語

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「シビア」の類語を見てましょう。

「シリアス」:事態などの深刻なさま

まずは「シリアス」です。「きわめてまじめなさま。本格的なさま。」「事態などの深刻なさま」という意味があります。「シビア」と同じカタカナ語ですね。「シビア」の類語としては、2つ目の「事態などの深刻なさま」の意味が当てはまるでしょう。「シリアスな状況」などと使えます。

「厳格」:厳しいさま

次に「厳格」です。「規律や道徳にきびしく、不正や怠慢を許さないこと。また、そのさま。」という意味があります。手加減などせず、厳しい様子を表していますね。熟語ではありますが、まさに「シビア」の類語と言えます。

「シビア」の対義語

「シビア」の対義語を見てみましょう。

\次のページで「「ルーズ」:締まりのないさま」を解説!/

「ルーズ」:締まりのないさま

まずは「ルーズ」です。「 締まりのないさま。だらしのないさま。」という意味があります。規律が守れず、ずぼらな様子です。「時間にルーズな人」と言ったりしますね。また「ゆったりしていて、ゆとりのあるさま。」という意味もあります。「ルーズに着こなす」など、聞いたことがあるかもしれません。

ちなみに、英語の発音では「ルーズ」ではなく「ルース」です。カタカナ語として日本で使われている発音とは、違うようですね。

「寛容」:よく人の言動を受け入れる

次は「寛容」です。「心が広くて、よく人の言動を受け入れること。他の罪や欠点などをきびしく責めないこと。また、そのさま。」という意味があります。「寛容な態度をとる」という使い方ができますね。また日常生活やビジネスシーンだけでなく、自分と異なる意見や宗教・異なる民族の人々に対しても一定の理解を示し、許容する態度を表現することもできます。

「シビア」の英語表現

「シビア」の英語表現を見てみましょう。

カタカナ語の「シビア」は英語では「severe」です。「severe」とは「厳しい・過酷な・容赦ない・痛烈な」という意味。また「spartan」でも同じように表すことができます。「スパルタの」という意味で「きわめて厳格な」を表現できるのです。

「シビア」と「寛容さ」のバランス

この記事では「シビア」の意味や使い方・語源・類語・対義語などを説明しました。「シビア」は「非常に厳しいさま」を意味し、語源はラテン語にありました。「シビア」は幅広い分野で用いられる言葉で、日本に浸透したカタカナ語でしたね。

「シビア」な面を持つことは、もちろん大切なことでしょう。それと同時に、人は「寛容さ」も必要です。仕事ができる人や信頼できる人は、この2つを絶妙なバランスで持ち合わせているように思います。そんな人を目指していきたい、今日この頃です。

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「シビア」の意味は?「厳しい」だけじゃない?使い方・語源・類語・対義語などを元小学校教諭がわかりやすく解説

この記事では「シビア」について解説する。

端的に言えば「シビア」の意味は「非常に厳しいさま」です。日常生活やビジネスシーンでもよく使われているカタカナ語ですが、語源はラテン語にある。

小学校教諭として言葉の授業を何度もしてきた「こと」と一緒に、「シビア」の意味や使い方・類語・対義語などを見ていこう。

ライター/こと

元小学校教諭のwebライター。先生や子どもたちから「授業が分かりやすい!」との定評があった教育のプロだ。豊富な経験を活かし、どんな言葉も分かりやすく解説していく。

「シビア」の意味と使い方

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では早速「シビア」の意味と使い方を見ていきましょう。

「シビア」の意味は「非常に厳しいさま」

「シビア」の意味を辞書で確認します。

[形動]非常に厳しいさま。過酷なさま。「―な批評」「―な条件」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「シビア」

「シビア」は、容赦のない非常に厳しい状態を表した言葉です。「シビアな批評」や「シビアな条件」というように、非常に厳しい何かを形容する時に使います。「シビアな+名詞」という形で使われることが多いでしょう。日常会話やビジネスシーンなど、幅広い場面で用いられる言葉です。

「シビア」の使い方を例文で紹介

「シビア」の使い方を例文で紹介します。

1.プロバスケットボール界はシビアな世界と言われる。よい結果を残さないと、試合に出続けるのは難しい。
2.新しい経理部長はシビアな人だ。この経費は承認してもらえないかもしれない。
3.化粧品サンプルを配ってアンケート調査を実施したが、シビアな意見がたくさん寄せられた。

このように「シビア」は幅広い場面で使われる言葉です。すべて「厳しい」という言葉に置き換えられますね。より詳しく意図をつかむなら、例文1は「過酷な」、例文2は「容赦ない」、例文3は「厳しい」という意味でしょうか。それぞれのニュアンスを感じ取ることができると思います。

「シビア」の語源は?

「シビア」の語源を探っていきましょう。

「シビア」の語源はラテン語

「シビア」の語源はラテン語の「severe」と言われています。ラテン語の「severe」とは「容赦ない」や「深刻な」という意味。

では、「severe」を「se」と「vere」に分けて見てみましょう。「severe」の「se」は「離れているさま」の意。「vere」は「容赦・親切心」を示しています。「se」+「vere」=「親切心が離れているさま」。ここから派生して「容赦がないこと・厳しいさま」という意味を表すようになったと言われています。

若者言葉の「シビア」の由来

最近の若者の間で日常的に使われる「シビア」は、少し意味が異なるようです。「厳しい」ではなく、「気まずい雰囲気」という意味で使われているとか。ラテン語を語源とする本来のシビアよりも、カジュアルな印象を受けますね。「最近、友だちとシビアで…」というように使います。

「厳しい」を元にして、さらに派生された意味なのでしょう。言葉の持つ意味は時代とともに変わっていくので、看過できない流れだと思います。

「シビア」を使った言葉

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「シビア」を使った言葉にはいろいろなものがあります。見ていきましょう。

「シビアコンディション」:車にとって厳しい状況

まずは「シビアコンディション」です。これは「車にとって厳しい状況」という意味。「発進・停止を頻繁にくり返すこと」や「頻繁に低速で走行していること」などが当てはまります。「シビアコンディション」のまま運転することで、車に負荷がかかりトラブルの原因になってしまうのです。

\次のページで「「シビアアクシデント」:設計時の想定を大幅に超える事象」を解説!/

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