
1970年代、「テロメアが細胞分裂のたびに短くなってしまう」ということに、ロシアの生物学者アレクセイ・オロヴニコフが気付きます。テロメアの短縮が細胞分裂を止めてしまうことから、オロヴニコフは「生物には短くなったテロメアを修復する酵素があるだろう」と考えました。つまり、テロメラーゼの存在を予測したのです。
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そして1985年、アメリカの二人の研究者によって、とうとうテロメラーゼが単離されました。成功したのはキャロル・グライダーとエリザベス・ブラックバーン。実験にはテトラヒメナという、ちいさな原生生物が使われました。
グライダーとブラックバーンは、研究に関係したジャック・ショスタクとともに、2009年のノーベル生理学・医学賞を受賞しました。受賞理由は『テロメアとテロメラーゼ酵素が染色体を保護する機序の発見』です。
テロメアの研究は応用段階へ…
細胞の寿命を決める、テロメアという構造。そして、そのテロメアの長さを復活させてしまう、テロメラーゼの存在…今回は、生物の生死や老い、病気に深くかかわる内容でした。
テロメラーゼに関する知識が深まれば、がん治療だけでなく、老化を遅らせたり、寿命を延ばしたりじする技術が登場してくるかもしれません。これからの研究にも注目したいですね。