蛍光とは?原理と身近な蛍光現象を京大卒の研究員が分かりやすくわかりやすく解説!
2.身近にある蛍光現象
ここまで蛍光とは物質がエネルギーを光として放出する現象であること、放出される光の波長は物質ごとに決まっていること、人間は目に入る光の波長によって色を判断していることを説明しました。
以下では蛍光の原理をもとに、蛍光の例として取り上げたホタル、蛍光ペン、蛍光灯が光る理由について説明していきます。蛍光を発するためにはエネルギーが必要です。以下ではエネルギーをどこから受け取っているか、という観点もセットにして考えていきましょう。
2-1ホタルは身体の中で化学反応を起こして光っている
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暗闇の中でホタルはどのように光を発しているのでしょうか。ホタルは身体の中で化学反応を起こして、そのときに生じたエネルギーを光に変換しています。ホタルの身体にはホタルルシフェリンと呼ばれる酵素があります。この酵素が酸素などと反応して蓄えられたエネルギーが光として放出されるためホタルは光るのです。
ちなみにホタルがこのように光る能力を身に着けたのは仲間に自分の居場所を伝えるためと言われています。暗いところに生息するからこそ、ホタルは光るようになったのですね。
2-2蛍光ペンは紫外線を吸収して光を発する
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目印としてよく使われる蛍光ペン、勉強には欠かせない道具ですね。では蛍光ペンはどこからエネルギーを受け取り、光っているのでしょうか。蛍光ペンは紫外線を吸収して、そのエネルギーを光として放出しているのです。
太陽の光や蛍光灯には紫外線も含まれます。この紫外線は人間の目には見えません。しかし紫外線も光の仲間(正確に言うと電磁波の一種)であるため、物質によっては紫外線を吸収することも可能です。
蛍光ペンは太陽光や蛍光灯の紫外線を吸収します。そして吸収した紫外線のエネルギーを光として放出するため蛍光ペンは光って見えるのです。逆に言うと紫外線が当たらなければ蛍光ペンは光りません。例えば真っ暗な部屋の中では蛍光ペンは光りませんよね。これは紫外線が当たっていないためです。
2-3蛍光灯は電気のエネルギーを光に変換している
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最後に蛍光灯などの電化製品が光る理由について考えてみます。蛍光灯はコンセントにつないだり、電気スイッチをオンにすることによって光りますよね。このことからエネルギー源として電気を使っていることが予想できます。ではどのように電気を光に変えているのでしょうか。
蛍光灯は二段階のプロセスを経て光ります。蛍光灯の中には蛍光物質と微量の水銀が含まれています。電源スイッチをオンにしたあと、蛍光灯が光るまでのプロセスは以下の通りです。
1.水銀がエネルギーを受け取る
2.水銀が紫外線としてエネルギーを放出する
3.蛍光物質が紫外線を吸収する
4.蛍光物質が赤、青、緑の光(可視光)としてエネルギーを放出する
蛍光を理解するにはエネルギーの源と放出する光の波長を考えよう
蛍光とは物質に蓄えられたエネルギーを放出する方法の一つです。物質ごとに放出できるエネルギーの大きさが決まっているため、蛍光では特定の波長を持つ光、すなわち特定の色の光が放出されます。
蛍光を発するためには物質がエネルギーを受け取らなければなりません。そのエネルギー源は熱、電気、化学反応、光など様々です。蛍光という現象を理解するためには、物質がどのようにエネルギーを受け取っているかという点にも着目してみてください。
イラスト使用元:いらすとや