この記事では「寒心に堪えない」について解説する。

端的に言えば寒心に堪えないの意味は「ぞっとすること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「寒心に堪えない」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「寒心に堪えない」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「寒心に堪えない」の意味や語源・使い方まとめ

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寒心に堪えない(かんしんにたえない)」は、日常会話の中で耳にすることは少ないかも知れませんが、小説などの文章でしばしば使われています。語彙力向上のためにも覚えておきましょう。それでは早速「寒心に堪えない」の意味や語源・使い方を説明していきます。

「寒心に堪えない」の意味は?

まず初めに、「寒心に堪えない」の正確な意味を辞書からの引用で確かめてみましょう。「寒心に堪えない」には、次のような意味があります。

1.恐れや不安の念で、ぞっとすること。「寒心に堪えない」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「寒心」

2.あんなひどい状態を続けていたら、将来どうなる事かと思って、ぞっとすること。

出典:新明解国語辞典(三省堂)「寒心」

寒心に堪えない」は「寒心」に「堪えない」と言う二つの言葉から成り立っています。先述した通り、「寒心」とは、恐れや不安を感じることで、「堪えない」とは、その感情を抑えられないと言う意味です。つまり「寒心に堪えない」とは、恐れや不安を抑えきれない、と言う意味になります。そして、「寒心に堪えない」は、単にお化けなどに驚かされるような瞬間的な恐怖と言うよりも、出来事に対して心配や不安を感じたり、ぞっとして恐怖している様子を表現する言葉です。また、「寒心に堪えない」は常に否定形で使われ、「寒心に堪える」とはなりませんので注意してくださいね。

「寒心に堪えない」の語源は?

次に「寒心に堪えない」の語源を確認しておきましょう。「寒心」は「寒」と「心」の二つの漢字から成っている熟語です。「寒」と言う漢字には、良く知られている温度が低くて冷たい、と言う意味の他に、ぞっとする、と言う意味があり、「寒心」の「寒」は、後者のぞっとすると言う意味ですね。「心」は気持ちや感覚を表します。この二つの漢字が組み合わさって、不安や恐れでぞっとする、と言う意味の「寒心」と言う言葉ができたのです。そして、感情を抑えられないことを意味する「堪えない」を付して「寒心に堪えない」と言う慣用表現となりました。

\次のページで「「寒心に堪えない」の使い方・例文」を解説!/

「寒心に堪えない」の使い方・例文

次に、「寒心に堪えない」の使い方を実際の例文で確かめてみましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.ここの所、被害者になんの落ち度もない事故や事件のニュースが続いていて寒心に堪えない。
2.教師に対して目上の人に対する態度とは思えぬ行動をとる生徒がいて、驚くとともに今後について考えると寒心に堪えない。
3.登山人気により、最近は登山の危険さを知らない人々が無茶な挑戦をしていると聞いて寒心に堪えない。

例文1の使い方は、物事を見聞きして、ぞっとする、怖れを感じると言うニュアンスですね。例文2と3は、心配で恐れていると言う意味合いがあります。「寒心に堪えない」は例文2と3のように心配で仕方ないと言う気持ちを表すのに使われることも多いですから、覚えておいてください。

「寒心に堪えない」の類義語は?違いは?

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「寒心に堪えない」の類義語には「戦慄」が挙げられます。

「戦慄」

戦慄」の読み方は「せんりつ」です。意味は、恐怖のために体が震えることで、「戦慄が走る」と言う慣用句としてよく使われます。「戦慄」と同じく恐怖で震えると言う意味を持つ言葉、「おののく」を聞いたことがあるでしょう。実は「戦く」も「慄く」もどちらも「おののく」と読むことができる漢字です。「戦」も「慄」も、どちらも恐怖で震えると言う意味なのですね。そして、「寒心に堪えない」を、恐怖を感じる、と言う意味で用いた場合、「戦慄」が類義語にふさわしいでしょう。

また、しばしば「戦慄」を、素晴らしい出来事を見た感動などで使っている場合があるのですが、素晴らしすぎて怖さすら感じる、と言う意味合いになります。褒め言葉ではなく、あくまでもぞっとする、と言うニュアンスがありますので注意してくださいね。

\次のページで「「寒心に堪えない」の対義語は?」を解説!/

「寒心に堪えない」の対義語は?

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「寒心に堪えない」の対義語としては「安堵」がふさわしいでしょう。

「安堵」

安堵」は「あんど」と読みます。意味は、心配がなくなり安心することです。「安堵」の「堵」は「垣」の意味で、もともとは「垣の中で安心して暮らしている」と言う意味でした。それが転じて、安心することを表すようになりました。このように「安堵」は不安がなく安心している様子を表しますから「寒心に堪えない」を、不安で恐れていると言う意味で使った場合、対義語としてふさわしいでしょう。

「かんしん」の同音異義語

今回は「寒心」について学びましたが、「かんしん」の同音異義語には良く使うものも多くあります。試験対策や語彙力向上のために、主な異義語の「感心」「関心」「歓心」の三つを簡単に説明しましょう。

まず「感心」は、予想を越えた良い行いに、誉めてあげたくなる気持ちです。

次に「関心」は、事柄についてより深く知ろう、関わろう、と言う気持ちのことで、「関心を持つ」などと使われます。

最後の「歓心」は、相手が良くしてくれたと言う喜びの気持ちです。「歓心を得る」は、その人に気に入られる事。「歓心を買う」は、気に入られようとする、と言う意味の慣用句ですね。

その他にも「奸臣」、「甘心」があります。興味があれば調べてみると良いでしょう。

「寒心に堪えない」を使いこなそう

この記事では「寒心に堪えない」の意味・使い方・類語などを説明しました。「寒心に堪えない」には、大きく二つの意味にわけられることがわかりましたね。一つは、ぞっとする、怖がること。二つめは、出来事に対して、このままでは悪いことが起きそうだと不安を感じて怖がることです。実は、小説や、文献からの引用を調べてみると、後者の使われ方が少なくありません。今後の事を憂いている文章などによく使われている印象があります。「寒心に堪えない」は、単に、怖い、と言う意味で用いず、心配や不安からの怖れ、を表現する時に使うのがふさわしいでしょう。

では、最後に、例文を作って終わりたいと思います。今現在、新型の感染症による経済への打撃は寒心に堪えないですね。少しでも被害が少なく、収束することを願いましょう。

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【慣用句】「寒心に堪えない」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学部卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「寒心に堪えない」について解説する。

端的に言えば寒心に堪えないの意味は「ぞっとすること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「寒心に堪えない」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「寒心に堪えない」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「寒心に堪えない」の意味や語源・使い方まとめ

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寒心に堪えない(かんしんにたえない)」は、日常会話の中で耳にすることは少ないかも知れませんが、小説などの文章でしばしば使われています。語彙力向上のためにも覚えておきましょう。それでは早速「寒心に堪えない」の意味や語源・使い方を説明していきます。

「寒心に堪えない」の意味は?

まず初めに、「寒心に堪えない」の正確な意味を辞書からの引用で確かめてみましょう。「寒心に堪えない」には、次のような意味があります。

1.恐れや不安の念で、ぞっとすること。「寒心に堪えない」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「寒心」

2.あんなひどい状態を続けていたら、将来どうなる事かと思って、ぞっとすること。

出典:新明解国語辞典(三省堂)「寒心」

寒心に堪えない」は「寒心」に「堪えない」と言う二つの言葉から成り立っています。先述した通り、「寒心」とは、恐れや不安を感じることで、「堪えない」とは、その感情を抑えられないと言う意味です。つまり「寒心に堪えない」とは、恐れや不安を抑えきれない、と言う意味になります。そして、「寒心に堪えない」は、単にお化けなどに驚かされるような瞬間的な恐怖と言うよりも、出来事に対して心配や不安を感じたり、ぞっとして恐怖している様子を表現する言葉です。また、「寒心に堪えない」は常に否定形で使われ、「寒心に堪える」とはなりませんので注意してくださいね。

「寒心に堪えない」の語源は?

次に「寒心に堪えない」の語源を確認しておきましょう。「寒心」は「寒」と「心」の二つの漢字から成っている熟語です。「寒」と言う漢字には、良く知られている温度が低くて冷たい、と言う意味の他に、ぞっとする、と言う意味があり、「寒心」の「寒」は、後者のぞっとすると言う意味ですね。「心」は気持ちや感覚を表します。この二つの漢字が組み合わさって、不安や恐れでぞっとする、と言う意味の「寒心」と言う言葉ができたのです。そして、感情を抑えられないことを意味する「堪えない」を付して「寒心に堪えない」と言う慣用表現となりました。

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