この記事では「ワーカホリック」について解説する。

端的に言えばワーカホリックの意味は「仕事中毒」の意味ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

情報誌系の記者を10年経験したライター・にべこを呼んです。一緒に「ワーカホリック」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/にべこ

某大手情報誌の記者を務めた元ワーカホリックライター。ビジネス用語ならおまかせ。様々なシーンで使えるカタカナ言葉を噛み砕いて説明していきます。

「ワーカホリック」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

それでは早速「ワーカホリック」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「ワーカホリック」の意味は?

「ワーカホリック」という言葉には、次のような意味があります。

・work(仕事)とalcoholic(アルコール中毒)との合成語。

・家庭や自分の健康をなおざりにしてまで、仕事をやりすぎる状態。また、その人。

・働きすぎの人。仕事中毒。1970年代に米国の作家オーツによって作られた語。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「ワーカホリック」

寝ても覚めてもあのプロジェクトの進行ばかり考えてしまう。週明けのプレゼンのことを考えると家族との休日が少しも楽しめない。食事だってパソコンの画面と睨めっこしながら。有給休暇を最後に取ったのはいったい何年前だろう。仕事をしていないと不安で、会社からの評価が気になる。睡眠だっておちおち取れない、職場にいるとなぜか落ち着く…。

そんな、仕事中毒の人を指すこの「ワーカホリック」という言葉。同僚や友人などあなたの周りにこういう人はいませんか?もしかしてあなた自身がそうだったり…?

「ワーカホリック」とは生活環境の全てが仕事一色であり、極度に仕事熱心で己の身を顧みず業務に邁進している人の様を指します。もともとはアルカホリック(alcoholic:アルコール依存症)をもじって生まれた言葉です。ワーカホリズムとも言われ、「働かなければいけない」というネガティブな強迫観念を持っているのがこの言葉の概念であり、定義とされています。

\次のページで「「ワーカホリック」の語源は?」を解説!/

「ワーカホリック」の語源は?

image by iStockphoto

「ワーカホリック」という言葉が初めて登場したのは、アメリカの心理学者であり宗教教育者でもあるウェイン・エドワード・オーツ(1917年-1999年)が1972年に著した『Confessions of a Workaholic(邦題:ワーカホリックー働き中毒患者の告白)』の文中であるとされています。

オーツは著書で「ワーカホリック」を身体的・精神的健康に害を及ぼす薬物中毒に似た症状を指すと記しました。そしてオーツ自身も自分がワーカホリックであると告白しています。「中毒」という言葉を使うその過激性から、アメリカだけでなく世界中でこの言葉と概念が注目されるようになりました。

「ワーカホリック」という言葉が生まれた時代背景は?

「ワーカホリック」という言葉が生まれた1972年当時のアメリカは、激動の時代の真っ只中でした。様々な人種の公民権運動と共に、働く女性の地位確立が叫ばれたのもこの頃です。アメリカでは労働を権利と考える文化があり、その分労働時間も長くなる傾向が見られ、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を崩す人も多く現れたため、このワーカホリック現象は社会問題となりました。

その頃の日本は高度経済成長期。経済発展に邁進することが美徳であり、己よりも職を優先するのは当たり前であるとされていた頃です。仕事に打ち込むあまりの健康被害や精神疾患、過労死、また家庭を顧みず仕事に没頭した結果としての熟年離婚という事態も招くようになり、こちらもまた社会的に問題視されました。

「ワーカホリック」の使い方・例文

「ワーカホリック」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.彼の恐ろしいまでのワーカホリックぶりは鬼気迫るものがあり、休みも取らず働いているので時折心配になる。
2.彼は精力的に働くワーカホリックタイプの男性で、とても責任感の強い性格だ。
3.某有名大学の教授が「高所得者であるほどワーカホリックになりやすい」という研究結果を発表した。

例文を見てわかるように、「ワーカホリック」という言葉は人の性質の一面や特徴を表現する際に使われます。

注意したいのは、使い方によりニュアンスが変化する点です。1.の例文では「恐ろしい」「鬼気迫る」という言葉を前後に置き、最後に「心配だ」と付け加えることによって相手がワーカホリックであることをよりネガティブに伝えています。「ワーカホリック」という言葉が持つ本来の意味やニュアンスをより強調して表現していますね。

しかし、2.の例文のように「精力的に働く」という言葉を置いた上で相手をワーカホリックと表現すると、勤労であることを賞賛するかのような表現になります。

このように、「ワーカホリック」という名詞がどんな様子であるかを詳しく説明する形容詞や修飾語のチョイスによって、その印象が大きく左右されるのです。

\次のページで「「ワーカホリック」の類義語は?」を解説!/

「ワーカホリック」の類義語は?

image by iStockphoto

「ワーカホリック」の類義語にはいくつかの言葉が挙げられますが、もっとも似ているのは「仕事人間」でしょう。

「仕事人間」

「仕事人間」という言葉の定義は「仕事が生き甲斐であり、仕事一途で他に趣味などもない人」とされ、これと似ている言葉に「会社人間」というのもあります。これらは日本経済の高度成長期、テレビや新聞・雑誌などのメディアでよく使われていました。

「企業戦士」

さらに関連して「企業戦士」という言葉もあります。滅私奉公が美徳であるという価値観がまだ根強い当時の時代背景から生まれた言葉であり、クールでカッコいいビジネスマンを連想させました。

「社畜」

しかし一転、社会的に過労が問題視されるようになりワーク・ライフ・バランスが謳われる最近では、働きすぎる人間を茶化す意味も込めて「社畜」と呼ぶようにもなりました。なんだか「ワーカホリック」よりも一段とネガティブで、ちょっと過激な文字面になっていますね。

「ワーカホリック」の対義語は?

「ワーカホリック」としばしば混同されるのですが、意味合いとしては対義を成す言葉が「ワーク・エンゲイジメント」です。

「ワーク・エンゲイジメント」

「ワーク・エンゲイジメント」は、人が仕事に対して感じている充実感や就業意欲を総合的に表現した言葉であり、心の健康度を示す概念の一つです。活力、熱意、没頭の三つが満たされている状態を指します。端的にいうと「私は働きたい」という前向きな心持ちのことであり、仕事が楽しいポジティブな状態であるとも言えるでしょう。

対して「ワーカホリック」は、様々なものを犠牲にして打ち込んでいる様を指します。端的にいうと「私は働かなければいけない」という強迫観念に似た心持ちであり、心身の健康は後回しで仕事をしていないと罪悪感を感じるという状態です。「ワーク・エンゲイジメント」との決定的な違いを一言で言うと、仕事が楽しいかそうでないか?といったところでしょう。

\次のページで「「ワーカホリック」を使いこなそう」を解説!/

「ワーカホリック」を使いこなそう

この記事では「ワーカホリック」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「ワーカホリック」は、実は意外にネガティブなイメージを含んだ言葉でしたね。使いこなすには、その意味とニュアンスをよく理解することが重要でしょう。相手の精力的な仕事ぶりを称えようとして、ちょっとカッコよく表現しようと「君って本当にワーカホリックだねえ!」なんて軽く言ってしまった場合、褒めるつもりで言ったのにみるみるうちに相手の機嫌が悪くなる…なんて可能性も無きにしも非ずです。まずは意識的に仕事中毒や仕事依存という日本語に置き換えてみると、よりニュアンスを掴みやすいのではないでしょうか。

言葉はコミュニケーションツールです。相手との関係をより良好にするために、様々な言葉の意味やニュアンスや最適な使い方をマスターしていきたいですね。

" /> 「ワーカホリック」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説! – ページ 3 – Study-Z
国語言葉の意味

「ワーカホリック」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

「ワーカホリック」の類義語は?

image by iStockphoto

「ワーカホリック」の類義語にはいくつかの言葉が挙げられますが、もっとも似ているのは「仕事人間」でしょう。

「仕事人間」

「仕事人間」という言葉の定義は「仕事が生き甲斐であり、仕事一途で他に趣味などもない人」とされ、これと似ている言葉に「会社人間」というのもあります。これらは日本経済の高度成長期、テレビや新聞・雑誌などのメディアでよく使われていました。

「企業戦士」

さらに関連して「企業戦士」という言葉もあります。滅私奉公が美徳であるという価値観がまだ根強い当時の時代背景から生まれた言葉であり、クールでカッコいいビジネスマンを連想させました。

「社畜」

しかし一転、社会的に過労が問題視されるようになりワーク・ライフ・バランスが謳われる最近では、働きすぎる人間を茶化す意味も込めて「社畜」と呼ぶようにもなりました。なんだか「ワーカホリック」よりも一段とネガティブで、ちょっと過激な文字面になっていますね。

「ワーカホリック」の対義語は?

「ワーカホリック」としばしば混同されるのですが、意味合いとしては対義を成す言葉が「ワーク・エンゲイジメント」です。

「ワーク・エンゲイジメント」

「ワーク・エンゲイジメント」は、人が仕事に対して感じている充実感や就業意欲を総合的に表現した言葉であり、心の健康度を示す概念の一つです。活力、熱意、没頭の三つが満たされている状態を指します。端的にいうと「私は働きたい」という前向きな心持ちのことであり、仕事が楽しいポジティブな状態であるとも言えるでしょう。

対して「ワーカホリック」は、様々なものを犠牲にして打ち込んでいる様を指します。端的にいうと「私は働かなければいけない」という強迫観念に似た心持ちであり、心身の健康は後回しで仕事をしていないと罪悪感を感じるという状態です。「ワーク・エンゲイジメント」との決定的な違いを一言で言うと、仕事が楽しいかそうでないか?といったところでしょう。

\次のページで「「ワーカホリック」を使いこなそう」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: