3分で簡単「水銀柱」1mmHgは何Pa?理系ライターがわかりやすく解説
1水銀柱ミリメートル(1mmHg)が何パスカル(Pa)か知ってるか?受験で勉強したら終わりのように思われているが実は私たちの身の回りの、しかも意外と大切なところの単位として使われていたりするんです。
水銀柱が使われるようになった背景から計算まで、国立大学の理系出身で、重工メーカーの技術者として様々な単位にも詳しいライターNaohiroと一緒に解説していきます。
ライター/Naohiro
国立大学の理系出身で、卒業後重工メーカーの技術者として様々な単位を駆使して問題解決を試みてきた。SI基本単位が大好きで、組立単位は大体分解して考えている。
1-1. 知の巨人アリストテレス
紀元前4世紀古代ギリシア時代を生きた哲学者アリストテレス。哲学のみならず自然学、生物学、論理学、政治学、形而上学(けいじじょうがく)といったあらゆる学問を分類体系化した万学の祖と呼ばれる偉人ですよね。
Quistnix, CC 表示-継承 3.0, リンクによる
彼は当時例えば火に風を送り出すふいごで、風の出口となる穴をふさいだ状態で取っ手部分を広げられないといった現象から「自然は真空を嫌う」と結論づけていました。これを真空嫌悪説(しんくうけんおせつ)といいます。この考え方、なんとそれから2000年近く科学者の間で一般的な考え方となっていたのです。
1-2. 10m以上水が組み上げられないことに疑問を抱いたガリレイ
ユストゥス・サステルマンス – scan of 2D image as in notes below, パブリック・ドメイン, リンクによる
そしてその約2000年後、17世紀初頭鉱山の発展に伴い揚水ポンプを使って水を汲み上げようとすると大体10mよりも深くなると、上部を真空にしてもなぜか水が汲み上げられなくなるという現象がよく知られるようになっていきました。
職人からこの話を聞いた近代科学の父ともよばれるかのガリレオ・ガリレイは、アリストテレスの言う通り本当に「自然が真空を嫌う」ならば水はどこまでも汲み上げられるはずだが現実ではそうなっていない。”自然が真空を嫌う限界があるはずだ”と推定したのです。
1-3. ガリレオの弟子トリチェリの水銀柱実験
Photographer: Archival Photograph by Mr. Steve Nicklas, NOS, NGS – Image ID: libr0367, Treasures of the NOAA Library Collection Secondary source: NOAA Central Library National Oceanic & Atmospheric Adminstration (NOAA), USA http://www.photolib.noaa.gov/library/libr0367.htm, パブリック・ドメイン, リンクによる
そこで1643年、ガリレオ・ガリレイの弟子エヴァンジェリスタ・トリチェリが液体金属であり高い密度をもつ水銀を使ってとある実験を行います。それは1mほどのガラス管に水銀を満たし、同じく水銀を満たした容器にこれを立てると常に76cmの高さになるというものです。ガラス容器を上に引き上げても76cm、下に突き出しても76cmになるのですね。
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