3分で簡単「親水コロイド」実は身近なコロイドを理系ライターがわかりやすく解説!
コロイド溶液の重要な性質として透析、チンダル現象、ブラウン運動、電気泳動があります。こちらも興味があれば確認してみてくださいね。
2. 親水コロイドの性質
それでは親水コロイド自体の特徴と塩析、保護コロイドといった性質についてみていきましょう。
2-1. 親水コロイドの各種特徴
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一般的に疎水コロイドには無機物質の分散コロイドが多く、親水コロイドには有機物質の分子コロイドが多い特徴があります。これは親水コロイドとして代表的なタンパク質が、親水性の官能基であるカルボキシ基(-COOH)をもつことからもイメージはできますよね。
そしてもう一つ、疎水コロイドは同じ電荷同士(水酸化鉄ならプラス同士、粘土ならマイナス同士)の反発力で分散していますが親水コロイドは水分子を表面に吸着(水和)することにより分散しているという違いも覚えておきましょう。
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また親水コロイドは会合コロイドと分子コロイドに大別されることについても触れておきましょう。
会合(かいごう)コロイド、別名ミセルコロイドとしては石けんがあります。石けんの濃度が一定以上になると中心の油汚れに疎水基(親油基)を、外側に親水基を向けたミセルとなって会合コロイドを形成するのです。
その一方分子コロイドはタンパク質、デンプンといった巨大分子そのものがコロイドとなるものでありタンパク質は正電荷をもつ正コロイド、デンプンは負電荷をもつ負コロイドという特徴があります。
2-2. 親水コロイドの凝集沈殿=塩析
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疎水コロイドは少量の電解質を添加することで凝集沈殿し、これを凝析といいます。しかし親水コロイドはその表面に水分子を吸着(水和)しているため、少量の電解質を加えただけでは水和した水分子を奪い取るだけで凝集沈殿させることができません。そこで多量の電解質や脱水剤を加えて沈殿させることを塩析とよびます。
2-3. 保護コロイド
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疎水コロイドに対して一定の親水コロイドを加えることで親水コロイドが疎水コロイドの回りを取り囲むことで凝析しにくくする現象がおきます。これを保護作用と言い、疎水コロイドを凝析しにくくするために加えられたコロイドのことを保護コロイドと呼ぶことも覚えておきましょう。
後述しますが身の回りでは墨汁やインクに保護コロイドの考え方が応用されています。
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