
3分で簡単「親水コロイド」実は身近なコロイドを理系ライターがわかりやすく解説!

突然だが疎水コロイドが「疎水」で親水コロイドがなぜ「親水」なのか考えたことはあるか?実はこれらの間にはその特徴から大きな違いがあるんだ。
私たちの生活に入り込んでいる親水コロイドについて国立大学の理系出身で環境科学を専攻し、化学にも詳しいライターNaohiroと一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/Naohiro
国立大学の理系出身。大学時代環境科学を専攻した経験をもとに、社会との関りから化学をわかりやすく解説する。
1. コロイドの基礎を理解しよう

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コロイドは1861年にイギリスの化学者トーマス・グレアムにより”溶液中で拡散速度が非常に遅い物質”として定義されたことが始まりです。要は実験的にコロイドが半透膜を通過するときの速度が遅いということなのですが、この透過速度が遅いものの仲間にゼラチン(にかわの主成分)がありました。ギリシャ語の”にかわ状”(kolla-eidos)から、その仲間をcolloidと呼ぶこととしたのです。
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1-1. コロイド溶液とその他の違い
次にコロイド溶液とその他になにがあるの?という点に関して説明していきましょう。実は水に何かものを混ぜた時、その混ぜたものの状態により3つにわけることができます。

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その3つとは大きく分けて「真の溶液」と「コロイド溶液」と「懸濁液」です。基本的には水に溶けた粒子の大きさが10-9m以下のものを真の溶液、10-9~10-7mのものをコロイド溶液、10-7m以上のものを懸濁液と分けます。
ちなみに10-9m=1nm(ナノメートル)で、原子の大きさが大体0.1nm単位になりますので真の溶液は原子とか分子レベルで水に溶けたものであることがわかりますね。その一方でコロイド溶液は1nmよりも大きい高分子化合物や、小さな分子やイオンが集まった微粒子で成り立っています。
以上が一般的な説明にはなるのですが、要は真の溶液とコロイド溶液は透明か半透明か、コロイド溶液と懸濁液は置いておくことで粒子が沈降するかしないかという観点で見分けられることを覚えておくとわかりやすいですね。

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技術的には半透膜とろ紙を用いてどちらとも通過できる水溶液を真の溶液、ろ紙のみ通過できるものをコロイド溶液、どちらとも通過できないものを懸濁液として分離することができます。

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また、真の溶液とコロイド溶液で用語が異なるものがあります。溶媒は分散媒、溶質は分散質、そして溶液は分散系と言葉が変わることは覚えておきましょう。
1-2. コロイドの分類
そしてコロイドは以下の観点から分類することができます。
・分散媒の状態 :ゾル ↔ ゲル ↔ キセロゲル(寒天、高野豆腐等)
・コロイド粒子の種類:分子コロイド↔会合(ミセル)コロイド↔分散コロイド
・親水コロイド ↔ 疎水コロイド
・コロイド粒子の電荷:正電荷 ↔ 負電荷
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