3分で簡単「人工放射線」医療でも活躍する放射線を理系ライターがわかりやすく解説!
3-2. 業務上の被ばく
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次に業務上放射線の取り扱いを行う人たちの被ばくに関してです。放射線は医療、工業のみならず農業や基礎研究、実験と幅広く使用されています。これらの仕事に携わる人々の健康を守るため、国が定める労働安全衛生法(ろうどうあんぜんえいせいほう)、労働安全衛生法施工令(せこうれい)の規定に基づいて電離放射線障害防止規則(でんりほうしゃせんしょうがいぼうしきそく)というものが定められているのです。
業務上放射線の取り扱いを行う場合、被ばく量の管理をガラスバッジにより行います。上述の規則により年間50mSv、5年間で100mSv未満の被ばく量に抑えることでがん発症のリスクを抑えることができるのです。これは広島・長崎における原爆被害の際、被ばくが100mSv未満だった人たちのがん発症リスクが検出困難なレベルであったことを根拠としたデータになっています。
しかしながらがんの発症リスクは肥満により1.2倍、飲酒により1.4倍、喫煙で1.6倍となりますので、このことから実は身近な放射線よりも乱れた生活習慣の方が怖いということがわかりますね。
細心の注意を払えば味方になってくれる人工放射線
「人工放射線」と聞くとどうしても原子力発電所の事故に原子爆弾と怖いイメージが先行してしまいます。ですが実は医療や工業、農業に最新の研究と幅広い分野で私たち人類の発展に寄与してくれているのです。
また管理下におかれた身近な人工放射線よりも肥満や飲酒、喫煙といった生活習慣の方が健康を害するということもわかりましたね。何事もイメージでとらえるのではなく、正しい知識をもってリスクを評価することが大切であることを理解して頂けたらと思います。
イラスト使用元:いらすとや