3分で簡単「人工放射線」医療でも活躍する放射線を理系ライターがわかりやすく解説!
医療用の放射線としてはまず第一に、毎年健康診断で受ける胸部エックス線検査が頭にうかびますよね。その他に悪性腫瘍(がん)を始めとした治療のために使われるガンマナイフ、小型加速器により照射される粒子放射線(りゅうしほうしゃせん)があります。
次に核分裂反応由来の放射線としては原子力発電所、核実験で発生する中性子。核分裂生成物のヨウ素131、セシウム137、ストロンチウム90により二次的に放出されるアルファ線、ベータ線、ガンマ線があります。
そして業務の中で放射線を取り扱う人たちの被ばくがあるわけです。業務で使われる放射線というと工業的には溶接した金属に欠陥が入っていないかを確かめる非破壊検査。実験、研究の中では小型のエックス線回折装置から大型の加速装置まで最新の優れた研究成果を出すために必須のものとなっているのですね。
2. 言葉の定義
人工放射線の話に入る前に、まず放射線の言葉の定義と単位について説明していきましょう。ここをとばしてしまうと理解があいまいなになってしまいますので、しっかりと理解してくださいね。
2-1. 放射線、放射能と放射性物質
image by Study-Z編集部
放射線、放射能及び放射性物質という言葉の定義を理解していきましょう。この3つはあいまいなまま使用されることが多い言葉です。それぞれの言葉がもつ正確な意味を理解しておかなければ、特に内部被ばくと外部被ばくの違いがわからなくなるといった弊害がでてきます。きちんと把握しておきましょう。
放射線 : 高いエネルギーをもち高速で飛ぶ粒子もしくは短い波長の電磁波
放射能 : 放射線を放出する能力
放射性物質: 放射能を有する物質
2-2. ベクレル、グレイとシーベルト
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そしてもう一つ、放射線について理解する上で欠かせないのが単位です。特にシーベルトはグレイに線質係数(せんしつけいすう:生体への影響度を示す因子)を乗じたものになります。こういった面から健康への影響を評価するためにシーベルトが使われることが多いのです。以降の説明ではシーベルトを使用して説明していきますね。
ベクレル(Bq)[ 個 / 秒 ]
→放射性物質が放射線を出す能力を表す単位
グレイ(Gy)[ J / kg ]
→放射線のエネルギーが物質に吸収された量を表す単位
シーベルト(Sv) [ J / kg ]
→人体が受けた放射線による影響の度合いを表す単位
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