
3分で簡単「人工放射線」医療でも活躍する放射線を理系ライターがわかりやすく解説!
私たちが普段の生活で受ける放射線のことを環境放射線といい、環境放射線は更に自然放射線と人工放射線に分けることができる。自然放射線は宇宙、大地、大気そして食物の摂取により受ける放射線のことですが、人工放射線は一体どこからどのように発生しているのでしょうか。
国立大学の理系出身で非破壊検査技術者としての経験をもち、人工放射線にも詳しいライターNaohiroと一緒に解説していきます。

ライター/Naohiro
国立大学理系出身。非破壊検査技術者としての知識と経験をもとに人工放射線についてわかりやすく解説する。
1. 人工放射線って何?

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それではまず人工放射線とは何かから説明をしていきましょう。名前に「人工」とつくくらいですからそう、一言で表現すれば人為的な原因で発生することになった放射線と言うことができます。人工放射線以外に自然界に最初から存在している、もしくは自然界で発生している放射線もありますのでそれらを対比して見ていってみましょう。
1-1. 自然放射線と人工放射線

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私たちの身の回りにある放射線(いわゆる環境放射線)は大きく「自然放射線」と「人工放射線」に分けることができます。それぞれを説明すると以下の通りです。
自然放射線:
宇宙から飛来する放射線(宇宙線)及びもともと自然界に存在している、自然由来の放射性物質から出ている放射線
人工放射線:
人工的な装置から発生させた放射線、過去の核実験や原子力事故の際放出される放射性降下物(フォールアウト)から出される放射線
自然放射線は宇宙線と放射性同位元素(ほうしゃせいどういげんそ)の原子核から放出されるアルファ線、ベータ線、ガンマ線のみ。
人工放射線はそれに加えて発生装置から放出されるエックス線(レントゲン撮影に使用)、原子力発電所における核分裂で放出される中性子線、加速器から放出される陽子線、重陽子線、三重陽子線、重イオン線、荷電中間子線、非荷電中間子線、電子線、陽電子線といったものがあります。
医療用放射線
・電磁放射線(エックス線:レントゲン撮影、ガンマ線:脳腫瘍切除)
・粒子放射線(電子線、陽子線、重粒子線:がん治療、陽電子線:PET検査)
核分裂反応由来の放射線
・核分裂反応時に発生する放射線(中性子線)
・核分裂生成物由来の放射線(アルファ線、ベータ線、ガンマ線)
業務用放射線
・診療放射線技師が取り扱う放射線(上記各種医療用放射線)
・空港の手荷物検査放射線(エックス線)
・非破壊検査技術者が使用する放射線(エックス線、ガンマ線)
・実験、研究の用途で使われる放射線(各種電磁放射線、粒子放射線)
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