ダイバーが潜水を行う時に使ったり医療でも使用されているヘリオックスはとても欠かせないものなんだ
この記事ではヘリオックスとはなにか、どういう風に使用されてきているのか理系出身の化学が得意なライターのYamakoshiと一緒に解説していきます。
ライター/Yamakoshi
理系出身の元塾講師。生徒の「どうして」「なぜ」に真摯に向き合い、「わかりやすく」「面白く」をモットーに生徒の指導に取り組んだ。
1.ヘリオックスとは
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ヘリオックスとは気体であるヘリウムと酸素の混合気体です。吸うと声が高くなることで有名なヘリウムガスも酸素が入ってるためヘリオックスと呼ぶのが正しいのかもしれません。
ヘリオックスはダイビングのように酸素を普段以上に必要な場合や、呼吸困難のある患者さんに使用する医療の目的で使われることがあります。
なぜ酸素だけでなくヘリウムとの混合気体であるヘリオックスが使われているのか、身の回りに存在する空気ではいけないのかを混合気体の説明と一緒に見ていきましょう。
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1-1混合気体とは
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混合気体とは2種類以上の気体を混ぜ合わせ作ったガスであり医療やダイビング以外にも様々な用途に使われています。例えば溶接における溶接部分に空気の接触を避けるためにシールドガスと呼ばれるアルゴンなどの不活性ガスと二酸化炭素を混ぜ合わせたガスが有名です。
ヘリオックスは酸素をヘリウムと混ぜ合わせることによって空気よりも早いスピードで気道を通過することができます。これはヘリウムの分子量が比較的小さいからです。また窒素を多く含む空気ではアルコールに酔った感覚に近い窒素酔いを起こしてしまうためヘリオックスが使用されます。
1-2混合気体の作り方
混合気体の作り方(充填方法)はいくつかありますが、気体にも液体や個体と同様に混ぜるという動作が必要になってきます。ヘリオックスに使われるヘリウムと酸素も1つのボンベに入れ回転させることによって均一に混ぜ合わさるのです。
しかし液体や個体は1度混ざり合ってもしばらくすると分離してしまうものがありますが、気体においては例外はあれども分離することはありません。混合気体の作り方は液体や個体を混ぜるイメージにとても近いところがあります。
2.ダイビングで使用されるヘリオックス
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ヘリオックスは主に日常生活以上の酸素を必要とする場面で使用されます。代表的な例の1つが長時間の潜水を行うダイビングです。潜水時に酸素中毒や窒素中毒を軽減、防止するために空気以外の呼吸用ガスとして使用されます。
ダイビングではヘリオックスの他にも目的や潜水深度に合わせてナイトロックスやトライミックスといった呼吸用のガスとして使われるので合わせて見ていきましょう。
ヘリオックスは窒素酔いが起こるとされている45m以上の深度で使用されることが多い、ヘリウムは北米を除くと非常に高価なため急潜水・急浮上を繰り返すバウンス潜水や、ダイバーがカプセルに入って行うシステム潜水などみなさんが思い浮かべるスキューバーダイビングにはあまり使用されていません。
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