世界中にいろいろな植物が存在しているが、君はその中でも葉脈に注目して植物の観察をしたことがあるか?
網目状に張り巡らされているものから、一定の方向に伸びているものまでよく観察すると面白のです。葉脈は人間でいうと血管の役割を果たしているため、植物にはなくてはならない組織なんだよ。実は血管のように植物全体に栄養などを運ぶ以外にも葉脈には重要な役目があるんです。

今回は葉脈の種類や役割について、生物に詳しいライターオリビンと一緒に解説していきます。

ライター/オリビン

大学院を理工学研究科で卒業した理系女子。卒業後は高校で生物教師を務めていた。現在は医学部の研究室で実験助手をしている。

植物についての基礎知識

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葉脈について解説する前に植物がどのような組織で成り立っているのか確認しましょう植物は大きく分けて根・茎・葉の3つの器官で成り立っています。さらにこの3つのパーツは表皮系・維管束系・基本組織系の3つの組織から成り立っているんですよ。どれも大事なポイントのため、それぞれについて詳しく解説していきます。

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根は地中の中にあることが多い器官です。地中の中では四方八方へ張り巡らされており、地中の水分や栄養分を吸い上げて葉や茎へ送っています。さらに、強く根を張ることで植物の体を支えるという役割も持っているのです。

基本的に地上に出ている器官で、ところどころに葉をつけています。茎も根と同様に植物の体を支える役割があるんですよ。さらに、根から吸収した養分などを葉まで届けるための通路にもなっています。

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基本的に茎についていて、扁平な形をしています。表目には葉緑体と呼ばれる色素があり、光合成をすることで養分を作っている器官です。葉の裏側には気孔と呼ばれる穴がたくさんついており、水蒸気や二酸化炭素・酸素の出入り口となっています。

 

植物の組織

植物を構成している細胞は、ただ意味もなく集合しているわけではなく似たような役割の細胞が集まることで1つの組織を形作っています。ではそれぞれについて詳しく解説しますね。

 

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表皮系

表皮系は植物の体全体を包んでいる組織です。表皮系には葉緑体をもっている細胞や、気孔が存在するため、外界との物質のやり取りに使われています。光合成を行っているのも表皮系です。

維管束系

植物の内部にある管のような組織を維管束系と呼びます。維管束系は道管の集まりである木部と、師管の集まりである師部で構成されているんですよ。道管では水を、師管では養分を運搬しています。また、木部は死んだ組織から構成されているんですよ。葉脈は維管束系の一部です。

基本組織系

表皮系と維管束系以外の組織を基本組織系と呼びます。デンプンの貯蔵や植物ホルモンの分泌、植物体を支えるなど大切な役割があるんですよ。

葉脈とは

葉脈とは、植物の葉に見られる網目状などの筋のことです。葉脈の正体は師管や道管といった葉の養分や水分を運ぶ管がひとまとめになった維管束なんですよ。葉脈は葉と茎が接している部分からは先に向かって枝分かれしながら伸びています。一般的には葉の中心に太い葉脈があり、その両側に細い葉脈が網目状もしくは平行に伸びているのです。

葉脈の種類

葉脈の種類

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葉脈の形は双子葉類か単子葉類、シダ植物かで異なります。まず、双子葉類では網状脈といって網目状の葉脈です。単子葉類では平行脈といって、葉脈が平行にまっすぐ配列しています。シダ植物の場合は二叉脈といって、少し特殊な形状をしているんですよ。では、それぞれについて解説していきます。

網状脈

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網状脈は双子葉類に見られる葉脈の種類です。葉脈が葉の全体に網目のように張り巡らされています。網状脈の代表的な植物は桜・ホウセンカ・アサガオなどです。

平行脈

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平行脈は単子葉類に特徴的な葉脈の形状です。葉脈が葉の根元から先端に向かって平行にまっすぐ伸びています。代表的な植物はイネ・ムラサキツユクサ・トウモロコシなどです。

\次のページで「二叉脈」を解説!/

二叉脈

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シダ植物などの太古から存在している植物は、葉脈の先が2つに分かれるように広がる二叉脈の形状をしています。基本的にはシダ植物に特徴的な葉脈ですが、イチョウも二叉脈の植物の一つです。

葉脈の役割

葉脈の正体は維管束です。維管束は師管と道管で構成されています。師管は植物の養分を運ぶ管であり、道管は水分が通っているのです。つまり、葉脈が葉の全体に張り巡らされることで葉の全体に水分が行き届き、葉全体の光合成で作られた養分が植物に運ばれていきます。また、維管束として太い筋となることで葉の強度を保ち、植物を自立させているのです。葉脈がなければ葉にハリがなく、ダラリと垂れ下がってしまいます。

維管束とは

葉脈とは維管束の事であると説明しましたが、ここで維管束の定義について解説します。維管束は植物の内側を通る管の集まりの事です。維管束は根から植物の葉先まで隅々をめぐっています。葉にある維管束のことを葉脈と呼び、その形状は植物の種類によって異なっているんですよ。維管束を持つ植物はシダ植物・裸子植物・被子植物で、維管束をもっている植物の総称を維管束植物といいます。

維管束と葉脈の違い

先ほど葉脈とは維管束のことであると説明しましたよね。では維管束=葉脈なのでしょうか?実は葉脈は葉の外側から見た場合に使われる言葉であり、維管束は葉の内側から見た場合に使われる言葉なんですよ。試験などで葉脈か維管束か回答に迷ったときは、葉の内側と外側どちらから観察した場合を指しているのかを問題文からしっかり読み取りましょう。

葉脈の標本

葉脈は固くて丈夫なので、ある操作をすると葉脈だけを取り出すことができます。しかし、軟らかい葉の植物は適していないので植物の選定には注意が必要です。葉脈を取り出すことに向いている植物はヒイラギやサザンカ、テンナンショウなどの葉が厚くて葉脈がしっかりしている物を選びましょう。

葉を選んだら、水に10%の濃度で重曹を溶かし葉を煮込みます。筆者が以前実験したときはアルカリ濃度が高すぎて鍋が溶けてしまったことがあるため、ガラス鍋で行うことをおすすめしますね。煮込み時間は2時間位と少し長めです。煮込み終わったら水道水でしっかりとすすぎ、歯ブラシなどブラシで葉を叩くように歯肉を取り除きます。すると葉脈だけが残るのです。葉脈の観察にはもってこいなのでやってみましょう。

身近にある植物の葉脈を観察してみよう

葉脈とは、葉の外側から見える維管束のことです。維管束は維管束系に属しており、師部と木部から成り立っています。葉脈は維管束のことなので、葉で作られた養分や根で吸収した水分を植物全体へ運ぶ役割があるんですよ。葉脈は植物の種類によって大きく網状脈と平行脈、二叉脈の3つに分けられます。網状脈は双子葉類、平行脈は単子葉類、二叉脈はシダ植物などで見られるんですよ。

葉脈は強めのアルカリ溶液で煮込むと歯肉が剥がれて脈だけがきれいに残ります。身の回りにある植物の葉脈を取り出し、どの植物でどんな形をしているのか観察するのも面白いです。

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理科環境と生物の反応生態系生物生物の分類・進化

葉脈は何のためにあるの?網状脈や平行脈とは?元理科教師が5分でわかりやすく解説!

世界中にいろいろな植物が存在しているが、君はその中でも葉脈に注目して植物の観察をしたことがあるか?
網目状に張り巡らされているものから、一定の方向に伸びているものまでよく観察すると面白のです。葉脈は人間でいうと血管の役割を果たしているため、植物にはなくてはならない組織なんだよ。実は血管のように植物全体に栄養などを運ぶ以外にも葉脈には重要な役目があるんです。

今回は葉脈の種類や役割について、生物に詳しいライターオリビンと一緒に解説していきます。

ライター/オリビン

大学院を理工学研究科で卒業した理系女子。卒業後は高校で生物教師を務めていた。現在は医学部の研究室で実験助手をしている。

植物についての基礎知識

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葉脈について解説する前に植物がどのような組織で成り立っているのか確認しましょう植物は大きく分けて根・茎・葉の3つの器官で成り立っています。さらにこの3つのパーツは表皮系・維管束系・基本組織系の3つの組織から成り立っているんですよ。どれも大事なポイントのため、それぞれについて詳しく解説していきます。

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根は地中の中にあることが多い器官です。地中の中では四方八方へ張り巡らされており、地中の水分や栄養分を吸い上げて葉や茎へ送っています。さらに、強く根を張ることで植物の体を支えるという役割も持っているのです。

基本的に地上に出ている器官で、ところどころに葉をつけています。茎も根と同様に植物の体を支える役割があるんですよ。さらに、根から吸収した養分などを葉まで届けるための通路にもなっています。

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基本的に茎についていて、扁平な形をしています。表目には葉緑体と呼ばれる色素があり、光合成をすることで養分を作っている器官です。葉の裏側には気孔と呼ばれる穴がたくさんついており、水蒸気や二酸化炭素・酸素の出入り口となっています。

 

植物の組織

植物を構成している細胞は、ただ意味もなく集合しているわけではなく似たような役割の細胞が集まることで1つの組織を形作っています。ではそれぞれについて詳しく解説しますね。

 

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