この記事では「甲乙丙丁」について解説する。「甲乙丙丁」は、時代と共に出現頻度が少なくなっていった言葉です。ですが、現代では使えないというわけでも、完全に使われなくなったというわけでもない。覚えておいたら役に立つ言葉なのは確かです。元建築系企業社員、現言葉大好きライターのsasaiを呼んです。一緒に「甲乙丙丁」の意味や使い方、ニュアンスなどを見ていきます。

ライター/sasai

元会社員の現役フリーライター。言葉が好きで文章が好き。読むのも書くのも大好きで、海外小説からビジネス書まで何でも読む本の虫。こだわりをもって言葉の解説をしていく。

「甲乙丙丁」の意味とは?

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「甲乙丙丁」の意味は以下の通りです。

十干に基づいた、序列を指し示すための記号。単なる割り振りの場合や、等級や階級を示す場合がある。「甲乙」のみ、または「甲乙丙」の3種などでも同様に用いられる。

出典:Weblio辞書「甲乙丙丁 意味」

辞書上の意味をかなり嚙み砕いて言うと、「甲乙丙丁」とは日本独自の記号です。何を表す記号なのかと言うと、主に順番になります。1番目、2番目、3番目…と番号を付ける代わりに、甲、乙、丙…と名前を付けて使用するわけです。

「等級や階級を表す場合も」とありますが、これも順番のひとつになります。何かに対して1番目、2番目…と区別する場合、「特に理由はないけどこれが1番目でこれが2番目で…」という風に順番をつけることがありますが、理由があった上で順番を付けることもあるでしょう。例えば人を背の順で並べる際、「この人が1番低く、この人が2番目に低く…」という風に並べる際は、順番に規則性があるわけです。そのような時も、甲、乙、丙…という風に順番を付けることができます。

このような記号のことを序数と呼ぶため、押さえておきましょう。

「甲乙丙丁」の読み方とは?

「甲乙丙丁」は「こうおつへいちょう」または「こうおつへいてい」と読みます。「甲」が「こう」、「乙」が「おつ」、「丙」が「へい」、「丁」が「ちょう」もしくは「てい」です。どちらでも間違いというわけではありません。基本的にどの字も難読というわけではありませんが、「丙」だけは日常で良く見る漢字とは言いづらいため、覚えておきましょう。

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「甲乙丙丁」の使い方について

「甲乙丙丁」に決まった使い方はありません。というのも「甲乙丙丁」は記号であり、言うなればアルファベットのことを「ABC」と言ったり、ひらがなのことを「あいうえお」と表現するようなもので、四字熟語であったり慣用句であるというわけではないのです。それに伴って「甲乙丙丁」という言葉が出てくる際は、「甲乙丙」と表記して最後の「丁」を抜いたりなどという表現をしても、間違いではないということになります。

それを踏まえた上で、以下の使用例を見てください。

1.次の設問の選択肢を「甲乙丙丁」の中から選んでください。
2.このサンプルを結果の数値順に「甲乙丙丁」でラベリングしていってほしい。
3.「甲乙丙丁」の4段階で作品の出来を分けて行こう。

例文を読めばわかりますが、必ずしも「甲乙丙丁」である必要はないということがわかります。選択肢や区分が3つであれば「甲乙丙」になりますし、2つに区分する場合は「甲乙」です。

「甲乙丙丁」ってどこからきたの?

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「甲乙丙丁」は「ABC」や「あいうえお」と同様の記号を表す言葉です。しかしそれならば、「甲乙丙丁」とはどこからきた字の並びなのでしょうか。実は「甲乙丙丁」は十干と呼ばれる数の数え方の一部であり、正式には「甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸」まで続きます。読み方は「こう・おつ・へい・ちょう・ぼ・き・こう・しん・じん・き」です。

昔の日本ではこれに干支の十二支をかけあわせ、60種類に年を分けていました。60歳を迎えることを「還暦(かんれき)」と言うのはこれが理由であり、「歴(こよみ)が還る(かえる)」、つまり年が1周するという意味になります。

昔は住所にも使用されていた「甲乙丙丁」

日本の住所には、しばしば「○○町乙23-2」などという表記が混じることがあります。この例における「乙」という字は「甲乙丙丁」の「乙」です。昔は住所を数字でなく「甲乙丙丁」や「いろはにほへと」で管理していたため、今でもその名残で「甲」「丙」などが住所に入っている場合があります。

主流であったのは昔の話であり、今はほとんど数字に置き換わりました。とはいえまだ完全になくなったというわけではないため、覚えておくに越したことはありません。

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「甲乙丙丁」のそれぞれの意味

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「甲乙丙丁」が序数であることは上記のトピックで解説しましたが、それぞれの文字にも各々意味があります。ただ単純に「甲乙丙丁というのだ」と覚えるよりも、意味まで知っておいた方がより覚えやすくなるでしょう。

1.「甲」ってどんな意味?

「甲」という文字は「甲王丙丁」の中でも最初の文字であり、数字で表現すると1番にあたる文字です。基本的には重要度がもっとも高くなります。例えばビジネスにおけるなどでは、私や貴方といった言葉の代わりに「甲」「乙」などという表現が使用されますが、「甲」とされる立場の方が一般的に上とされる場合が多いです。

2.実は良い意味で使われる「乙」

「乙」は「甲乙丙丁」の中でも2番目に当たり、重要度として標準程度と表す際にも使用されます。

「乙なもの」という言い回しがありますが、これに出てくる「乙」とは「甲乙丙丁」の「乙」です。そのまま解釈すると「2番目に良い」ということになりますが、実は違います。これは「1番であるよりも1歩下がって2番のものの方が、でしゃばり過ぎずかえって良い」という日本人特有の考え方から出来た言い回しであり、転じて「もっとも良いもの」を意味しているのです。

3.やや難読?「丙」について

「丙」は咄嗟に出されると読み方が分からない人も多い漢字です。「へい」とも読みますが「ひのえ」とも読まれます。

順番としては「甲」「乙」に次いで3番目となり、標準以下の重要度として表される際に「丙」が用いられることも多く、良い意味を持っているとはあまり言えません。ただし、序数という要素を抜きにした場合「丙」に悪い意味はありません。

4.知名度が低め?「丁」について

「甲乙丙丁」において、「丁」は知名度がやや下がります。「丁」という言葉そのものが知られていないのではなく、「甲乙丙」に続く文字としての知名度が低いのです。実際に序数として「丁」まで続くことは少なく、重要度の定義づけも行われていません。

読み方は「ちょう」または「てい」です。T字路と呼ばれる道路の形がありますが、まれに「丁字路(ていじろ)」と呼ばれることもあります。

子供の世界から姿を消しつつある「甲乙丙丁」

「甲乙丙丁」は子供の世界で知名度が低く、知らない場合が非常に多いです。しかし大人の世界では、契約書や資格の種別などいまだに根強く残っている部分があります。そのため、大人になってから初めて知ったというケースも少なくないでしょう。

数字の「123」やひらがなの「いろは」、アルファベットの「ABC」と比べて、漢字で表されるため子供には分かりづらいことは事実です。しかしいつかはどこかでふれる機会があることが想定されるため、学生のうちに知っておきたい言葉と言えるでしょう。

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国語言葉の意味

序数って何?単語じゃないの?「甲乙丙丁」の意味・使い方・ニュアンスを言葉大好きライターがわかりやすく解説!

この記事では「甲乙丙丁」について解説する。「甲乙丙丁」は、時代と共に出現頻度が少なくなっていった言葉です。ですが、現代では使えないというわけでも、完全に使われなくなったというわけでもない。覚えておいたら役に立つ言葉なのは確かです。元建築系企業社員、現言葉大好きライターのsasaiを呼んです。一緒に「甲乙丙丁」の意味や使い方、ニュアンスなどを見ていきます。

ライター/sasai

元会社員の現役フリーライター。言葉が好きで文章が好き。読むのも書くのも大好きで、海外小説からビジネス書まで何でも読む本の虫。こだわりをもって言葉の解説をしていく。

「甲乙丙丁」の意味とは?

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「甲乙丙丁」の意味は以下の通りです。

十干に基づいた、序列を指し示すための記号。単なる割り振りの場合や、等級や階級を示す場合がある。「甲乙」のみ、または「甲乙丙」の3種などでも同様に用いられる。

出典:Weblio辞書「甲乙丙丁 意味」

辞書上の意味をかなり嚙み砕いて言うと、「甲乙丙丁」とは日本独自の記号です。何を表す記号なのかと言うと、主に順番になります。1番目、2番目、3番目…と番号を付ける代わりに、甲、乙、丙…と名前を付けて使用するわけです。

「等級や階級を表す場合も」とありますが、これも順番のひとつになります。何かに対して1番目、2番目…と区別する場合、「特に理由はないけどこれが1番目でこれが2番目で…」という風に順番をつけることがありますが、理由があった上で順番を付けることもあるでしょう。例えば人を背の順で並べる際、「この人が1番低く、この人が2番目に低く…」という風に並べる際は、順番に規則性があるわけです。そのような時も、甲、乙、丙…という風に順番を付けることができます。

このような記号のことを序数と呼ぶため、押さえておきましょう。

「甲乙丙丁」の読み方とは?

「甲乙丙丁」は「こうおつへいちょう」または「こうおつへいてい」と読みます。「甲」が「こう」、「乙」が「おつ」、「丙」が「へい」、「丁」が「ちょう」もしくは「てい」です。どちらでも間違いというわけではありません。基本的にどの字も難読というわけではありませんが、「丙」だけは日常で良く見る漢字とは言いづらいため、覚えておきましょう。

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