
どうなった?オリンピック・レガシー
では、日本でこれまで開かれた4回のオリンピックの主なレガシーは何だったでしょう。ここでは五輪に合わせて新設された競技施設に限ってみていきます。各オリンピックの情報をまとめたサイトなどから拾いました。
1964年 東京オリンピック
渋谷公会堂
駒沢陸上競技場
駒沢体育館
駒沢バレーボール場
日本武道館
1972年 札幌冬季オリンピック
大倉山ジャンプ競技場
宮の森ジャンプ競技場
真駒内屋内競技場
真駒内屋外競技場
1998年 長野冬季オリンピック
エムウェーブ(長野市オリンピック記念アリーナ)
ビッグハット(長野市若里多目的スポーツアリーナ)
アクアウイング(長野運動公園総合運動場総合市民プール)
ホワイトリング(長野市真島総合スポーツアリーナ)
2021年 東京オリンピック2020(主なもののみ)
(新)国立競技場
夢の島公園アーチェリー場
海の森水上競技場
カヌー・スラロームセンター
大井ホッケー競技場
東京アクアティクスセンター 有明アリーナ
おなじみのスポーツ施設や大規模集客施設が、実はオリンピックを機に建てられたものだということもわかりますね。しかし、東京五輪2020で造られた六つの施設の大半は、将来の黒字運営が難しいと懸念されているとのこと。文字通り「負の遺産」になってしまう可能性が高いのです。

大きな施設を造るときは、造った後のことを考えなければいけない。日本人はバブルの失敗で学んだはずだが、それでも「負の遺産」はあちこちにあるんだよな。
英語で使われるちょっと意外なレガシー
ここで参考までに、英語でlegacyが使われている意外な例を見てみましょう。
「後遺症」
「後遺症」は「病気や怪我の症状がおおむね治った後も、体に傷跡や機能障害などが残ること」。後遺症を意味する英語は一般にはaftereffectやsequela(医学用語)ですが、「○○の後遺症を克服する」というとき、英語ではovercome the legacy of ○○と表現します。米国にはスポーツによる脳震盪の後遺症の防止と研究を行うThe Concussion Legacy Foundation(脳震盪レガシー財団)という組織があるそうです。
「相続税」「遺産相続税」
「相続遺産」は英語でinheritanceと言うのが一般的。しかし、「相続税」となるとlegacy taxと表記されることがあります。「遺産相続税」はlegacy dutyで、遺言によって相続する遺産がlegacyと呼ばれるようです。
皮肉っぽく言われないよう気をつけよう
自分で言及した「レガシー」が結果を残せず、皮肉っぽく「あれは負の遺産だね」と言われる可能性は大いにあります。レガシーは自分で宣言するものではなく、後世の人たちに評価を委ねるべきでしょう。