国語言葉の意味

レガシーって良い意味?悪い意味?語源や使い方・ニュアンスの違いなど活字メディア出身ライターがわかりやすく解説

建造物のように実体がある「遺物」だけでなく、何か困難なことを実現したという行動・行為に対してもレガシーが使われます。

ところで「先人の業績」は前向きなイメージですが、「負の遺産」という言葉があるのもご存知ですね。「遺産」が必ずしもポジティヴな意味ばかりではないことには、注意が必要です。

その2. かつては「時代遅れのもの」

「大辞泉」の2にある「時代遅れのもの」はネガティヴな表現です。ここにも例文を挙げてみましょう。

うちの会社のIT機器は更新が追いつかず、レガシーシステムがあちこちに残っている。

バブル期の退職金制度が、レガシーコストとして経営の足を引っ張っている。

レガシーシステム、レガシーコストなどはまさに「時代遅れのもの」「負の遺産」という意味合いで使われています。経済の分野では、以前からレガシーシステムのような表現が使われていました。

【余談】「世界遺産」はレガシーと言わない

ところで「遺産」と言えば、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の「世界遺産」を思い浮かべる人も多いでしょう。いまの時点で一番新しい日本の世界遺産は、2021年に登録された「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」と「北海道・北東北の縄文遺跡群」です。

「世界遺産」も遺産だからレガシーと言い換えできそうですが、世界遺産は英語では World heritage と言います。heritageは、歴史的価値や伝統といったお金に換えられないものを指すという説明が一般的。ただ、日本語ではお金に換算できないものにもレガシーを使う場合があり、線引きは微妙と言えるでしょう。

オリンピック・レガシーとは?

image by iStockphoto

「レガシー」という言葉は、オリンピックと密接に結びついているようです。

メディアへの頻出はいつから?

「レガシー」は2016年末に発表された新語・流行語大賞(現代用語の基礎知識選 2016ユーキャン新語・流行語大賞)で、候補30語のひとつに選ばれました。流行の発信源は、この年に初当選した小池百合子東京都知事でした。

試しに全国紙3紙で、「レガシー」がどれだけ使われたか調べてみました。2005年から2014年までの10年間では3紙合わせて408件でしたが、2015年にわずか1年で756件も使われています。2016年以降は年平均370回ほど。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(東京2020組織委)が発足したのが2014年なので、オリンピック招致運動が本格化した2015年にレガシーが最も頻繁に使われたのです。

誰が言い出した?オリンピック・レガシー

「オリンピックのレガシー」は、日本の政治家が考え出したわけではありません。

国際オリンピック委員会(IOC)のオリンピック憲章には、「オリンピック競技大会の有益な遺産を、開催国と開催都市が引き継ぐよう奨励する」という一文があります(第1章 オリンピック・ムーブメント)。この「遺産」の英語原文は「legacy」となっています。

つまり、オリンピックを誘致する国は、手を挙げる段階から「これが開催後にレガシーになりますよ」と宣言しておくことを求められるのです。

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