化学物質の状態・構成・変化理科

混ぜなくても飽和溶液を作れる?教員免許持ちの理系ライターが拡散の原理から5分でわかりやすく解説

拡散のイメージ

拡散のイメージ

image by Study-Z編集部

ここでは拡散の現象をイメージしやすいように、色がついている「コーヒー」をお湯に注いだ時の挙動を用いましょう。注ぐ前のコーヒーの濃度を100、お湯はコーヒーが全く混ざっていないので濃度0とします。お湯の中にコーヒーを注ぐと、コーヒーはコップの下方に沈んでしまうことなく、上方に浮かんでしまうこともなく、お湯の中に自然に広がっていきますね。インスタントコーヒーはこの現象を利用して、お湯を注ぐだけでコーヒーが入れられるようになっているわけです。

さてコーヒーが広がっていく原動力は何でしょうか?1つは濃度差でしょう。お湯に薄いコーヒーを注ぐよりも濃いコーヒーを注いだ方が勢いよく広がるでしょう。しかし、単純に濃度差だけではなさそうです。例えば、半径10wp_の大きめの円筒形容器Aと半径5wp_の小さめの容器B、どちらもお湯(濃度0)が入っているとして、濃度100のコーヒーを注いだとします。どちらが早く広がるでしょうか?

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ここで濃度「勾配」という概念が力を発揮します。先ほどの例では、直感的なイメージ通り小さい容器の方が速く広がるもの。

お湯とコーヒーの濃度差はどちらも100ですが小さい容器の方が端までの距離が短い中心から5wp_で濃度差が100も変わってしまいます。大きい容器だと10wp_で濃度差が100。1wp_当たりの濃度変化は大きい容器Aで10、小さい方だと20。拡散の速さには1wp_当たりの濃度差が効いてきます。濃度勾配とは単位距離進むごとの濃度変化であり、今回容器Aの半径方向の濃度勾配は10/wp_、Bは20/wp_です。

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image by Study-Z編集部

一般に、濃度の拡散は濃度勾配に比例して大きくなり、その比例定数は拡散係数です(フィックの第一法則)。イラストに示すような式となり、こえれは「拡散方程式」と呼ばれます。

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溶液中に溶質を入れると自然に広がっていく(拡散する)ので、敢えて混ぜなくても飽和溶液に近づいていく。

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4.放置して飽和水溶液を作ってみよう

拡散の考え方にしたがえば、水に溶質を混ぜると「自然に広がっていく」ことから、長時間待てばいずれは飽和容器たる濃度になるまで溶けていくでしょう。ただし、飽和溶液にするためには溶質を溶解度よりも過剰に入れる必要があります。

さて、全く混ぜる動作をせずに飽和溶液を作るにはどれくらい時間がかかるのか簡単に計算してみましょう。溶媒と溶質の種類によっても違いますが今回は、溶媒を水、溶質をショ糖とします(拡散係数の情報を入手しやすかったため)。

半径1wp_の半球に水を満たし、水面の中央に飽和溶液を作るのに十分な量のショ糖を置き、ショ糖が全体に溶けわたり飽和溶液となるまでどれくらいの時間がかかるのか簡易的にシミュレーションしましょう。

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濃度拡散時の仮定

濃度拡散時の仮定

image by Study-Z編集部

拡散の計算で使う濃度勾配は、時間と場所によってまちまち。また、3次元全ての方向について考える必要があり、厳密にシミュレーションするにはかなりの計算コストがかかります。そこで今回は、計算を単純化するため以下のような仮定を置くことにしましょう。

仮定1:ショ糖の体積は無視し、水は蒸発しない。

仮定2:ショ糖が置かれている点Oは飽和溶液となっていて、ショ糖を加えた時点で拡散が始まる。

仮定3:ショ糖は等方的に(x,y,z3方向とも等しい速度で)拡散する。

仮定4:ショ糖の濃度勾配は点Oから容器の端までの平均値で考える。初期状態の濃度勾配はで、飽和状態では0となるが、濃度勾配は初期状態から飽和状態に至るまで線型的に変化するものとする。

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