化学物質の状態・構成・変化理科

混ぜなくても飽和溶液を作れる?教員免許持ちの理系ライターが拡散の原理から5分でわかりやすく解説

よぉ、桜木建二だ。理科の実験で食塩水などの溶質を水に溶かしていき、どこまで溶けるか実験したことがあるな。一定以上の食塩を加えると「もうこれ以上溶けきれない」状態になり「飽和溶液」と呼ぶことが出来る。さて、この「いっぱいいっぱい」まで溶けた「飽和溶液」を作ろうとする時多くの人は「混ぜる」であろう。さて、この「混ぜる」作業をしなくても、温めたり時間を置いたりして「飽和溶液」を作ることは出来るのだろうか。理系ライターのR175と解説していこう。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

R175

ライター/R175

関西のとある国立大の理系出身。学生時代は物理が得意で理科の教員免許持ち。日常の身近な現象に結びつけて分かりやすい解説を強みとする。

1.飽和溶液とは

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飽和溶液とは溶質が「これ以上溶けられない」状態まで溶けている溶液のこと。溶質とは溶けている物質、溶媒が溶かしている物質(液体)、溶液は溶媒に溶質が溶けたもの。食塩水で例えると、溶質は食塩溶媒が水溶液は食塩水です。溶媒が水の場合の溶液は「水溶液」とも呼ばれます。

そして、飽和溶液とは溶質が限界まで溶けきっている溶液です。

「飽和」の概念

理科でたびたび登場する「飽和」という用語。飽和溶液、飽和水蒸気量、飽和結合など。全てに共通する概念があります。「最大限いきわたっている状態で安定している」という概念です。

」は飽きる(あきる)という意味で、理科(化学)の表現で言う「最大限いきわたっている」状態。飽和溶液は、溶質が溶媒の中に最大限いきわたっている状態、飽和水蒸気量は気体中に水蒸気(気体の水)が最大限いきわたっている状態、飽和結合とは全ての結合の「手」1本1本が重複することなく全て結合している状態。二重結合や三重結合がない状態です。

2.飽和溶液の作り方

飽和溶液を作るには、溶質を最大限溶かせばいいわけで、手っ取り早い方法は混ぜることですね。

温めてもたくさん溶かすことが出来そうですが、温度を上げると溶質が溶けられる限度(溶解度)も増えるためそれに抗ってたくさん溶かす必要があるので一概に飽和溶液を作りやすいと言えるかどうかは不明です。冷却すると減少すると溶解度が減少するので、この性質を利用して、一旦温めてたくさん溶質を溶かしその後冷却すれば溶けきれなくなった溶質が再び結晶として析出されます。この時、溶質は最大限溶けきっていますね(溶け出す量と析出する量が同じ化学平衡の状態)。

かき混ぜつつ温めて溶質をたくさん溶かした後冷却すれば手っ取り早く飽和溶液が作れそうですが、ここでは敢えて地道に待って作る方法も考えてみましょう。混ぜたり温めたりを一切しなくても飽和溶液になるのかどうか議論したいと思います。

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化学で言う「飽和」とは最大限いきわたっている状態。飽和溶液とは、溶質が最大限溶けた溶液のことだ。最大限溶かしたいのであれば、普通は混ぜた方が早いが、実は混ぜなくても作れてしまう。

3.地道に待って飽和溶液を作る

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そもそも何もせずに放置して飽和溶液作ることは出来るのか。例えば水に食塩を加えてそのまま放置してみましょう。何が起きるのでしょうか。全く混ぜなければ全く溶けないのでしょうか。いえいえそんなことはありません。食塩を水に混ぜただけで自然に溶けていく性質があります。溶けるというよりは食塩が水の中に広がっていくイメージで、「拡散」という現象です。

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