
5分でわかる「理想気体と実在気体の違い」教員免許持ちの理系ライターがわかりやすく解説


解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/R175
関西のとある国立大の理系出身。
1.理想気体と実在気体の違いをざっくり

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理想気体における仮定は「気体分子そのものの体積を無視する」こと、「分子同士に働く力(引力)」を無視すること。それぞれの仮定を行った場合どれくらい誤差が出てくるのだろうか。
2.気体分子の体積を無視した場合の影響

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理想気体における仮定の1つが「気体分子の体積を無視する」です。気体の状態方程式PV=nRTにおいて、体積Vは合計の体積ではなく、気体分子が動ける範囲であり、合計の体積から気体分子そのものの体積を引いたものがそれに当たります。
しかし、理想気体ではVは気体全体の体積として計算していますね。ということは「気体分子の体積は0」ということ。なぜこのような計算方法が存在するのかというと、「あまり影響がない」場合もあるからです。数学や物理でよく用いられる近似で、角度Θが小さときはsinΘ=tanΘ=Θといったものがありますね。これはΘを「ほぼ0」とみなしているわけですが、角度が小さいときはそのように仮定しても問題ありません。
同様に、気体の計算でも分子の体積をほぼ0として計算しても問題ない場合があるのです。例えば常温常圧の空気は理想気体とみなせて、気体分子(主に窒素分子と酸素分子)の体積を0とみなしても問題ありません。さて、実際空気中体積に占める気体分子の割合はどの程度か。
空気中の気体分子構成要素
Adrien Facélina – https://web.archive.org/web/20061104164034/http://perso.orange.fr/eriollsdesigns/icons.html このファイルの派生元: Atom (2).png, LGPL, リンクによる
空気1Lの中に気体分子は何Lあるか計算してみましょう。気体分子そのものがざっくりどれくらいの体積を占めているかを見

ここからは、気体分子(原子核と電子)1個当たりの体積と分子の個数から計算してみよう。