
3分で簡単「自然放射線」安全?健康に影響は?理系ライターがわかりやすく解説
2. 自然放射線について

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放射線はその由来によって自然放射線と人工放射線に分けることができます。そして自然放射線は更に宇宙放射線と自然放射性物質由来の放射線の2種類に分けることができるのです。
ここでは宇宙放射線と自然放射性物質由来の放射線に分けて解説していきます。
2-1. 宇宙からくる放射線

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1911年から1912年にかけて気球を使い放射線の計測実験を行い、地球外から飛来する放射線を発見した人物がいます。それがオーストリア出身の物理学者ヴィクトール・フランツ・ヘス。彼はこの業績によって1936年ノーベル物理学賞を受賞しています。
宇宙放射線の正確な定義は文献などにより違いがあるのですが太陽風、太陽粒子、銀河宇宙線がその構成成分で、一次宇宙線が大気を構成する元素の原子核と衝突して発生する二次宇宙線が地表に降り注いでいるのです。
宇宙放射線の被ばく量は日本の年間平均で0.30mSv、そして航空機に乗ると高度が上がるとともに被ばく量が増え東京ーニューヨーク間を往復すると0.11~0.16mSvを被ばくすることが分かっています。知識として知っておくと面白いですね。
そして宇宙放射線により窒素14から放射性同位体(ほうしゃせいどういたい)の炭素14が生成されるということも覚えておきましょう。
2-2. 自然放射性物質由来の放射線

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宇宙放射線とは別に、私たちは自然放射性物質由来の放射線で大気、大地もしくは食物の摂取により被ばくしています。
大気からの被ばくは主として空気中に含まれるラドン、食物からの被ばくは食べ物の中に含まれる前述の放射性同位体カリウム40と炭素14、大地からの被ばくは岩石が多い地域で高い傾向にあり特に花崗岩(かこうがん)に多く含まれています。花崗岩は別名御影石(みかげいし)と呼ばれ建設材料としても使われていますので、実は身近に使われているものの中にも微量の放射性物質が含まれているのです。
なお食物として摂取した放射性同位元素は代謝により排出されるため、何らかの原因で過剰摂取しない限り体内で一定の割合に保たれ、増えることは無いので安心してくださいね。
2-3. 自然放射線の高さで知られる地域

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また世界には大地からの放射線量が異常に高いことで知られる地域も存在します。これらは主にラジウム、トリウム、ウランが土壌中に含まれることが原因です。その驚きの線量を見ていきましょう。
大地の放射線(世界)
・インド ケララ 9.2 mSv/年
・イラン ラムサール 4.7 mSv/年
・イタリア オルビエート 3.4 mSv/年
・中国 陽江 2.3 mSv/年
・日本(平均) 0.3 mSv/年
出典:放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料(平成30年度版)(環境省)
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