「大局」
「上から」というニュアンスは含みませんが、「物事の全体のありさま」を意味するのが「大局」です。
「俯瞰」の場合はそのまま動詞として「俯瞰する」という言い方をしますが、「大局」そのものは「見る」という意味を持たないので、「大局的に見る」という使い方をします。また、「大局的観点から考えると…」という用法もよく見かけますよ。「マクロな視点」と言い換えることもできますね。
・それほど標高が高い山ではないが、それでも山頂から下界を鳥瞰すると気分が晴れる。
・この会議で目立つことばかり考えるのではなく、大局的見地に立って会社のためになる改善策を議論してほしい。
「俯瞰」の対義語は?
次に、「俯瞰」と反対の意味を持つ言葉を見ていきましょう。
「偏狭(へんきょう)」
「偏(かたよ)っていて狭い」という文字のとおり、自分だけの狭い考えにとらわれている様子をいう言葉です。物の見方や性格を指して使いますよ。
とはいえ「偏狭な人だ」と言われたら誰しもムッとするかもしれないほど、マイナスイメージが強いのも事実。他人を指して言うときは、状況をよく判断してからにしたほうがいいでしょう。
「近視眼的(きんしがんてき)」
近眼の人は近くはピントが合いやすいものの、遠くを見るのは苦手ですよね。その様子から、全体を見ようとせず、目先のことにとらわれる様子を「近視眼的」といいます。
上から下を見るなど位置には関係ない言い方という点では、「俯瞰」の類義語として紹介した「大局(的)」の対義語といったほうがぴったりするかもしれません。とすると、「大局」のところで「マクロな視点」を挙げたことに対応して、「ミクロな視点」も「俯瞰」の対義語と考えられる面がありますね。
・係長になったはいいが、偏狭な見方を改めないとそれ以上の出世は望めないぞ。
・近視眼的な考え方はやめて、これからの自分の人生に本当に必要なものをよく考えてみよう。
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