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そしてステンレス鋼で孔食が発生するメカニズム。ステンレス鋼というのはクロム(Cr)が10.5%以上添加された合金鋼のことで、その表面にはクロムが1nmから3nmの保護酸化皮膜を形成することで内側を酸化から守っています。しかし、そんな酸化皮膜にも弱点があるのです。それが塩素イオン(Cl-)。
塩素イオンが多い場所、例えば海の近くでは塩素イオン濃度が高くなることでクロム酸化皮膜の一部を破壊。そこから図のように「ピット」と呼ばれる穴を形成し、ピット内部がアノード、酸化皮膜がカソードという状態になります。ピットの内部では鉄イオンの濃度が高くなり、そこに塩素イオンが泳動(えいどう)してくるため全面腐食よりもはやい速度で板を貫く方向に腐食が進んでいってしまうのです。
3. 孔食への対策
それでは孔食を防ぐためにどのようにしていけばいいか、対策を考えてみましょう。
3-1. 腐食原因の除去
腐食は金属+酸化剤+水の存在により発生、進展します。ということはそもそも酸化剤と水を除くことができれば腐食は進みません。しかし現実的に大規模な化学プラントやパイプラインを考えてみると、これらを除去するというのはなかなかに難しいものです。
3-2. めっき・塗装を施す

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また金属表面を保護するという点で忘れてはならないのがめっきと塗装です。めっきといえば犠牲防食作用をもつ亜鉛。溶融亜鉛めっき、電気めっき、亜鉛溶射といった手法で金属表面に加工を施すことで「卑な金属」である亜鉛が先に溶け出して下地の金属を守ります。
あとは工業的な話になりますが亜鉛を含むジンクリッチペイント、エポキシ樹脂ペイント、ポリウレタン樹脂ペイントといった塗料を5層あるいは6層重ねた塗装により金属を腐食から守るといったことが実際に行われています。
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