
2. 孔食について
孔食というのは主に塩化物イオンが豊富な環境で、表面に不働態(ふどうたい)をもつアルミニウム合金やステンレス鋼で観察されることの多い局部腐食のことを言います。
それではステンレス鋼で孔食が起こるメカニズムを、鉄の全面腐食と比較してみていってみましょう。
2-1. 全面(均一)腐食のメカニズム
まず全面腐食のメカニズムについてみていきましょう。全面腐食では鉄に水滴が付着している状況を考えます。

image by Study-Z編集部
鉄が水中でさびる反応、つまり全面腐食は以下のような化学反応により進行していきます。
総反応式:Fe + H2O + 1/2O2 → Fe(OH)2
酸化反応:Fe → Fe2+ + 2e- ←アノード反応
還元反応:1/2O2 + H2O + 2e- → 2OH- ←カソード反応
鉄と水中の溶存酸素が反応して水酸化第一鉄Fe(OH)2のさびを生成します。水酸化第一鉄Fe(OH)2は水中の酸素でさらに酸化されて水酸化第二鉄Fe(OH)3となり、これが赤さびのもとです。
ここで覚えて欲しいのは、鉄の腐食は表面全面にわたりアノード点とカソード点が存在し、その間に電流が流れることでアノード点からFe2+が溶出。腐食が進行しているということです。このような電池を局部電池もしくはミクロセルと呼び、このことから全面腐食のことをミクロセル腐食と呼ぶことがあります。
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