思いやり予算とはどのような政策の一環なのでしょうか。指摘されている問題や関連する出来事を、現代社会に詳しいライターひこすけと一緒に解説していきます。
- 思いやり予算とは駐留経費の負担分のこと
- 防衛省の予算に計上されている経費
- 米軍で働く日本人の福利厚生費の負担からスタート
- 思いやり予算が生まれた経緯
- 高度経済成長期に組まれた負担額
- 思いやり予算を命名したのは日本共産党
- 日本が米軍の駐在費を負担する理由とは?
- 外交・国防における重要性と政府は説明
- 思いやり予算の他に日本が負担しているもの
- 不適切な支出が問題視される思いやり予算
- レジャー施設のスタッフ給与に利用されることも
- 2011年に協定の有効期間が延長される
- トランプ大統領は日本の負担額アップを要求
- 2022年度より思いやり予算を見直すというニュースも
- 韓国とアメリカは交渉が決裂
- 思いやり予算の交渉はこれからも続く
この記事の目次
ライター/ひこすけ
アメリカ文化やメディア政策を専門に研究している元大学教員。大統領選にトランプが敗北したことで、日米安保条約や普天間飛行場移設問題など、日米関係の方向性が気になる今日この頃。そこで思いやり予算の合意内容や米国の姿勢などを調べてみた。
思いやり予算とは駐留経費の負担分のこと
本屋 – 本屋‘s file (self-made), CC 表示-継承 3.0, リンクによる
思いやり予算とは日本が負担している在日米軍駐留経費の一部のこと。給与のような人件費や訓練移転費などにあてられている。思いやり予算が組まれたのは1978年。日本の景気が良い一方、アメリカの財政が悪化している時期に、日本が「自主的」に負担したのがはじまりです。
防衛省の予算に計上されている経費
思いやり予算が計上されているのは防衛省の予算。思いやり予算というのは通称であり、正式には在日米軍駐留経費負担と名付けられました。正式名称から分かるように、日本に駐留しているアメリカ軍が必要とする経費の一部を日本が負担するという意味です。
日本は40億を超える金額を負担していますが、いくら負担するのかは、日米地位協定と在日米軍駐留経費負担に係る特別協定のふたつを根拠に決められました。このような負担は、韓国、ドイツ、イタリア、クウェートなどでも発生していますが、数字は日本が圧倒しています。
米軍で働く日本人の福利厚生費の負担からスタート
思いやり予算は、米軍の日本に駐留するうえでかかる経費を負担するもの。もともとは、1978年に米軍基地で働く日本人向けの福利厚生費の一部を負担することからスタートしました。日本人の給与や利用する施設の拡充などにも活用されていきます。
1987年に在日米軍駐留経費負担特別協定が締結され、米軍基地で働く日本人の手当てにも拡大。1991年には基本給の支払いにあてられるようになります。もともと日本人の福利厚生や給与にあてられていた思いやり予算は、徐々に米軍の運営費もカバーするようになっていきました。
思いやり予算が生まれた経緯
思いやり予算が生まれたのは1970年代。ピークは過ぎたものの円高により経済が成長している時期でした。米軍の駐在費用が増えていくことに不満を持つアメリカを配慮して、日本側が「自主的に」用意したことから思いやり予算と呼ばれるようになりました。
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