今回は「示準化石(しじゅんかせき)」について学ぶ。

そもそも化石がどんなものか知っているか。化石とは「過去の生物の遺体またはその生物の遺跡が地層中に埋没、保存されたもの」のことだ(コトバンク参照)。そんな化石のうち、化石が発見された地層が堆積した年代(地質時代)を特定する手掛かりとなる化石のことを示準化石というんです。示準化石といえば古生代のフズリナや三葉虫、中生代のアンモナイトが有名です。

そんな示準化石についてまだまだ毎日が勉強の科学館職員、たかはしふみかが解説します。

ライター/たかはし ふみか

中学生の頃の得意科目は理科と数学、苦手科目は社会で特に歴史だったリケジョ。小学生の頃から英語を習っていたが、あまり得意ではないらしく大学時代は論文を読むのに苦労した。

化石とは?

化石とは過去の生物の遺骸や生活の痕跡のことです。一般的に化石とは1万年以上前の地層から発見されます。化石と聞くと石のイメージですがマンモスの氷漬けなども化石の一種であり、必ずしも石となっている必要はありません。そのため巣穴や足跡の化石(生痕化石)が発見されることもあるのですね。

生き物はどうやって化石になるのでしょうか?多くの動物の死骸は化石になる前に食い散らかされたり、形が崩れてぼろぼろになってしまいます。そのため、無事にきれいな化石になるためには火山の噴火で火山灰を被ったりして一瞬で死骸が地層(年代別に泥や砂、火山灰などが積もってできたもの)に埋もれる必要があるのです。化石を見つけるのも大変ですが、化石になるのも結構大変なのですね。そして長い年月をかけて骨や歯などの硬い部分が周囲の鉱物と入れ替わり、化石へと変化を遂げます。この化石がやがて雨や人間の手によって地表に現れ発見されるのです。

示準化石が示すのは「年代」

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化石には示準化石示相化石があります。このふたつの化石の見分け方のポイントは「地層の年代を特定する」のか「地層ができた当時の環境を特定する」のか、という事です。

 

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今回のテーマ、示準化石その化石が発見された地層の年代を特定するものになります。示準化石は標準化石ともいうのです。示準化石となるのは限られた期間にしか生息していない生物で、そのため化石が発掘されるとその年代が特定できます。

例えばアンモナイトは古代シルル紀末期に地球に登場し、白亜紀後期に絶滅しました。アンモナイトが登場する前の地層や絶滅した後の時代の地層からアンモナイトの化石があることはありません。ということでアンモナイトの化石があればその地層は、古代シルル紀末期の約4億年前から白亜紀後期の6500万年前のものであるとわかります。

これだけは覚えておきたい示準化石

代表的な示準化石を確認していきましょう。

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示準化石と言えばこれ!アンモナイト

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アンモナイトは古生代シルル紀末期から中生代白亜紀末のおよそ3億5000万年の間、海洋に広く分布していた生物です。軟体動物の一種であるアンモナイトの特徴はらせん状の殻で、動きが遅く大型動物のえさとなっていたと言われています。殻の直径は大きくても十数センチ程度ですが、今までに発見された史上最大のアンモナイトは2mもあるそうです。

北海道は世界でも有数のアンモナイトの産地で、北海道には日本一のアンモナイト化石所蔵量を誇る博物館があります。そこには世界でも有名なアンモナイトの研究をされている研究者の方も訪れたことがあるそうです。また岩手県や千葉県、兵庫県でもアンモナイトは発掘されています。ちなみにアンモナイトという名前の由来は古代エジプトのアモンが持っている角に似ているから、だそうです。

古生代を生きた生物、フズリナ

フズリナは石灰岩から発見されると知られている化石です。古生代の石炭紀からペルム紀の約1億年ほど地球上に生息していました。原生生物で単細胞の一種、比較的温かい地域の海底で暮らしていたと言われています。

フズリナは有孔虫という生き物の仲間です。有孔虫とは石灰質の殻を持つ生き物で、沖縄のお土産として知られている「星の砂」も同じく有孔虫のホシズナの殻になります。きれいな容器に入った星の砂を買ったりもらったりしたことがある人もいるでしょう。フズリナの化石は日本でも発掘されています。秋吉台(山口県)のような石灰岩に多量に含まれているようです。

古生代を示す三葉虫(サンヨウチュウ)

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古生代にのみ生息していた三葉虫節足動物(昆虫類・甲殻類・クモ類・ムカデ類など、外骨格と関節を持つ)の仲間です。

三葉虫は海で暮らしていたようで、泳いだり海底を這(は)ったりしていたと考えられています。大きさはどれくらいだったのでしょうか。三葉虫の化石は大きなものは全長60㎝以上ある一方で、1cmの小さな化石も見つかっています。かたい殻をもつ三葉虫は成長に合わせて脱皮していたようです。

月のおさがり、ビカリア

長さ10㎝程度の巻貝、ビカリアは凸凹とした角が付いた貝が特徴です。生息していた時代は新生代の頃になります。世界中の熱帯や亜熱帯にいました。その頃は日本も熱帯、亜熱帯気候に属していたため、国内でも化石が発見されています。日本も今とは全然環境が違ったのですね。ところでビカリアの中身がケイ酸と置き換わったものを「月のおさがり」と言います。それはソフトクリームやコロネのような見た目です。

ゾウの遠縁、大きな牙が自慢のマンモス

ケナガマンモス (M. primigenius) 復元想像図
チャールズ・ナイト - http://www.uky.edu/OtherOrgs/KPS/poky/pages/pokych10.htm and https://archive.org/stream/menofoldstoneage00osborich#page/208/mode/2up, パブリック・ドメイン, リンクによる

太くて長い毛におおわれ、大きな牙を持ったマンモス。牙は長いものでは5m以上にもなったそうです。400万年から1万年前に生息していたと言われていますが、絶滅時期には諸説あります。日本でもいくつかマンモスの化石が見つかっていますが、そのほとんどが北海道で見つかったものです。

\次のページで「示準化石をもっと理解するためのポイント、地質時代」を解説!/

示準化石をもっと理解するためのポイント、地質時代

先程から白亜紀や新生代という言葉が登場していますが、これを「地質時代」といます。地質時代とは地球が誕生してから人間が歴史の記録を残せるようになるまでの時代のことです。人間が歴史を残すことができない時代は地層や地層から見つかる化石を調べることでしか当時の様子を知ることができません。そのため、そんな人間が残した記録がなく地層を調べるしかできない時代のことを「地質時代」と呼ぶのです。

ちなみに人間が歴史を残している時代を有史時代(歴史時代)、文字の記録がない人類に関わる時代を先史時代と呼びます。

混乱注意!示「相」化石

image by PIXTA / 65368146

先程から何回も出てきていますが、示準化石とセットで覚えたいのが示「相」化石です。アサリ、シジミは今も地球上で生きてる生き物ですね。皆さんの食卓にもあがっていることでしょう。なのでアサリやシジミの化石が出てきてもそれがいつの時代か特定することはできません。しかし、アサリやシジミはどこでも取れるわけではありません。潮干狩りで採ったことがある人はイメージできると思いますが、アサリが取れるのは浅い海です。そしてシジミは河口や湖に生息しているため、化石が見つかるとそこが当時加工や湖だったと考えられます。

またサンゴも示相化石として知られていますね。サンゴは暖かくて浅い場所で生息しているため、その化石が見つかればそこが暖かくて浅い海だったことが分かります

示準化石でわかる地質の年代

示準化石となるのは生息していたのが限られた生き物であり、示準化石によって発掘された地層が堆積した年代が特定できます。

示準化石として覚えておきたいのはアンモナイト、フズリナ、三葉虫、マンモスなどです。これが見つかったらこの時代、と結び付けられるよう確認して下さいね。

示準化石とセットで示相化石も覚えておきましょう。示相化石は化石ができた頃の周囲の環境を特定するのに役立っています。

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地学理科

3分で簡単「示準化石」ってどんな化石?どんな種類があるの?科学館職員がわかりやすく解説

示準化石をもっと理解するためのポイント、地質時代

先程から白亜紀や新生代という言葉が登場していますが、これを「地質時代」といます。地質時代とは地球が誕生してから人間が歴史の記録を残せるようになるまでの時代のことです。人間が歴史を残すことができない時代は地層や地層から見つかる化石を調べることでしか当時の様子を知ることができません。そのため、そんな人間が残した記録がなく地層を調べるしかできない時代のことを「地質時代」と呼ぶのです。

ちなみに人間が歴史を残している時代を有史時代(歴史時代)、文字の記録がない人類に関わる時代を先史時代と呼びます。

混乱注意!示「相」化石

image by PIXTA / 65368146

先程から何回も出てきていますが、示準化石とセットで覚えたいのが示「相」化石です。アサリ、シジミは今も地球上で生きてる生き物ですね。皆さんの食卓にもあがっていることでしょう。なのでアサリやシジミの化石が出てきてもそれがいつの時代か特定することはできません。しかし、アサリやシジミはどこでも取れるわけではありません。潮干狩りで採ったことがある人はイメージできると思いますが、アサリが取れるのは浅い海です。そしてシジミは河口や湖に生息しているため、化石が見つかるとそこが当時加工や湖だったと考えられます。

またサンゴも示相化石として知られていますね。サンゴは暖かくて浅い場所で生息しているため、その化石が見つかればそこが暖かくて浅い海だったことが分かります

示準化石でわかる地質の年代

示準化石となるのは生息していたのが限られた生き物であり、示準化石によって発掘された地層が堆積した年代が特定できます。

示準化石として覚えておきたいのはアンモナイト、フズリナ、三葉虫、マンモスなどです。これが見つかったらこの時代、と結び付けられるよう確認して下さいね。

示準化石とセットで示相化石も覚えておきましょう。示相化石は化石ができた頃の周囲の環境を特定するのに役立っています。

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