今回は「半透膜と浸透圧」について解説していきます。

半透膜や浸透圧というのは、物理化学を学習すると必ず目にする用語です。これらに関連する技術は、医療、工業、資源産業といった広い分野に存在しているぞ。また、料理法にも、半透膜や浸透圧の理論が活用されている。ぜひ、この機会に半透膜と浸透圧についての理解を深めてくれ。

化学に詳しいライター通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。環境工学を専攻しており、このような学問への興味は人一倍強い。環境中における物質の流れなどを解析することができるようになるために、化学全般を勉強している。

半透膜と浸透圧

この記事は、半透膜浸透圧をメインテーマとして、作成しました。これらの言葉は、物理化学の用語に分類されます。ですが、半透膜や浸透圧に関連する現象は身近なところでも見つけることができるのです。そのため、半透膜や浸透圧といった単語は、専門書でなくとも身近な書籍でも目にすることもありますよ。

今回は、私たちとって身近な半透膜や浸透圧について、物理化学の視点で解説を進めていきます。また、半透膜や浸透圧といったキーワードに関連の深い現象や技術につても複数ご紹介しますね。前半は、半透膜や浸透圧とは一体何であるのかということを考えていきましょう。聞きなれない単語が登場することがあるかもしれませんが、その場合は必ず意味を確認するようにしてくださいね。それでは、早速解説をはじめます。

半透膜とは?

半透膜とは?

image by Study-Z編集部

はじめに、半透膜についての説明をしますね。半透膜というのは、小さい分子やイオンのみを自由に通過させ、大きな分子やコロイドを通さない膜のことをさしますセロハン膜などが、半透膜に該当しますよ。

例えば、セロハン膜にデンプンなどの大きな分子を溶質とする水溶液を通過させると、どのようになるのでしょうか?溶媒である小さな水分子は半透膜を通り抜けることができますが、大きなデンプン分子は半透膜を通り抜けることはできないのです

また、半透膜には、様々な種類のものがあります。それぞれの種類において、通過させることのできる粒子のサイズは異なっており、用途によって使い分けられていますよ。

浸透圧とは?

続いて、半透膜と関係の深い浸透圧という現象についての解説をしますよ。まず、浸透圧について理解を深めるために、簡単な実験を一つ紹介しますね。半透膜で区切られた容器を用意します。次に、半透膜を隔てて、純水とデンプン水溶液を注ぐのです。このとき、純水とデンプン水溶液は同じ量で、同じ水位になるようにします。

この後、どのような変化が見られるのでしょうか?実は、純水の一部が半透膜を経て、デンプン水溶液側に移動するのです。変化の前後で比較すると、純水側の水位が下がり、デンプン水溶液側の水位が上昇することが根拠になります。

このような現象が生じる理由を考えましょう。純水側とデンプン水溶液側では、大きな濃度勾配があります。濃度勾配が存在するとは、濃度の差があるということです。この濃度差を打ち消すように、水の分子が移動したのですね。この現象は浸透と呼ばれ、浸透によって生じる半透膜への圧力が浸透圧なのです。

\次のページで「半透膜や浸透圧に関連する現象や技術」を解説!/

半透膜や浸透圧に関連する現象や技術

ここまで、半透膜や浸透圧とは一体何なのかということについて、物理化学の視点での説明をしてきました。以下では、私たちの生活の中でも見られる半透膜や浸透圧に関連する現象や技術について学んでいきましょう。このような具体的な例を知ることで、ここまでに学んだ理論についての理解も深まるかと思いますよ。

それでは、半透膜や浸透圧に関連する現象や技術についての解説をはじめていきます。それぞれの事例において、半透膜や浸透膜がどのように活躍しているのかに注目してみてくださいね

塩もみ・漬物・砂糖漬け

image by iStockphoto

食材の味を凝縮する知恵として、塩もみという料理の方法があります。実は、塩もみと浸透圧には密接な関係があるのです。塩もみとは、きゅうりなどの野菜に食塩または食塩水をふりかけ、手でもむという調理のことですよ。

野菜の表面というのは半透膜のようになっており、野菜の内部と外部で食塩の濃度勾配があることで、野菜に含まれている水分が外部に出ていくのです。このようにすることで、野菜に含まれる水分が減り、うまみが凝縮されるのですね。漬物や砂糖漬けといった調理法であっても、同様のメカニズムで、野菜の水分が減っていきます

細胞膜における分子やイオンの通過

Animal Cell.jpg
Chippolito - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, リンクによる

人間を含む動植物の細胞は、外部からエネルギー源となる物質や成長に必要な物質を取り込みます。ですが、細胞というのは1つの部屋のようになっており、外部と物質を直接的にやりとりすることはできません。

ですから、細胞の内外での物質の交換は、浸透圧によって行われます。ただし、細胞膜の構造は、理想的な半透膜と少し異なりますよ。実は、同じくらいの大きさの分子やイオンであっても、細胞膜を通過しやすいものと通過しにくいものが存在します。

また、以上で説明した物質の移動は濃度勾配を利用したものですが、イオンチャネルというエネルギーを使用して物質を移動させる仕組みもありますよ

\次のページで「人工透析」を解説!/

人工透析

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人工透析は、半透膜と浸透圧を利用した医療技術です。人間は、代謝を行う過程で、毒になりうる物質を生成しますよ。そして、その毒性物質は腎臓を通ることで、ろ過されます。ろ過によって取り除かれた毒性物質は、尿などを介して体外に放出されるのです。

しかし、病気などによって腎臓が正常に機能しなくなった場合は、毒物の除去を人工的に行う必要があります。まさに、その技術が人工透析です。人工透析の装置では、血液の浸透圧をコントロールし、半透膜によって毒物を体内から取り出します

海水の淡水化

image by iStockphoto

半透膜および浸透圧に関連する技術として、海水の淡水化処理が挙げられます。半透膜を隔てて、海水と淡水を接させると、海水の塩分濃度を下げるように淡水の水分子が海水側に移動しますよね。ですが、これでは海水の淡水化はできません。

そこで、海水側に浸透圧を超えるような圧力を人為的に加えます。これによって、淡水側に、海水に含まれる水分子が移動するのです。このとき、塩分は海水側に残ったままになるので、淡水化は成功したと言えます。これが海水の淡水化処理の方法です。また、このように浸透圧を超えるような圧力をかけて、半透膜に分子を通過させる方法を逆浸透といいます。

半透膜と浸透圧について学ぼう!

この記事では、半透膜と浸透圧とは一体何なのかということを解説しました。そして、半透膜および浸透圧に関連する技術や現象についても述べましたよね。このように、具体例を併せて勉強することで、半透膜と浸透圧の理論も頭に入りやすくなったと思います。

また、半透膜と浸透圧についての知識は、雑学として身に着けておいて損はないはずです。ぜひとも、この機会に半透膜と浸透圧について学んでみてください。

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化学物理物質の状態・構成・変化理科生活と物質生物細胞・生殖・遺伝

3分で簡単半透膜と浸透圧!現象のメカニズムを理系学生ライターが徹底わかりやすく解説!

今回は「半透膜と浸透圧」について解説していきます。

半透膜や浸透圧というのは、物理化学を学習すると必ず目にする用語です。これらに関連する技術は、医療、工業、資源産業といった広い分野に存在しているぞ。また、料理法にも、半透膜や浸透圧の理論が活用されている。ぜひ、この機会に半透膜と浸透圧についての理解を深めてくれ。

化学に詳しいライター通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。環境工学を専攻しており、このような学問への興味は人一倍強い。環境中における物質の流れなどを解析することができるようになるために、化学全般を勉強している。

半透膜と浸透圧

この記事は、半透膜浸透圧をメインテーマとして、作成しました。これらの言葉は、物理化学の用語に分類されます。ですが、半透膜や浸透圧に関連する現象は身近なところでも見つけることができるのです。そのため、半透膜や浸透圧といった単語は、専門書でなくとも身近な書籍でも目にすることもありますよ。

今回は、私たちとって身近な半透膜や浸透圧について、物理化学の視点で解説を進めていきます。また、半透膜や浸透圧といったキーワードに関連の深い現象や技術につても複数ご紹介しますね。前半は、半透膜や浸透圧とは一体何であるのかということを考えていきましょう。聞きなれない単語が登場することがあるかもしれませんが、その場合は必ず意味を確認するようにしてくださいね。それでは、早速解説をはじめます。

半透膜とは?

半透膜とは?

image by Study-Z編集部

はじめに、半透膜についての説明をしますね。半透膜というのは、小さい分子やイオンのみを自由に通過させ、大きな分子やコロイドを通さない膜のことをさしますセロハン膜などが、半透膜に該当しますよ。

例えば、セロハン膜にデンプンなどの大きな分子を溶質とする水溶液を通過させると、どのようになるのでしょうか?溶媒である小さな水分子は半透膜を通り抜けることができますが、大きなデンプン分子は半透膜を通り抜けることはできないのです

また、半透膜には、様々な種類のものがあります。それぞれの種類において、通過させることのできる粒子のサイズは異なっており、用途によって使い分けられていますよ。

浸透圧とは?

続いて、半透膜と関係の深い浸透圧という現象についての解説をしますよ。まず、浸透圧について理解を深めるために、簡単な実験を一つ紹介しますね。半透膜で区切られた容器を用意します。次に、半透膜を隔てて、純水とデンプン水溶液を注ぐのです。このとき、純水とデンプン水溶液は同じ量で、同じ水位になるようにします。

この後、どのような変化が見られるのでしょうか?実は、純水の一部が半透膜を経て、デンプン水溶液側に移動するのです。変化の前後で比較すると、純水側の水位が下がり、デンプン水溶液側の水位が上昇することが根拠になります。

このような現象が生じる理由を考えましょう。純水側とデンプン水溶液側では、大きな濃度勾配があります。濃度勾配が存在するとは、濃度の差があるということです。この濃度差を打ち消すように、水の分子が移動したのですね。この現象は浸透と呼ばれ、浸透によって生じる半透膜への圧力が浸透圧なのです。

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