この記事では「かたじけない」について解説する。

端的に言えばかたじけないの意味は「ありがたい」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「かたじけない」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「かたじけない」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「かたじけない」の意味や語源・使い方まとめ

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「かたじけない」は、現代において会話の中で使われることはほとんどありませんが、誰もが耳にしたことがある言葉でしょう。時代劇や歴史小説で良く使われていますね。それでは早速「かたじけない」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「かたじけない」の意味は?

まず初めに、「かたじけない」の正確な意味を、辞書からの引用で確かめてみましょう。

1.もったいない。恐れ多い。

2.身に受けた恩恵などに対して、感謝の念でいっぱいであるさま。身にすぎて、ありがたい。

3.恥ずかしい。面目ない。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「かたじけない」

「かたじけない」は簡単に言えば、ありがたい、と言う意味ですが、辞書からの引用で確認したように大きく3つの意味合いがあります。ひとつずつ説明していきましょう。まず、1のもったいない、畏れ多い、は謙遜しながらお礼を述べたいときに使われます。そして2は、とてもありがたく思うという事で、心からの深い謝意を表す使い方です。最後の3は、恥ずかしい、面目ない、と言う意味で、何か失敗をした時に謝る意味合いとして良く使われます。

「かたじけない」の語源は?

次に「かたじけない」の語源を確認しておきましょう。「かたじけない」は主に平安時代から江戸時代に使われていました。時代劇などで武士などが「かたじけない」と言う場面が良くありますね。そして、「かたじけない」は漢字で書くと「忝い」もしくは「辱い」と書きます。「忝」は、もったいない、畏れ多い、と言う意味を、「辱」は、はずかしいと言う意味を持った漢字です。どちらも、もったいないほどありがたく恐縮する気持ちを表すために「かたじけない」に用いられた漢字ですが、ほとんどの場合漢字で表記することはなく、ひらがなで書かれるのが普通でしょう。

また、「かたじけない」の元となった「かたじけなし」は、「有難し(ありがたし)」の「難し(かたし)」が変化して「難し気なし(かたしけなし)」となったものだと考えられています。

「かたじけない」の由来には、もう一つ説があり、容貌が醜い、と言う意味が転じて、恐縮し畏れ多いと言う意味に転じたと言う考えです。これは、醜い→恥じる→畏れ多い、と変化したと言う説で、古文の一節に「かたじけなし」を使って容貌が悪いことを表現している一文があることから、このような推察が生まれました。

現在、「かたじけない」の語源はまだ明確になっていません。今回は、主な二つの説について説明をしてみましたが、どちらも興味深いですね。

 

\次のページで「「かたじけない」の使い方・例文」を解説!/

「かたじけない」の使い方・例文

それでは、「かたじけない」を実際に用いた例文で使い方を確認しましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.まさか先生からお褒めいただけるとは、思いもしませんでした。かたじけないお言葉です。
2.親切に転職先のみならず住居のご用意までいただいて、かたじけない。
3.悪気はありませんでしたが誤解のある言い方をしてしまい、相手の方にもあなたにもかたじけない思いでいっぱいです。

例文1の「かたじけない」は、恐縮しながら感謝の気持ちを伝える意味です。このように、「かたじけない」は目上の方に使う言葉としてもふさわしいでしょう。

例文2の「かたじけない」は、深い感謝を述べるために用いられています。単に「ありがとうございます」と言うよりも、重みのある気持ちを伝えられる言葉ですね。

最後の例文3は、「かたじけない」を恥ずかしい、申し訳ない、と言う謝罪の意味で使っています。

「かたじけない」の類義語は?違いは?

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「かたじけない」の類義語は「有難い(ありがたい)」「恩に着る」が挙げられます。

「有難い」

有難い(ありがたい)」は、感謝する気持ちや、貴重で尊いことを表す形容詞です。語源は「有難し(ありがたし)」と言う古語にあり、もともとの意味は、めったにない、と言う意味でした。それが転じて、めったにない好意や恩恵にあずかって感謝することを表現する言葉になったのです。「かたじけない」もまた、深く感謝を伝えるのに使われることばですから、「有難い」と同義語と言えるでしょう。

では、「有難い」の使い方を例文で見てみましょう。

\次のページで「「恩に着る」」を解説!/

地元のおじいさん達に将棋の達人と呼ばれる人気者のおじさんから、有難いアドバイスを頂戴した。

「恩に着る」

恩に着る(おんにきる)」は、恩を受けてありがたいと思うことです。「恩」とは、目上の人が相手の事を思ってする、情け深い言動の事ですね。つまり「恩に着る」を詳しく説明すると、立場が下の人が目上の人から受けた恩をありがたく思う、という意味なのです。「かたじけない」もまた、恐縮しながらも深い感謝を伝える言葉ですから、類義語にふさわしいでしょう。

それでは「恩に着る」の使い方も実際の例文で確かめてみましょう。

ご面倒でしたでしょうに、わざわざ文書にしてお返事をくださって助かりました。恩に着ます。

「かたじけない」の対義語は?

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「かたじけない」の対義語は、「当然」を用いて「当然だ」や「当然である」と言う表現がふさわしいでしょう。

「当然」

当然(とうぜん)」とは、それが当たり前であることです。「かたじけない」は、相手の行為に対して有難いと言う感謝の意味を持つことは説明しました。そして、相手にしてもらった何らかの行動を「当然」とする事は、有難いの反対の意味になりますね。したがって「かたじけない」の対義語を挙げるのならば、「当然だ」「当然である」とするのが良いでしょう。

\次のページで「「かたじけない」を使いこなそう」を解説!/

「かたじけない」を使いこなそう

この記事では「かたじけない」の意味・使い方・類語などを説明しました。自分では使うことはあまりないかも知れませんが、映画や歴史小説ではよく耳にする言い回しですね。武士の言葉、と言うイメージが強いでしょうか。由来を辿れば、平安時代より使われてきた歴史の古い言葉です。色々なニュアンスで使える言葉であると説明しましたが、意味合いを知っていれば、さらに深く登場人物の心情が理解できますね。今本屋で並んでいる時代小説はシリーズ物が多く、娯楽性のあるものもたくさんあります。この機会に手に取ってみてはいかがでしょう。言葉の勉強にもなりそうですね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「かたじけない」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「かたじけない」について解説する。

端的に言えばかたじけないの意味は「ありがたい」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「かたじけない」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「かたじけない」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「かたじけない」の意味や語源・使い方まとめ

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「かたじけない」は、現代において会話の中で使われることはほとんどありませんが、誰もが耳にしたことがある言葉でしょう。時代劇や歴史小説で良く使われていますね。それでは早速「かたじけない」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「かたじけない」の意味は?

まず初めに、「かたじけない」の正確な意味を、辞書からの引用で確かめてみましょう。

1.もったいない。恐れ多い。

2.身に受けた恩恵などに対して、感謝の念でいっぱいであるさま。身にすぎて、ありがたい。

3.恥ずかしい。面目ない。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「かたじけない」

「かたじけない」は簡単に言えば、ありがたい、と言う意味ですが、辞書からの引用で確認したように大きく3つの意味合いがあります。ひとつずつ説明していきましょう。まず、1のもったいない、畏れ多い、は謙遜しながらお礼を述べたいときに使われます。そして2は、とてもありがたく思うという事で、心からの深い謝意を表す使い方です。最後の3は、恥ずかしい、面目ない、と言う意味で、何か失敗をした時に謝る意味合いとして良く使われます。

「かたじけない」の語源は?

次に「かたじけない」の語源を確認しておきましょう。「かたじけない」は主に平安時代から江戸時代に使われていました。時代劇などで武士などが「かたじけない」と言う場面が良くありますね。そして、「かたじけない」は漢字で書くと「忝い」もしくは「辱い」と書きます。「忝」は、もったいない、畏れ多い、と言う意味を、「辱」は、はずかしいと言う意味を持った漢字です。どちらも、もったいないほどありがたく恐縮する気持ちを表すために「かたじけない」に用いられた漢字ですが、ほとんどの場合漢字で表記することはなく、ひらがなで書かれるのが普通でしょう。

また、「かたじけない」の元となった「かたじけなし」は、「有難し(ありがたし)」の「難し(かたし)」が変化して「難し気なし(かたしけなし)」となったものだと考えられています。

「かたじけない」の由来には、もう一つ説があり、容貌が醜い、と言う意味が転じて、恐縮し畏れ多いと言う意味に転じたと言う考えです。これは、醜い→恥じる→畏れ多い、と変化したと言う説で、古文の一節に「かたじけなし」を使って容貌が悪いことを表現している一文があることから、このような推察が生まれました。

現在、「かたじけない」の語源はまだ明確になっていません。今回は、主な二つの説について説明をしてみましたが、どちらも興味深いですね。

 

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