
3分で簡単「ライデンフロスト効果」身の回りの現象を元塾講師がわかりやすく解説!
普段の生活では見慣れないし名前を聞いただけじゃどんな現象か想像もつかないが、自分自身テレビなどで1度は見たことあると思う現象なんです。
この記事では一体どんな効果なのか、どんな時に起こるのか身の回りに起きている現象を使って理系出身の化学が得意なライターのYamakoshiと一緒に解説していきます。
ライター/Yamakoshi
理系出身の元塾講師。生徒の「どうして」「なぜ」に真摯に向き合い、「わかりやすく」「面白く」をモットーに生徒の指導に取り組んだ。
1.ライデンフロスト効果とは

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ライデンフロスト効果とは熱した物体の上に少量の水滴を垂らすと、まるで浮遊しているように見える科学現象のことです。
本来、液体は熱されると蒸発し気体となるのが物質の三態というものですが、液体の量が少量で熱した物体が超高温の場合、液体の下面だけ蒸発をし蒸気が立ち上ろうとする浮力と、重力により力がつり合い浮いているように見えます。この結果、物体との接触面がなくなり水滴は横滑りを起こしたり熱された物体上を跳ね回るなどの動きを見せるこの現象がライデンフロスト効果です。
ライデンフロスト効果は18世紀にオランダで初観測され、その後ドイツの医師ライデンフロストが発表した論文により、ライデンフロスト効果という名前がつけられています。ライデンフロスト効果に関連して物質の三態や力のつり合いというキーワードも登場するので見ていきましょう。
1-1物質の三態とは

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ライデンフロスト効果を理解する上で大切なのが物質の三態です。
物質の三態とは固体・液体・気体の3つを指し、水を例に出すと氷となっている状態を固体、水の状態を液体、水蒸気の状態を気体としこれらは熱したり冷やしたりすることによって各状態に変化させることができます。それぞれの変化にも名前が付いているので上の図で参考にしてください。
ライデンフロスト効果の理解に必要な状態変化は液体から気体に変化する蒸発の部分です。蒸発するために必要な温度を沸点と呼び、何度で沸騰を始めるかは物質によって様々で、ライデンフロスト効果では垂らす液体の沸点よりも物体の温度が極めて高い時、この現象が起きます。
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1-2力のつり合い

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力のつり合いとは複数の力が物体に作用している時、物体が動かない様子を言います。この状態以外でも力がつり合っている場合もあり、この力のつり合いを利用したのがライデンフロスト効果です。今回は熱された鉄板の上に少量の水滴を垂らした場合で考えてみましょう。鉄板と水滴の下面では蒸発が起き水蒸気が発生し、これにより水滴は下から水蒸気によって持ち上げられる力、つまり浮力が生じます。
もう1つは水滴の垂直方向下向きにはたらいている重力という力です。お互いの向きが逆で力の大きさが等しい場合2つの力はつり合っているといえ、物体は静止しているように見えます。とはいえ、摩擦の低減から横滑りや跳ね回る動きをするなど完璧なつり合いではなくバランスを崩しながら動いているのがライデンフロスト効果の特徴です。
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2.ライデンフロスト温度とは

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ライデンフロスト効果についてどんな時に見られるか、なぜこのような現象が起きるかについては紹介していきました。
しかしライデンフロスト効果が起きる条件として垂らす液体の沸点よりも物体の温度が極めて高い時と紹介しましたが具体的にどのくらいでライデンフロスト効果が発生するのか見ていきましょう。出典によって様々な定義がありますが、大きく分けるとライデンフロスト効果が最高となる温度と始まる温度の2つがあります。
2-1最高となるライデンフロスト温度
ライデンフロスト効果には物体の温度変化に対する液体の蒸発時間に最高点が存在します。水を例にして考えてみましょう。
物体の温度が摂氏90度から140度付近までは温度が上がるにつれ蒸発の速度も早くなり、それ以降の300度前後は温度が高くなるにつれ遅くなっていく、300度を超えると再び蒸発の速度も上がっていくことから300度付近が最高となるライデンフロスト温度と呼ばれます。
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