この記事では「クラスター」について解説する。

端的に言えばクラスターの意味は「集団」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国立大で国語学を学んだライターのタケルを呼んです。言葉の解説を得意としていて、大学時代はクイズサークルに所属していたので雑学にも詳しい。一緒に「クラスター」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タケル

某国立大で日本語学を専攻。以前少しだけ介護福祉の勉強をしたため、クラスター対策についても知識を持っている。マスクや手袋などの着脱はすぐにでも思い出せるはず。

「クラスター」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「クラスター」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「クラスター」の意味は?

「クラスター」には、次のような意味があります。

《花やブドウなどの房の意。「クラスタ」とも》

1.同種のものや人の集まり。群れ。集団。

2.都市計画などで、個々の建物・道路・空き地などを相互に関連させて一つの集合体としてとらえ、配置すること。

3.原子や分子の集まりの中で、特定の一部の原子や分子が結びついて一つのかたまりとなり、物理的に安定し、かつその集まりの中で一定の役割をになっている状態。

4.コンピューターの磁気ディスクなど、円盤状の補助記憶装置を管理する単位。同心円状に分割した区画をトラック、それを放射状(扇形)に等分割した区画をセクターといい、複数のセクターをまとめたものをクラスターとする。

5.あるテーマを中心にする大学・研究機関の集合体や、ある技術を中心とする企業の集合体のこと。

6.ある疾患が、特定の集団内において、予測よりも多くみられること。また、その集団。

 

出典:デジタル大辞泉(小学館)「クラスター」

辞書には多岐にわたる意味が掲載されていますが、注目すべきは2020年になって特に使われ出した6の意味でしょう。同時刻に特定の場所にいた複数の人間が同じ伝染病にかかった場合に、その集団を「クラスター」と呼びます。特に人から人へ感染する事例では、まだ感染が確認されていない場合でもクラスター内にいたという事実があれば、感染を懸念しなければいけません。感染症対策で「クラスター」を注視しなければならないのにはそういった理由があります。

辞書の冒頭部分に「クラスタ」という記述がありますが、この「クラスタ」が別の意味で、特にSNS上で使われていますので補足しておきましょう。ズバリ、「同じ人物やモノの愛好者の集団」のことです。一見「オタク」のことだと感じますが、「クラスタ」は「オタク」のように特定のものを愛好する人々の「集まったもの」となります。

「クラスター」の語源は?

次に「クラスター」の語源を確認しておきましょう。辞書では最初に書かれていますが、「クラスター」とはもともと英語で藤などの花やブドウのような果物が房状になっているものを指します。その形を人などが集まった様子になぞらえて、「群れ、集団」という意味でも使われるようになりました。今ではさらに意味が広がり、物理学や都市工学、コンピューターの世界などでも「クラスター」という言葉が使われています。

\次のページで「「クラスター」の使い方・例文」を解説!/

「クラスター」の使い方・例文

「クラスター」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。今回は、感染症予防において使われる「クラスター」に限定しました。

1.全国で感染者がいっぱい出てクラスターもあちこちであるらしいのに、今週末に旅行ってのは俺は反対だね。
2.先日県内の介護老人保健施設で利用者と施設職員合わせて40人以上の陽性が判明し、県の担当者からクラスターが発生したとされる旨の公式発表がなされた。
3.先週参加したイベントでクラスターが発生してしまい、濃厚接触者に認定された私はPCR検査を受けなければならず、結果が判明するまで出勤せず自宅待機するように言われている。

おそらくこういった会話が、2020年になってから頻繁にされるようになったのではないでしょうか。「クラスター」といえば家電以外ではほぼ耳にしなかったはずです。それが「クラスター」という言葉を聞いただけで、なんとなくでも感染者が増えているというイメージを持てるようになりました。社会情勢が変化すると、使われる言葉も変化するということです。

「クラスター」の類義語は?違いは?

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「クラスター」の類義語とその違いとは何でしょうか。

「集団」「グループ」

「クラスター」の類義語ととして考えられるのは、「」「群れ」「集団」「集合体」「グループ」などがあります。しかし、2020年は「クラスター」が特定の集団を表す言葉として使われ出しました。よって、これらの言葉が「クラスター」の代わりになるとは思えません。あえて挙げるとすれば「感染者集団」が妥当でしょう。

\次のページで「「クラスター」の対義語は?」を解説!/

「クラスター」の対義語は?

また、「クラスター」の対義語は何になるのでしょうか。

「個人」「個々」

「クラスター」は集まりを表す言葉ですので、対義語として考えられるのは「個人」「個々」「各自」「各々」「それぞれ」などになります。類義語の項で紹介した「感染者集団」の対義語であれば、単に「感染者」や「陽性反応者」などにすべきでしょう。

「クラスター」の英訳は?

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念のため、「クラスター」の英訳についても確認していきましょう。

「cluster」

「クラスター」の語源が「(植物の)房」の英訳であることは前述しました。当然「クラスター」は英語でも「cluster」です。綴りだけ気を付けなければいけません。しかし、ここでも感染症集団としての意味の「クラスター」を英訳すべきですよね。その場合は「disease cluster」とした方が良いでしょう。「disease」は病気のことです。

なお、「広い範囲で流行した疾病」という意味の「pandemic」(パンデミック)という言葉もあります。もともとは形容詞ですが、名詞で使ってもかまいません。

「クラスター」を使いこなそう

この記事では「クラスター」の意味・使い方・類語などを説明しました。

言葉は生き物と言いますが、2020年はまさにそれを実感する年でした。新型コロナウイルスの世界的流行により話題はそれ一色となり、今まで聞かなかったことを毎日聞くはめになりました。テレビを付けたらどのチャンネルでも語られていたことは、「接待を伴う飲食店で男女の感染者」「同市同区内の福祉施設でも多数の入所者に陽性反応」「病院内でも医師や常勤の従業員などに陽性反応者」「外来患者の受付を一時停止するなど医療崩壊の兆し」「県の調べによると今年に入ってからの累計感染者数は100人を超えた」といった具合です。

また、聞き慣れないカタカナ語も多く聞くこととなりました。「アラート」「オーバーシュート」「ソーシャルディスタンス」「ロックダウン」など、ほとんど使っていなかったカタカナ語も多かったでしょう。「クラスター」もそんな言葉でした。早くそんな意味で「クラスター」という言葉を目にしなくなるようにと願うばかりです。

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国語言葉の意味

「クラスター」の意味や使い方は?例文や類語を雑学大好きwebライターがわかりやすく解説!

この記事では「クラスター」について解説する。

端的に言えばクラスターの意味は「集団」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国立大で国語学を学んだライターのタケルを呼んです。言葉の解説を得意としていて、大学時代はクイズサークルに所属していたので雑学にも詳しい。一緒に「クラスター」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タケル

某国立大で日本語学を専攻。以前少しだけ介護福祉の勉強をしたため、クラスター対策についても知識を持っている。マスクや手袋などの着脱はすぐにでも思い出せるはず。

「クラスター」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「クラスター」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「クラスター」の意味は?

「クラスター」には、次のような意味があります。

《花やブドウなどの房の意。「クラスタ」とも》

1.同種のものや人の集まり。群れ。集団。

2.都市計画などで、個々の建物・道路・空き地などを相互に関連させて一つの集合体としてとらえ、配置すること。

3.原子や分子の集まりの中で、特定の一部の原子や分子が結びついて一つのかたまりとなり、物理的に安定し、かつその集まりの中で一定の役割をになっている状態。

4.コンピューターの磁気ディスクなど、円盤状の補助記憶装置を管理する単位。同心円状に分割した区画をトラック、それを放射状(扇形)に等分割した区画をセクターといい、複数のセクターをまとめたものをクラスターとする。

5.あるテーマを中心にする大学・研究機関の集合体や、ある技術を中心とする企業の集合体のこと。

6.ある疾患が、特定の集団内において、予測よりも多くみられること。また、その集団。

 

出典:デジタル大辞泉(小学館)「クラスター」

辞書には多岐にわたる意味が掲載されていますが、注目すべきは2020年になって特に使われ出した6の意味でしょう。同時刻に特定の場所にいた複数の人間が同じ伝染病にかかった場合に、その集団を「クラスター」と呼びます。特に人から人へ感染する事例では、まだ感染が確認されていない場合でもクラスター内にいたという事実があれば、感染を懸念しなければいけません。感染症対策で「クラスター」を注視しなければならないのにはそういった理由があります。

辞書の冒頭部分に「クラスタ」という記述がありますが、この「クラスタ」が別の意味で、特にSNS上で使われていますので補足しておきましょう。ズバリ、「同じ人物やモノの愛好者の集団」のことです。一見「オタク」のことだと感じますが、「クラスタ」は「オタク」のように特定のものを愛好する人々の「集まったもの」となります。

「クラスター」の語源は?

次に「クラスター」の語源を確認しておきましょう。辞書では最初に書かれていますが、「クラスター」とはもともと英語で藤などの花やブドウのような果物が房状になっているものを指します。その形を人などが集まった様子になぞらえて、「群れ、集団」という意味でも使われるようになりました。今ではさらに意味が広がり、物理学や都市工学、コンピューターの世界などでも「クラスター」という言葉が使われています。

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