2.化学合成独立栄養生物
独立栄養生物のなかには光合成ではなく、硫化水素やアンモニアといった無機化合物を材料とした化学反応から得られるエネルギーを使うものがいます。そのような生物を化学合成独立栄養生物というのです。
このグループには、硝化細菌(しょうかさいきん)や硫黄細菌(いおうさいきん)などの古細菌類や細菌類がふくまれます。硝化細菌は、アンモニアを亜硝酸塩に酸化、もしくは亜硝酸塩を硝酸塩に酸化し、その時に発生するエネルギーを利用している生物。硫黄細菌は硫黄や硫黄の含まれた化合物からエネルギーを取り出します。
独立栄養生物か従属栄養生物か…迷う生き物たち
地球上にはたくさんの種類の生き物がいます。中には、従属栄養生物なのか独立栄養生物なのか、迷ってしまうようなものも。そんな生物たちの例を少しだけご紹介しましょう。
1.食虫植物
植物は独立栄養生物のなかでも代表的な存在ですが、一部には動物をとらえて栄養を補っているものがいます。世にいう食虫植物の仲間です。虫をとらえる袋(補虫袋)をもつウツボカズラや、べたべたした粘液を出して虫をとらえるモウセンゴケなど、独特の生態をもった植物としてよく知られていますね。
食虫植物は虫などの”エサ”をとらえる従属栄養生物なのでしょうか?
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食虫植物が虫をとらえるのは、彼らの生育する環境に要因があります。食虫植物の仲間は、窒素やリンが乏しい、やせた土地に生育していることが多いのです。そのため、食虫植物は不足する栄養分を虫をとらえて補うように進化したと考えられています。土中に十分な肥料があれば、虫をとらえなくても生育が可能だそうです。
たとえ食虫植物であっても、基本的には葉緑体をもち、光合成をすることで二酸化炭素からエネルギー源を生み出しています。そのため、完全な従属栄養生物とはいえず、どちらかといえば独立栄養生物に分類されることが多いのです。一部では、「混合栄養生物」という言葉で表されることもあります。
2.葉緑体のない植物
植物の中には、ごく一部ですが葉緑体をもたない種も存在します。たとえば、真っ白なからだのギンリョウソウや、ラン科のショウキランなどが有名です。
ギンリョウソウやショウキランは、光合成ができない代わりに、根に菌類を共生させ、菌類から有機物を奪って生長します。このような植物を腐生植物とよびますが、腐生植物は自ら有機物をつくることができないので、従属栄養生物に分類されるのです。
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