この記事では「頬を染める」について解説する。

端的に言えば頬を染めるの意味は「恥ずかしくて顔を赤くすること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本語学を中心とし、文学・語学を専門的に学んでいるライターのイオリを呼んです。一緒に「頬を染める」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/イオリ

日本語学を専門に学び、趣味は読書と小説執筆という日本語漬けの毎日を送るライター。日本語オタクとして言葉の意味や内容、その面白さを丁寧に解説していく。

「頬を染める」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「頬を染める」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「頬を染める」の意味は?

「頬を染める」には、次のような意味があります。

恥ずかしくて顔を赤くする。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「ほおを染める」

人は恥ずかしくなったときや照れてしまったとき、顔や頬が赤くなってしまうことがありますよね。頬が赤く色づいたその状態を「頬を染める」と表現したのがこの慣用句です。どちらかと言うと日常生活ではあまり使わず、小説や漫画など創作の中で目にする単語かもしれません。とはいえ照れて頬が赤くなることを「染まっている」というふうに比喩的に表現するのは、とても綺麗で情緒深いですね。慣用句を聞いてパッと意味が思い浮かぶように、また使いこなして自分自身の文章にも深みを持たせられるように、ここで「頬を染める」をマスターしていきましょう。

「頬を染める」の語源は?

次に「頬を染める」の語源を確認しておきましょう。

語源と言っても簡単なもので、既に推測できている人もいるかもしれませんね。「頬を染める」というのは詳しく言うと「頬を赤く染める」で、例えば血の気が引いて青くなっている場合は「頬を染める」とは言いません。

そして何故「頬を赤く染める」の状態になるのかというと、血が上って頬が赤くなるからです。恥ずかしいとき、体が火照って顔の方にまで血が上っていく…という状態になった経験は、誰しも一度はあるのではないでしょうか。その状態を自発的であるかのように「頬を赤く染める」と表現するようになり、「頬を染める」のみでも照れて恥ずかしがっているために顔が赤くなっている、ということを表すようになったというわけです。

\次のページで「「頬を染める」の使い方・例文」を解説!/

「頬を染める」の使い方・例文

次に「頬を染める」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.先週行われた述語の語彙力を確認するテストだったが、帰ってきた結果のひどさについ感情を露わにしてしまい、彼女は頬を染めた。
2.誤字脱字の多さを会員から指摘されて、思わず頬を染める。
3.収録中にサプライズを受けて、彼は照れと恥ずかしさのあまり頬を染めた。

1と2の例文は、自分の行為や誤りを恥ずかしく思った結果「頬を染める」という状態に繋がった例文です。顔を赤くして焦るというような様子が想像できるでしょうか。そして3の例文は、焦りやきまり悪さというよりも照れの側面が強く出て「頬を染める」という状態になった例文と言えそうですね。

このように、何か間違いなどを起こしてしまいきまりが悪くて恥ずかしいといった場面にも使われますし、どきどきして照れるといった場面にも使われる便利な慣用句です。「頬を染める」には単に「恥ずかしがる」と言うよりも、繊細なニュアンスが含まれているとも言えるでしょう。

「頬を染める」の類義語は?違いは?

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では次に「頬を染める」の類義語を確認していきましょう。意味は「恥ずかしくて顔を赤くする」でしたね。

「紅葉を散らす」

これは主に「顔に紅葉を散らす」「頬に紅葉を散らす」といった形で用いられ、恥ずかしさや怒りから顔を赤くすることを意味することわざです。「頬を染める」もそうですが、こちらも比喩を用いて顔が赤くなるという状況を連想させるフレーズですね。情景が目に浮かぶような、素敵な表現方法だと言えるでしょう。どちらも文章に彩りを加えられそうな用語として、意味も一致しています。

一方で相違点として挙げられるのは、その意味する範囲でしょう。「紅葉を散らす」は恥ずかしさだけでなく怒りによって顔が赤くなっている状態のことも指す言葉ですが、「頬を染める」と言って怒りの感情を表すことはほとんどありません。使い方として誤りではないですが、「頬を染める」と言うと奥ゆかしい、少し大人しような印象があるため、やはり恥じらいや照れの感情を表すことがほとんどです。よく似た言葉ですが、この点は注意しておきたいポイントですね。

\次のページで「「頬を染める」の対義語は?」を解説!/

「頬を染める」の対義語は?

類義語を確認したところで、次は「頬を染める」の対義語を見ていきましょう。

「顔色を失う」

これは「がんしょくをうしなう」と読み、「驚きや恐れなどで青ざめる、血の気が引く」といった状態を表した慣用句です。照れたり恥ずかしがったり、感情が大きくなって頬まで赤くなってしまうという「頬を染める」と比較すると、まさに対義語に分類される慣用句ですね。何かが起こったその結果の反応として「顔色を失う」という行為に繋がるわけですが、どちらの慣用句も自発的にそうするというよりは「頬が赤くなってしまった」「顔色が失われてしまった」というようなニュアンスになる点もポイントです。

気を付けておきたいのは、やはりその読み方と言葉の表す意味の範囲でしょう。「頬を染める」の対義語だからと言って適当なワードを意味として認識するのではなく、顔色を失うということは血の気が引いている、血の気が引いているということは驚きや恐れなど…というふうに、しっかり連想を辿っていって覚えた意味を間違えないようにしておくといいですね。

「頬を染める」の英訳は?

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では最後に「頬を染める」の英訳を紹介しておきます。

「blush」

これは「顔を赤らめる、恥じる」などといった意味を持つ英単語です。これひとつで照れて顔が赤くなっている様子を表すことができ、非常に便利な言葉だと言えるでしょう。日本語の「頬を染める」のように比喩的な使い方をする用例はありませんが、物事の意味を正しく伝えるにはこちらの英語表現がぴったりと言えそうです。

「頬を染める」を使いこなそう

この記事では「頬を染める」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「恥ずかしくて顔を赤くする」という意味を持ち、その様子を比喩的に表した慣用句でしたね。染めると言っても赤色限定で、恥や照れなどいじらしく奥ゆかしい感じの様子を主に表している、という点もポイントです。言葉の意味を正しく理解し、「頬を染める」を使いこなして文に彩りを添えていきたいですね。

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【慣用句】「頬を染める」の意味や使い方は?例文や類語を日本語オタクライターがわかりやすく解説!

この記事では「頬を染める」について解説する。

端的に言えば頬を染めるの意味は「恥ずかしくて顔を赤くすること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本語学を中心とし、文学・語学を専門的に学んでいるライターのイオリを呼んです。一緒に「頬を染める」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/イオリ

日本語学を専門に学び、趣味は読書と小説執筆という日本語漬けの毎日を送るライター。日本語オタクとして言葉の意味や内容、その面白さを丁寧に解説していく。

「頬を染める」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「頬を染める」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「頬を染める」の意味は?

「頬を染める」には、次のような意味があります。

恥ずかしくて顔を赤くする。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「ほおを染める」

人は恥ずかしくなったときや照れてしまったとき、顔や頬が赤くなってしまうことがありますよね。頬が赤く色づいたその状態を「頬を染める」と表現したのがこの慣用句です。どちらかと言うと日常生活ではあまり使わず、小説や漫画など創作の中で目にする単語かもしれません。とはいえ照れて頬が赤くなることを「染まっている」というふうに比喩的に表現するのは、とても綺麗で情緒深いですね。慣用句を聞いてパッと意味が思い浮かぶように、また使いこなして自分自身の文章にも深みを持たせられるように、ここで「頬を染める」をマスターしていきましょう。

「頬を染める」の語源は?

次に「頬を染める」の語源を確認しておきましょう。

語源と言っても簡単なもので、既に推測できている人もいるかもしれませんね。「頬を染める」というのは詳しく言うと「頬を赤く染める」で、例えば血の気が引いて青くなっている場合は「頬を染める」とは言いません。

そして何故「頬を赤く染める」の状態になるのかというと、血が上って頬が赤くなるからです。恥ずかしいとき、体が火照って顔の方にまで血が上っていく…という状態になった経験は、誰しも一度はあるのではないでしょうか。その状態を自発的であるかのように「頬を赤く染める」と表現するようになり、「頬を染める」のみでも照れて恥ずかしがっているために顔が赤くなっている、ということを表すようになったというわけです。

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