この記事では「矜持」について解説する。

端的に言えば「矜持」の意味は「誇りを持つこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役学生ライターのタビビトを呼んです。一緒に「矜持」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タビビト

文学部現役学生ライター。学生生活の中で数多くの芸術関係の執筆を行い、小学生の頃から多種多様な書籍を読破してきた生粋の文科系。読書量に比例する文章力で慣用句を分かりやすく解説していく。

「矜持」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「矜持」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「矜持」の意味は?

「矜持」には、次のような意味があります。

《慣用読みで「きんじ」とも》自分の能力を優れたものとして誇る気持ち。自負。プライド。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「矜持」

「矜持」は、「きょうじ」と読みます。多くの方が「きんじ」という読み方の方が聞き慣れているかと思いますが、「きんじ」は一般的に用いられている慣用読みで、正しい読み方は「きょうじ」の方なのでこの機会に頭に入れてみてください。

そんな「矜持」ですが、自分の能力に対して揺るぎのない自信を持つことや誇り高く振る舞うことを指す言葉です。自分に能力があると本気で信じたり自信や誇りを持つことは簡単に出来ることではないですよね。あまり日常的に使われることはないですが、ビジネスシーンで用いると自信やプライドという感情を、より畏まった印象として伝えることが出来ます。

「矜持」の語源は?

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次に「矜持」の語源を確認しておきましょう。

「矜持」の語源は、戦の時代にまでさかのぼります。「矜持」の「矜」には、「矛」という漢字が含まれていますね。昔の戦は矛や盾で闘っていたということはご存じかと思います。この戦で兵士にとって矛を持つということは自信や誇りに繋がるものであったということから、「矜」という漢字は「誇る」という意味を表現する様になりました。

また、「矜持」の「持」には「寺」という漢字が含まれていますね。「寺」という漢字は「保つ」や「じっとしている」という意味を含むので、「矜」と「持」という二つの漢字の意味を組み合わせると「誇りを保つ」という意味になることが分かると思います。

この様に「矜持」は兵士が矛を持って誇り高く戦う様子になぞらえて、「自信をもって堂々とすること」を表現する言葉であるということが分かりましたね。

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「矜持」の使い方・例文

「矜持」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.高キャリアと幅広い知識を売りに英会話教室の人気講師として名高かった彼女だが、大学生に英語の誤用を指摘されて矜持を傷つけられた上に、仕事を辞める羽目になった。
2.依頼された仕事を本来の締切日時よりも前に完了しなければ、自分自身の中の矜持が許さない。
3.結果的には負けてしまったが、武士としての立場や矜持を守るために最後まで諦めず相手に立ち向かっていった。

以上の例文を見ていただくと分かる様に、「矜持」は「プライド」や「誇り」という言葉の使い方と同じように用いることが出来ます。

「矜持を持つ」、「矜持を傷つけられる」、「矜持が許さない」、「矜持を守る」などの言葉が続くことがほとんどです。確かに「プライド」や「誇り」と使い方は同じですが、「矜持」は「プライド」という根拠のない自信と「誇り」という根拠のある自信の両方の意味を含む言葉なので、両方の意味を表現したいときには「矜持」、どちらかの意味を強調したい場合には「プライド」か「誇り」を用いるようにしましょう。

「矜持」の類義語は?違いは?

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「矜持」とは、自信や誇りをもって堂々と振る舞うということを表現する言葉でした。しかしなかなか日常的には用らない言葉なので、意味がうまく伝わらないという場面も多いです。その場合に、より身近な言葉を使って表現する言葉を紹介します。

それでは「矜持」の類義語やその使い分けを見ていきましょう。

「自尊心」

「自尊心」とは自分自身の人格を大切にしたり自信を持つことや、自分を尊ぶあまり自分自身のみの考え方に固執して他人の意見を排除するという意味を持ちます。

「自尊心」はその漢字の通り自分を尊敬したり誇りに思うという意味であることが分かるので、大まかには「矜持」と同じ意味を持つということが分かるでしょう。この様に基本的な意味は同じですが、「矜持」と「自尊心」を使い分ける際には多少の注意点があります。

「自尊心」とは、自分自身の人格に自身を持つことを指す言葉でしたね。これに対して「矜持」は、自分のしてきたことや社会的立場に対して自信を持つことを指します。よって「自尊心」を使うのは個人の内面的な物に自信を持っているとき、「矜持」を使うのは社会的な物や外側に発信していることに対して自信を持っている時という使い分けが出来ますね。

\次のページで「「矜持」の対義語は?」を解説!/

「矜持」の対義語は?

自信や誇りをもって堂々と振る舞うことを指す「矜持」。この言葉の対義語とはいったいどのような言葉で、どのような意味を表現するのでしょうか。それでは「矜持」の対義語を見ていいきましょう。

「忸怩たる思い」

「忸怩たる思い」は、「じくじたるおもい」というように読みます。自分の誤った行いや過去の失敗に対して反省したり謝罪することを指す言葉です。

「卑屈」という言葉も対義語として挙げることが出来ますが、「卑屈」は自分の立場やしたことに対してというよりも自分の人格自体を否定したり見下すということを指す言葉なので、「自尊心」の対義語と言った方が正しいでしょう。これに対して「矜持」は自分の行動や社会的立場に対して自信や誇りを持つという言葉でしたね。よって「忸怩たる思い」のように、自分の内面というよりも行動や失敗に対して恥ずかしく思うという方が対義語としてふさわしいです。

「矜持」を使いこなそう

この記事では「矜持」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「矜持」とは、自分の行動や立場に対して自信や誇りをもって堂々と振る舞うことを指す言葉でしたね。自分の人格を過大評価する「自尊心」よりも、人や社会に対してためになることを積極的にすることで自分の誇りや自信につなげる「矜持」の方が大切だと評価されがちですが、現代ではメンタルヘルスが重要な問題になっているので「自尊心」を持つことも見捨てずに意識していくことが出来るといいですね。

正しい日本語を一つ一つ覚えることで、人格形成にも良い行動にもつながるのでまずは「矜持」を正しくマスターしてみてはいかがでしょうか。

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国語言葉の意味

【慣用句】「矜持」の意味や使い方は?例文や類語を現役学生ライターがわかりやすく解説!

「矜持」の使い方・例文

「矜持」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.高キャリアと幅広い知識を売りに英会話教室の人気講師として名高かった彼女だが、大学生に英語の誤用を指摘されて矜持を傷つけられた上に、仕事を辞める羽目になった。
2.依頼された仕事を本来の締切日時よりも前に完了しなければ、自分自身の中の矜持が許さない。
3.結果的には負けてしまったが、武士としての立場や矜持を守るために最後まで諦めず相手に立ち向かっていった。

以上の例文を見ていただくと分かる様に、「矜持」は「プライド」や「誇り」という言葉の使い方と同じように用いることが出来ます。

「矜持を持つ」、「矜持を傷つけられる」、「矜持が許さない」、「矜持を守る」などの言葉が続くことがほとんどです。確かに「プライド」や「誇り」と使い方は同じですが、「矜持」は「プライド」という根拠のない自信と「誇り」という根拠のある自信の両方の意味を含む言葉なので、両方の意味を表現したいときには「矜持」、どちらかの意味を強調したい場合には「プライド」か「誇り」を用いるようにしましょう。

「矜持」の類義語は?違いは?

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「矜持」とは、自信や誇りをもって堂々と振る舞うということを表現する言葉でした。しかしなかなか日常的には用らない言葉なので、意味がうまく伝わらないという場面も多いです。その場合に、より身近な言葉を使って表現する言葉を紹介します。

それでは「矜持」の類義語やその使い分けを見ていきましょう。

「自尊心」

「自尊心」とは自分自身の人格を大切にしたり自信を持つことや、自分を尊ぶあまり自分自身のみの考え方に固執して他人の意見を排除するという意味を持ちます。

「自尊心」はその漢字の通り自分を尊敬したり誇りに思うという意味であることが分かるので、大まかには「矜持」と同じ意味を持つということが分かるでしょう。この様に基本的な意味は同じですが、「矜持」と「自尊心」を使い分ける際には多少の注意点があります。

「自尊心」とは、自分自身の人格に自身を持つことを指す言葉でしたね。これに対して「矜持」は、自分のしてきたことや社会的立場に対して自信を持つことを指します。よって「自尊心」を使うのは個人の内面的な物に自信を持っているとき、「矜持」を使うのは社会的な物や外側に発信していることに対して自信を持っている時という使い分けが出来ますね。

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