
端的に言えば男が廃るの意味は「男としての面目がつぶれること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
今回は日本語学を中心とし、文学・語学を専門的に学んでいるライターのイオリを呼んです。一緒に「男が廃る」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/イオリ
日本語学を専門に学び、趣味は読書と小説執筆という日本語漬けの毎日を送るライター。日本語オタクとして言葉の意味や内容、その面白さを丁寧に解説していく。
「男が廃る」の意味は?
「男が廃る」には、次のような意味があります。
男としての面目がつぶれる。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「男が廃る」
最近では日常会話の中でこの言葉を聞くこともそれほどないでしょうが、小説や漫画、ドラマの中のセリフとして聞いたことがある人、知っている人もいるのではないでしょうか。この言葉の読み方は「おとこがすたる」で、「男としての面目がつぶれる」という意味を持っています。
最近では性別による役割や区別の規範に関心が高まり、「男性はこうあるべき」「女性はこうあるべき」という考え方は見直され始めていますが、「男が廃る」はまさにこの「男としてあるべき姿」の考え方が根本にある慣用句であると言えるでしょう。そういった理由から古い言葉になりつつあるのは事実ですが、きちんとした意味を持っており覚えておいて損はない慣用句です。語彙力を鍛えるためにも、この機会に一度確認しておきましょう。
「男が廃る」の語源は?
次に「男が廃る」の語源を確認しておきましょう。
「廃る」というのは「廃れる」という言葉で使われることが多い言葉であり、「通用しなくなる」や「衰える」という意味を持っています。どちらも誤字というわけではないですが「男が廃る」の場合は「男が廃れる」とは言わず、「そこなわれる」という意味を持つ「廃る」の方が適応した慣用句なのです。「廃る」は本来「廃れる」の古い言い方で、よりさかのぼると「廢」という漢字が使われていた言葉でした。これは弓矢の攻撃を受けてダメになった家を表す漢字で、そこから状態が悪くなるといった意味を持つようになったのです。慣用句に直すと、「男という状態が悪くなっていく」といったニュアンスが感じ取れますね。
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