
端的に言えば犬も歩けば棒に当たるの意味は「思わぬ幸運に出会う」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
国立大で国語学を学んだライターのタケルを呼んです。言葉の解説を得意としていて、大学時代はクイズサークルに所属していたので雑学にも詳しい。一緒に「犬も歩けば棒に当たる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タケル
某国立大で国語学を専攻していた。好きな「犬」の付くことわざや慣用句は、「犬を愛さない者は紳士であり得ない」(イギリス)と、「犬は吠えるがキャラバンは進む」(アラブ)。
「犬も歩けば棒に当たる」の意味は?
「犬も歩けば棒に当たる」には、次のような意味があります。
1.何かをしようとすれば、何かと災難に遭うことも多いというたとえ。
2.出歩けば思わぬ幸運に出会うことのたとえ。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「犬(いぬ)も歩(ある)けば棒(ぼう)に当(あ)たる」
辞書にある通り、「犬も歩けば棒に当たる」(いぬもあるけばぼうにあたる)には2つの意味が存在します。遭遇するということは同じですが、遭遇したものが何であるかに注目しましょう。「災難に遭う」と「思いがけない幸運に出会う」という、正反対の意味があるのです。どちらかが正しくてどちらかが誤用ということではなく、両方の意味が辞書に掲載されています。
「犬も歩けば棒に当たる」の語源は?
次に「犬も歩けば棒に当たる」の語源を確認しておきましょう。
「棒に当たる」とは、犬が歩いていたら道端に落ちていた棒にぶつかったと捉えがちです。しかし、実際はもっと残酷でした。犬がペットとして愛されている今とは違い、昔は犬を放し飼いにし、また野良犬も多くいました。そうなると、犬が仕事などの邪魔になることもあります。そんな時に人間は棒で犬を威嚇したり、時には叩いたりしたのです。犬が当たった棒とは、人間が振り回した棒でした。
このことからわかるように、「犬も歩けば棒に当たる」とは、本来は「災難に遭う」という意味です。しかし、「当たる」イコール幸運という語感もあってか、次第に「思いがけない幸運に出会う」という意味でも使用されるようになりました。今日では辞書にも掲載されるほど、意味として定着しています。
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