この記事では「阿吽の呼吸」について解説する。

端的に言えば阿吽の呼吸の意味は「息が合うこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「阿吽の呼吸」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「阿吽の呼吸」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「阿吽の呼吸(あうんのこきゅう)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「阿吽の呼吸」の意味は?

「阿吽の呼吸」には、次のような意味があります。

二人以上で一緒に物事を行うときの、互いの微妙な気持ち。また、それが一致すること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「阿吽の呼吸」

「阿吽の呼吸(あうんのこきゅう)」とは、息がぴったり合う様子のこと。今でもスポーツにおけるチームプレーや、夫婦、長年のコンビなどに使われることも多く、聞いたこともあるのではないでしょうか。

複数人で何かをする時、言葉や合図などがなくても絶妙にコンビネーションが成り立つ時によく用いられる言葉です。そのため「阿吽の呼吸」とはその瞬間の行動そのものだけでなく、強い信頼関係や深い関係性を表現する際や、それを称えるようなニュアンスで使われることもあります。

「阿吽の呼吸」の語源は?

次に「阿吽の呼吸」の語源を確認しておきましょう。

まず「阿吽(あうん)」という言葉は、サンスクリット語が由来です。サンスクリット語は梵語(ぼんご)とも言い、古代インドが発祥の言語。仏教用語の多くはサンスクリット語がもとになっていると言われています。このサンスクリット語において、「阿(あ)」は口を開いて最初に出す音、「吽(うん)」は口を閉じた最後の音です。そのため「阿吽(あうん)」とは仏教用語の真言で、“万物の始まりと終わり”の象徴ともされていました。

寺院や神社などで『金剛力士像』『狛犬』を見かけたことはあるでしょうか。金剛力士像とは仏法の守護神で、寺院内に敵が入り込むことを防いでいます。これらの像の一対は、一方が口を開けた「阿形(あぎょう)」、もう一方が口を閉じた「吽形(うんぎょう)」の表情を持つのが一般的です。

これらの一対は二つが合わさることでひとつの物事を行っており、口を開く“吐く息”である「阿」と、口を閉じる“吸う息”の「吽」がぴったりと噛み合っています。

「阿吽の呼吸」とはこの様子から転じた慣用句で、まるで呼吸が合うかのようにぴったりと噛み合う様子を指す言葉になりました。

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「阿吽の呼吸」の使い方・例文

「阿吽の呼吸」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.バドミントンのダブルスの中継を見たが、攻守の入れ替えがまさに阿吽の呼吸で素晴らしかった。
2.長年連れ添った夫婦の阿吽の呼吸と言うべきか。父がすべて言わずとも、母は父が言いたいことをすぐに理解して行動する。
3.あのユニットは二人とも一見正反対だが、ライブなどでは阿吽の呼吸のパフォーマンスを見せるんだ。
4.商談中取引先に無理難題を言われたが、上司の合図を先輩はすぐに理解し資料を提示しており、阿吽の呼吸のようだった。

「阿吽の呼吸」とは息が合うこと。そのため基本的には肯定的な言葉として用いられます。例文1のようにスポーツ選手に対してや、例文2のような夫婦、また例文3のようにコンビやユニットについて使うことも可能です。

さらに対応や空気の読み方などを求められることも多いビジネスシーンでも、例文4のように使われることもあります。

またいずれも、そのような「阿吽の呼吸」を見せる間柄として、厚い信頼や縁の深い関係だというニュアンスも含んで使うのが一般的です。

「阿吽の呼吸」の類義語は?違いは?

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それでは次に、「阿吽の呼吸」の類義語について解説します。

「以心伝心」

「以心伝心(いしんでんしん)」とは、“声に出さなくてもお互いの心と心で理解しあえる”こと。今もよく使われる四字熟語ですが、仏教に由来した言葉です。

言葉や合図がなくても通じ合うと言う点で「阿吽の呼吸」の類語表現のひとつとして挙げられます。

ただし、「阿吽の呼吸」とは息の合った“動作”に使われる言葉ですが、「以心伝心」は“心が通じ合う様子”そのものを表す言葉です。類似しているものの異なる言葉として、使い分けには注意しましょう。

\次のページで「「阿吽の呼吸」の対義語は?」を解説!/

「阿吽の呼吸」の対義語は?

ここでは「阿吽の呼吸」の対義語表現について見ていきます。

「同床異夢」

「同床異夢(どうしょういむ)」とは、“同じ立場にあっても考えや思惑が違うこと”を指す四字熟語。同じ寝床で枕を並べ寝ていても、それぞれに違った夢を見ることが転じた言葉です。

物事を行う時の微妙な気持ちが一致する「阿吽の呼吸」に対し、同じ場所でもまったく違う考えを持つと言う点で反対の意味を持つと言えるでしょう。

「蛙のつらに水」

「蛙のつらに水」とは、“どんな仕打ちにも平気でいる様子”を表した慣用句。そこから“何をしても応答がなく無意味である”というときにも用いられ、蛙の顔に水をかけても平気な様子から生まれた言葉です。

「阿吽の呼吸」とは、行動に対して反応することが大前提。一方、ひとりが何か行動してもまったく無反応である「蛙のつらに水」は、反対の意味を持っていると言えるでしょう。

「阿吽の呼吸」の英訳は?

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最後に「阿吽の呼吸」の英語訳についても確認していきましょう。

「get along well with~」

「get along well with~」とは、良い関係にあることを示す英語表現で“気が合う”といった日本語訳で使われる表現です。仲が良い相手によく用いられる言葉で、好みや考え方が近い相手やわかりあっている仲の関係でよく用いられます。

「阿吽の呼吸」のように、ぴたりと息の合った動作という意味は持ちませんが、「阿吽の呼吸」ができる関係性という意味の表現であれば、この英語訳を用いるのが良いでしょう。

「good chemistry」

「good chemistry」とは、“非常に相性が良い”という意味。「chemistry」とは“化学反応”という意味を持ちますが、ここでは人と人との化学反応という意味で“相性”という意味の単語として使われています。

端的に仲が良いと言うよりも、“互いに相乗効果がある関係”という意味を含んでおり、相性バッチリで互いに良い効果を持つ関係に対し使われるのが一般的。そのため「阿吽の呼吸」の持つ動作の意味はなくとも、関係性を示すのであればこれで充分でしょう。深い関係性というニュアンスを伝えるのであれば、この表現がおすすめです。

\次のページで「「阿吽の呼吸」を使いこなそう」を解説!/

「阿吽の呼吸」を使いこなそう

この記事では「阿吽の呼吸」の意味・使い方・類語などを説明しました。もしあなたにも「阿吽の呼吸」と言えるような関係性の相手がいるとすれば、それはとても貴重で大事な関係性と言えるでしょう。支え合い尊重し、互いに居心地のいい関係を築いていきたいものですね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「阿吽の呼吸」の意味や使い方は?例文や類語を元広告会社ライターがわかりやすく解説!

「阿吽の呼吸」の使い方・例文

「阿吽の呼吸」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.バドミントンのダブルスの中継を見たが、攻守の入れ替えがまさに阿吽の呼吸で素晴らしかった。
2.長年連れ添った夫婦の阿吽の呼吸と言うべきか。父がすべて言わずとも、母は父が言いたいことをすぐに理解して行動する。
3.あのユニットは二人とも一見正反対だが、ライブなどでは阿吽の呼吸のパフォーマンスを見せるんだ。
4.商談中取引先に無理難題を言われたが、上司の合図を先輩はすぐに理解し資料を提示しており、阿吽の呼吸のようだった。

「阿吽の呼吸」とは息が合うこと。そのため基本的には肯定的な言葉として用いられます。例文1のようにスポーツ選手に対してや、例文2のような夫婦、また例文3のようにコンビやユニットについて使うことも可能です。

さらに対応や空気の読み方などを求められることも多いビジネスシーンでも、例文4のように使われることもあります。

またいずれも、そのような「阿吽の呼吸」を見せる間柄として、厚い信頼や縁の深い関係だというニュアンスも含んで使うのが一般的です。

「阿吽の呼吸」の類義語は?違いは?

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それでは次に、「阿吽の呼吸」の類義語について解説します。

「以心伝心」

「以心伝心(いしんでんしん)」とは、“声に出さなくてもお互いの心と心で理解しあえる”こと。今もよく使われる四字熟語ですが、仏教に由来した言葉です。

言葉や合図がなくても通じ合うと言う点で「阿吽の呼吸」の類語表現のひとつとして挙げられます。

ただし、「阿吽の呼吸」とは息の合った“動作”に使われる言葉ですが、「以心伝心」は“心が通じ合う様子”そのものを表す言葉です。類似しているものの異なる言葉として、使い分けには注意しましょう。

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