
端的に言えば見猿聞か猿言わ猿の意味は「余計なことは言わないべきだし聞かないべきだし言わないべきであること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
小説や記事の執筆など、言葉に多く携わっている中低青黄を呼んです。一緒に「見猿聞か猿言わ猿」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/中低青黄
大学生ライター。大学生活を送る傍ら、PR会社にて記事の添削・校正などを担当。また、高校生の頃から小説をはじめとした書籍を多数通読。小説の執筆や記事の作成なども行っている。
「見猿聞か猿言わ猿」の意味は?
「見猿聞か猿言わ猿」には、次のような意味があります。
・両手でそれぞれ、両目・両耳・口をふさいだ3匹の猿の像。余計なことは見ない、聞かない、言わない、ということを表す。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「見猿聞か猿言わ猿」
三猿(さんえん)とも称される「見猿聞か猿言わ猿」。「見る」「言う」「聞く」という3つの表現を否定する「ざる」という表現と、猿を駄洒落的に掛け合わせた慣用句です。その元となる3匹の猿たちはそれぞれ目と口と耳を両手で隠しています。
人生において行動することが良い選択に転じる場合もありますが、ともすれば余計な行動が悪い選択へとつながってしまうことも多々あるのです。そのような状況を前にして余計なことは「見るな」「言うな」「聞くな」と言っているのが、この慣用句になります。
「見猿聞か猿言わ猿」の語源は?
次に「見猿聞か猿言わ猿」の語源を確認しておきましょう。「見猿聞か猿言わ猿」は孔子の論語が語源だと言われています。実は現在は三猿として定着しているこの表現ですが、論語の中では四猿として表されているのです。
論語には「礼儀に背くようなことには注目するべきでない、耳を傾けるべきでない、言うべきでない、するべきでない」という教えがあります。ではなぜ三猿に落ち着いたのでしょう。実はこの「するべきでない」を表している猿は股間を隠しています。つまり、性的な意味で「するべきでない」を表しているんですね。また、4という数字が死を連想させることも理由のひとつです。
そのような理由から三猿へとあらためられた「見猿聞か猿言わ猿」ですが、日本では日光東照宮の厩舎に彫られています。「眠り猫」「象」と並んで日光三代彫刻と称されるようです。日本では古来より厩舎の悪魔祓いの儀式で猿まわしが行われるなど、猿は馬を守護すると考えられていました。また、馬も猿が横にいると安心するという習性があり、それも影響しているのでしょう。
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