この記事では「アウトレット」について解説する。

端的に言えばアウトレットの意味は「ブランド物が安く買える店」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国立大で国語学を学んだライターのタケルを呼んです。言葉の解説を得意としていて、大学時代はクイズサークルに所属していたので雑学にも詳しい。一緒に「アウトレット」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タケル

某国立大で国語学を専攻。田舎住まいのため、最も近いアウトレットモールまで車で2時間かかる。以前訪れた時はあまりの人の多さに圧倒され、結局何も買わずに帰った。

「アウトレット」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「アウトレット」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「アウトレット」の意味は?

まず、「アウトレット」を辞書で確認してしましょう。あなたの持っている「アウトレット」のイメージとは違っているかもしれません。

《出口・はけ口の意》商品の販路。販売店。「ファクトリーアウトレット(=工場直販)」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「アウトレット」

アウトレット」そのものは「販売店」を意味します。もともとは「出口、経路」などの意味がある言葉です。

ひょっとしたら、持っていたイメージは価格の安いブランド品だったでしょうか。それですと、正確には「アウトレット商品」となります。また、埼玉県越谷市や千葉県木更津市にあるものを連想している人もいるでしょう。それらも厳密に言えば「アウトレットモール」です。つまり、今では「アウトレット」は1つの販売店のみを指す言葉ではありません。店が集合したものや、そこで売られている物までも単に「アウトレット」と言うようになりました。

「アウトレット」の語源は?

次に「アウトレット」の語源を確認しておきましょう。

アメリカでは、早くからメーカーの工場や倉庫の一角に、いわゆる訳あり商品を扱う直営店舗を設けていました。そこで扱っていたものは、規格外になった商品や展示品、流行遅れになった在庫調整品などです。それらを販売していた店舗のことを、工場から商品が出ていくための店、つまり「出口の店」を意味する「アウトレットストア」と呼ぶようになりました。

1980年代になると、アウトレットストアを1か所に集めたショッピングセンターが作られるようになり、これが「アウトレットモール」の始まりでした。日本では、1993年に埼玉県入間郡大井町(現在のふじみ野市)に作られた物が第1号のようですね(現在は閉鎖)。

\次のページで「「アウトレット」の使い方・例文」を解説!/

「アウトレット」の使い方・例文

「アウトレット」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.明日は神戸のアウトレットでコスメやスキンケアのアイテムを買いたいな。
2.このバッグは割と有名なブランドのものだが、アウトレットなので金額は意外と安かった。
3.地元の自治体にも最近になって人気のコーヒーチェーンやアウトレットが進出し、近くに映画館やレストラン街なども出来て、専用駐車場では他県ナンバーの車も見られるほど環境が変わった。

3つの例文にある「アウトレット」は、わずかながら意味の違いがあります。詳しく見ていきましょう。まず、2は「アウトレット商品」です。会話では話し相手にさえ意味が通じれば事が運ぶので、「アウトレットで買った商品」などとわざわざ言いません。「アウトレット」と言えば十分に通じます。

1と3は「アウトレットストア」または「アウトレットモール」です。1店舗だけならストアの方でしょうし、アウトレットストアがたくさんあればモールの方でしょう。今や「アウトレット」1語で広い意味があることを理解してください。

「アウトレット」の類義語は?違いは?

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ところで、「アウトレット」の類義語は何でしょうか。

「エグジット」「ディスカウント」

そもそも「アウトレット」は出口やはけ口、逃げ道という意味なので、カタカナ語であれば「エグジット」が類義語として思い当たります。しかし、それでは一般的な「アウトレット」のイメージとは違いますよね。

「アウトレット」が値下げ商品(を扱う店)や年中セールをしている店(の商品)だとすれば、「ディスカウント」が類義語としてはしっくりくるのではないでしょうか。「ディスカウント商品」「ディスカウントショップ」などと言いますので、言葉の使われ方でも似ているものがあります。

ただし、アウトレットストアではそれなりのメーカー品を値下げして売っていますが、ディスカウントストアでは有象無象の商品が売られていることがあるかもしれません。もちろん品質にこだわるディスカウントストアもありますが、言葉の意味の上ではあくまでも「値下げをしている販売店」となります。商品の中身については言及していないので、そういったことも起こりうるということです。

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「アウトレット」の対義語は?

では、「アウトレット」の対義語は何でしょうか。

「デパート」

「アウトレット」がお値打ち品の買える店ならば、その対義語は少々お高い店となります。そうなれば、「デパート」や「ブティック」が考えられるのではないでしょうか。

デパートにはそのようなイメージが強いはずです。大事な人のところへ行くときに、デパートで購入した菓子折りを持ってはせ参じることもあるでしょう。やはりデパートは、良い物を金に糸目を付けずに手に入れたいときに重宝するものですよね。

ブティックにもそのようなイメージを持っている人がいるのではないでしょうか。ただし、この言葉には注意しなければなりません。「ブティック」はもともとはフランス語ですが、意味は「小さい服飾店」です(洋服以外の装飾品も扱うため)。お高い服ばかりの店でしたら、それは「高級ブティック」となります。少々言葉の使い方で面倒くさいこともあり、2000年代に入ると「ブティック」はいわゆる死語と化し、代わって「セレクトショップ」や単に「ショップ」が使われるようになりました。

「アウトレット」の英訳は?

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あと、「アウトレット」は英語でもアウトレットなのでしょうか。念のため確認しましょう。

「outlet」

そもそも「アウトレット」はアメリカが発祥ですので、英語でも当然「outlet」です。そして、アウトレット商品の販売店は「outlet shop」または「outlet store」と言います。

ちなみに「アウトレットモール」の場合は気を付けましょう。英語では「outlet mall」「outlet center」と2つの言い方があります。英語圏の国へ行ったときに、「アウトレットモールへ行きたいのにアウトレットセンターしかない」なんてことにならないように、頭の片隅には置くようにしてください。

「アウトレット」を使いこなそう

この記事では「アウトレット」の意味・使い方・類語などを説明しました。

21世紀の今では、全国でアウトレットモールが営業されている状況です。アウトレットモールに行けばいろいろな店で商品を特価で買えるのはもちろん、イベントがあったりフードコートで食事ができたりと、いくらかの現金かカードさえあれば朝から晩まで滞在できるようにできています。場所によっては観覧車があったり温泉施設が利用できたりと、もはや一種のアミューズメントパークと化しました。アウトレットは楽しいですよね。しかし、「アウトレット」だけで通じるのは日本での話です。ハワイやニューヨークのホテルの一室に「outlet」があっても、そこでブランド品は売っていませんので気を付けましょう。

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国語言葉の意味

「アウトレット」の意味や使い方は?例文や類語を雑学大好きwebライターがわかりやすく解説!

この記事では「アウトレット」について解説する。

端的に言えばアウトレットの意味は「ブランド物が安く買える店」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国立大で国語学を学んだライターのタケルを呼んです。言葉の解説を得意としていて、大学時代はクイズサークルに所属していたので雑学にも詳しい。一緒に「アウトレット」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タケル

某国立大で国語学を専攻。田舎住まいのため、最も近いアウトレットモールまで車で2時間かかる。以前訪れた時はあまりの人の多さに圧倒され、結局何も買わずに帰った。

「アウトレット」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「アウトレット」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「アウトレット」の意味は?

まず、「アウトレット」を辞書で確認してしましょう。あなたの持っている「アウトレット」のイメージとは違っているかもしれません。

《出口・はけ口の意》商品の販路。販売店。「ファクトリーアウトレット(=工場直販)」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「アウトレット」

アウトレット」そのものは「販売店」を意味します。もともとは「出口、経路」などの意味がある言葉です。

ひょっとしたら、持っていたイメージは価格の安いブランド品だったでしょうか。それですと、正確には「アウトレット商品」となります。また、埼玉県越谷市や千葉県木更津市にあるものを連想している人もいるでしょう。それらも厳密に言えば「アウトレットモール」です。つまり、今では「アウトレット」は1つの販売店のみを指す言葉ではありません。店が集合したものや、そこで売られている物までも単に「アウトレット」と言うようになりました。

「アウトレット」の語源は?

次に「アウトレット」の語源を確認しておきましょう。

アメリカでは、早くからメーカーの工場や倉庫の一角に、いわゆる訳あり商品を扱う直営店舗を設けていました。そこで扱っていたものは、規格外になった商品や展示品、流行遅れになった在庫調整品などです。それらを販売していた店舗のことを、工場から商品が出ていくための店、つまり「出口の店」を意味する「アウトレットストア」と呼ぶようになりました。

1980年代になると、アウトレットストアを1か所に集めたショッピングセンターが作られるようになり、これが「アウトレットモール」の始まりでした。日本では、1993年に埼玉県入間郡大井町(現在のふじみ野市)に作られた物が第1号のようですね(現在は閉鎖)。

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