
端的に言えばインボイスの意味は「請求書」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
語学好きで歴史好き、名古屋出身で5年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「インボイス」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/eastflower
今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な5年目のライター、eastflower。「インボイス」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。
「インボイス」の意味は?
まず、「インボイス」や関連語の辞書の意味を見ていきましょう。
1. 販売した商品やサービスの品名・数量・金額などの明細を記載した書類。売り手が買い手に対して発行するもので、送り状・請求書・納品書などの役割を果たす。
2. 消費税に複数の税率を導入している国の多くで採用されている請求書の形式。適用税率や税額の記載を義務付けたもので、納税額の計算が容易に行える利点がある。→インボイス方式
出典:デジタル大辞泉(小学館)「インボイス」
今まで、多くの日本の企業では、「インボイス」と言えば、単に「請求書」の役割を果たすものとして理解されてきました。契約条件に基づき、売り手は買手に商品やサービスを提供し、提供が完了すると売り手は「請求金額」や「支払期限」及び「支払方法」を明記した「請求書」を買手に発行するのです。
一方、「請求書」を受領した買手(発注者・消費者)は支払い義務を負い「請求書」の条件に基づき代金を支払いをします。この支払が完了した時点で契約は完結するわけですね。もっとも、実際には、契約によっては売り手が前払いするケースや分割して支払う契約書もたくさんありますが、いずれにしても「インボイス」とは売り手が買い手に発効する「請求書」の同義語として理解されてきました。
日本では、「請求書」の意味で理解されてきたインボイスですが、辞書に示されているとおり、国際貿易上では、物品が輸出入する際に、「インボイス書面」は実際の物品と一緒に同封され、「請求書」としての意味だけでなく、「インボイス」に記載した物品をきちんと送ったという「送り状」の役割と、契約物品を送ったことを示す「納品書」の三つの役割を果たす書面として理解されてきましたし、現在でも同様です。
日本では、多くの会社で物品納入時に「送り状」や「納品書」を別に発行し、さらに「請求書」という3種類の書面を発行することが習慣化されてきましたが、貿易上では、物品にインボイスを発行することで、三つの書類の役割を果たしてきたのですね。
「インボイス」の語源は?
次に「インボイス」の語源を確認しておきましょう。
いつから始まった制度なのかは不確かですが、物品を国外に送るとき(輸出時)には、必ず荷主が物品に「納品書」「送り状」として、そして「請求書」として「インボイス」を添付することが義務付けられています。インボイスに記載される事項は基本的に「品名や品目」,「数量」と「価格」ですが、「価格」は、貨物が日本(国内の空港や港)を出国するまでの運賃や梱包費用を含んだ価格で記載されることが決められているのです。
国外へ輸出する主な輸送手段は、船や飛行機になりますが、物はいったん、港や空港にある税関でチェックを受けることが定められています。税関と荷主の間に入る乙仲業者(おつなかぎょうしゃ)(フォワーダー)が、荷主の作成したインボイスをもとに輸出申告書を作成して申告書とインボイス、また他の輸出関連書類を税関に提出し、申告書が税関によって承認されて初めて、物品は船や飛行機に積載(せきさい)されることになるのです。他の国々でも同様な手続きを経て物は海外に輸送されるのであり、貿易実務上、「インボイス」は欠かすことのできない重要書類のひとつなのですね。
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